大手ヘッジファンドの閉鎖ニュースを最近良く目にします。
ヘッジファンドは、富裕層などから、個別に資金を集めて、金融商品などを活用して、運用するファンドで、
・資産の1.5%前後の運用手数料
・利益の18%の成功報酬
といった形で、資金を受け取るので、運用成績が良ければ、全く問題ないのですが、運用成績が悪くなってしまうと、途端に、経費や従業員の給料の捻出に困ってしまいます。
ヘッジファンドの運用成績が悪かった理由は・・・
「2015年ヘッジファンドの平均利回りは、マイナス3.72% だった。」
と、調査会社「Hedge Fund Research」がプレスリリースで発表しています。
ただ、全てのヘッジファンドの運用成績が悪いのではなく、
良いヘッジファンソは、プラス30%以上
悪いヘッジファンドは、マイナス20%以上
という大きな差が出ています。
運用成績に大きな影響を与えた理由として、
・流動性不足
・市場のボラティリティ(変動性)の高さ
をヘッジファンドの運用マネージャーが挙げています。
・ヨーロッパのQE
・日本の量的質的金融緩和
・スイスフランの急騰
・中国市場での大暴落
・アメリカのFF金利引き上げ
など、市場を取り巻く環境が大きく変化しているために、対応が難しくなっているようです。
ヘッジファンドの閉鎖件数は、2015年1月から9月まで、674件に上っており、
2008年:1,471件
2009年:1.023件
に続き数が多くなる可能性があるとされています。
ボルカールールの影響を受けている
2010年夏に成立し、アメリカの金融規制改革法(ドッド・フランク法)の中核となる「銀行の市場取引規制ルール」のこと。
ポール・ボルカー元FRB議長らが提唱した金融規制策で、オバマ大統領が「ボルカールール」と読んだことで、その名前が定着しています。
2015年7月21日から全面適用されているルールになります。
2008年のリーマン・ショックにより、大手金融機関が破綻し、公的資金での救済をしたことから、金融システムの安定化のため、商業銀行が、顧客から預かったお金を投機的に投資することを制限することを目的とし、
・金融商品の購入・売却、取得・処分を禁止
・デリバティブや商品先物取引を制限
・未公開株やヘッジファンドへの出資を制限
といった内容となっています。
このルールを受けて、金融機関の自己売買が減っているため、市場での取引流動が低下して、傘下のヘッジファンド取引が減少することとなります。
債券発行は、2014年度は過去最高
2014年末は、世界の社債発行額は、過去最高の1兆5,000億ドルを突破していました。
ヨーロッパと日本で金融緩和が拡大している一方で、アメリカが利上げに踏み切る可能性があるため、低金利での資金確保のために動いたのです。
一方、2015年7月から9月度の債券発行額は、BIS(Bank for International Settlements)の発表によると、
・新興市場=15億ドルで、4月から6月期から96%減少
・国際市場=80%減少
アメリカの利上げが、ほぼ確実と見られていたことから、新規発行が抑えられた形となり、大規模な債券ディーラーのリストラにつながりました。
金利があがることで、債券売買が減少する
債券価格は、将来の変化を予想して、決定されています。
市中金利の変動によって、債券価格は変動します。
金利が上昇すれば、債券の利回りが上昇するので、債券価格は下落
金利が下落すれば、債券の利回りが下落するので、債券価格は上昇
という関係になっています。
5年満期年利回り5%の債券を100万円で購入していた場合、債券の価値は、100万円+25万円=25万円となります。
4年目を迎えた段階で、金利が引き上げられ、年8%となり、新しく発行される債券の利回りが8%となった場合、新規に債券を購入する人は、5%と8%の債券を比較すると、当然8%の債券を購入することになります。
5年満期年利回り5%の債券を売却しようと思うと、利回り自体は固定なので、利回りの違い3%分を債券価格を下げて調整する必要が出てくるためです。