要旨. Copyright 1995 - 2020 FUJITSU RESEARCH INSTITUTE, 中国における「改革・開放」政策は、政府による企業経営への干渉を緩和することによってが実現された。その中心は国有企業経営の自由化である。かつて、国有企業は資金調達、部品調達、生産、販売、人事など一連の経営活動がいずれも政府によって厳しくコントロールされていた。その中で、国有企業の経営は収益の最大化を追求するものというよりも、政府の策定した経済計画をそのまま実行していくことにあった。, 振り返ってみれば、80年代の国有企業改革は、国有制を温存しながら生産請負責任制の導入や独立採算制の徹底などの経営改善策を図ることが中心であった。90年代以降、国有企業の所有制は経営改善の妨げとなり、企業経営に対するガバナンスの形骸化をもたらしている。現在、国有企業の所有制を改革するために、「公司法」(会社法)に基づいて国有企業を株式会社に転換する政策が採られている。中国では、「近代的な企業制度の構築」といわれるが、その中身は、企業の所有と経営を分離し、企業経営のメカニズムを、利益の最大化を追求することに改めることである。同時に、企業経営者及び従業員に対する評価・任期なども、法に基づいて行われるようにする。このような改革の延長として、国有企業の多くが株式会社に転換したのである。そのうち、約1,200社は内外の証券取引所において株式公開を果たした。, とはいえ、中国経済の発展にとって国有企業の経営難問題は依然として深刻なボトルネックになっている。中国経済を取り巻く環境がすでに市場経済化しつつあるなかで、国有企業の経営メカニズムは計画経済から十分に脱皮できていない。すなわち、国有企業の経営に関する独立採算制が導入されたが、それに対する監督機能は十分に強化されていない。この問題について具体的に2点を指摘することができる。第1に、経営難に陥った国有企業に対するペナルティが十分ではない。第2に、経営業績を上げた国有企業の経営者及び従業員に対するインセンティヴが限られている。このような状況下は、国有企業経営を改善しようとする積極性を妨げる。さらに、中国国内のエコノミストの多くは、国有企業の財産が様々な方法によって個人財産となり、国有企業経営者の腐敗問題に繋がっていることに注目している。ここでは、国有企業改革と政府の行財政制度の改革に焦点を当て、その実態及び様々な問題点を解明することにする。. 中国の国有企業 JRIレビュー 2013 Vol.3, No.4 5 1.1990年代には赤字経営、多大な債務、余剰人員、社会的負担など中国経済のガンと思われていた国 有企業だったが、最近では国有企業が中国の国家や政府に強い力をもたらす源泉だとする「国家資本 東欧・ロシアとは対照的に、中国における経済改革の一つの特徴は国有企業の民営化を行わずに、社会主義の根幹である公有制を堅持しながら、計画経済から市場経済への移行を押し進めてきたことである … ûÀJÝ Copyright (C)2004 Suzhou Bofan Consulting Corporation.
さらに、中国では債務超過状態の会社の解散・清算が認められない一方で、外商投資企業による破産が実務上容易でないという点にも留意が必要です。このため、解散・清算による合弁解消を目指す日系企業が、合弁企業の債務超過状態を解消させるために増資、ローン提供、債務免除等の追加負担を余儀なくされたというケースも生じています。かかる追加負担ができない場合は進退窮まり、合弁企業を放置するほかなくなってしまうといった事態も発生しえます。, このような事態の回避のためには、たとえば、合弁契約において、デッドロックや合弁相手の重大な違約等の一定の事由を原因として、持分買取請求権(プットオプション)や持分購入権(コールオプション)が発生するよう定めておくことが非常に有効な対策となります。 持分譲渡によることができない場合は、基本的には、合弁企業の解散・清算による撤退を目指すことになります。しかし、この方法は圧倒的に時間や手間がかかり、また、合弁相手が合弁企業の解散・清算に協力しない場合は、訴訟または仲裁を経る必要も生じえます。
すなわち、合弁事業を開始する段階で、合弁関係のスムーズな解消のための手段を用意しておくのです。これから共同で合弁事業を行っていこうというタイミングで、合弁関係の解消方法について議論するのには心理的抵抗があるかもしれませんが、合弁関係はいずれ終了するものという前提に立って、最初から綿密な撤退戦略を練るというのは、中国で合弁事業を開始するうえでは必須の姿勢ともいえます。, 上記の通り、中国の国柄から、中国企業との合弁形態による中国進出という方法には大きなメリットがありうる一方で、様々なデメリットもありえます。かかるメリットとデメリットを洗い出し、正確な評価を行い、独資での進出という可能性も念頭に置きつつ、合弁による進出の是非を判断する必要があります。そして、合弁による進出を選択する場合は、進出後に生じうるデメリットをミニマイズするための対策を講じるのと同時に、進出前から撤退戦略を詰めておくことが肝要です。, 北京オフィス代表・日本弁護士(第二東京弁護士会)。2007年早稲田大学法学部、2010年慶応義塾大学大学院法務研究科卒業。2011年弁護士登録。2014年上海交通大学留学、2015年君合律師事務所上海オフィス勤務。同年アンダーソン・毛利・友常法律事務所上海オフィス代表、2016年より同北京オフィス代表を務め、主に日本企業の対中国投資に関するM&A、合弁事業、独禁法関連案件、コンプライアンス関連案件(贈収賄防止等)等を幅広く取り扱っている。, BUSINESS LAWYERS(ビジネスロイヤーズ)- 実務に役立つ企業法務ポータル.
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国有企業は政府所有会社などとも呼ばれ、産業育成や国防上などの目的で、国家あるいは国家機関(政府機関)が最大 [疑問点 – ノート] の投資者になっている企業である。.
政府所有会社、国営事業などとも … 中国における「改革・開放」政策は、政府による企業経営への干渉を緩和することによってが実現された。
国有企業は政府所有会社などとも呼ばれ、産業育成や国防上などの目的で、国家あるいは国家機関(政府機関)が最大 [疑問点 – ノート] の投資者になっている企業である。. All rights reserved. 合弁相手との話し合いにより解決できない場合は、合弁関係の解消を目指すほかないことになります。, 合弁関係解消の方法としては、持分譲渡(保有持分の譲渡による撤退または持分の譲受による100%子会社化)が最も簡便かつ迅速ですが、日本側の出資無くしてはビジネスが成り立たない、対価で折り合えない、中国側に資金的な問題があるなどの理由で実現が困難な場合もあります。
・中国投資成功のポイント ・外国企業への優遇・税制 ・工場建設のフローチャート ・董事会の意義と重要性 ・人民元の特徴と外貨の交換、 口座開設 ・三資企業、メリットとデメリット ・現地従業員の労働条件 ・現地人材採用と注意点 ・会社設立申請の必要書類 ・事業所開設フローチャート E»n]ÆõÌJð E»nlÞÌpÆÓ_
´ãè¿ããä¸å½çµæ¸, 2001å¹´11æ5æ¥ãä¸å½ã®çµæ¸æ¹é©ãæ¬æ²è¼.
中国の国有企業はどこに向かうのか ―成長の持続性を左右する改革の暫定評価― 要 旨 調査部 主任研究員 三浦有史 1.習近平政権は2014年から国有企業改革に着手した。2015年は改革加速の年とされ る。 EïÐݧ\¿ÌKvÞ
その狙いは中国国有企業と民営企業資本の再分配だとみられる。つまり活力のある民営企業は政府企業と統合させ、老化した政府企業に活力を与える。政策は16年に本格化し、中国政府が着実に推進してい … 設例は、中国企業との合弁の形態での中国進出を検討している日系企業からの質問です。本稿では、中外合弁という形態に焦点を当て、そのメリットやデメリット、失敗例や解決方法等について概説します。, 外国企業の中国進出の形態としては、外商投資企業の設立、内資企業の買収、駐在員事務所(代表処)の設置等がありますが、そのうち外商投資企業の設立が最も一般的な方法といえます。 近年来、中国は日系企業の海外進出先としては最もメジャーな国家となっています。尖閣諸島問題に端を発する日中関係の悪化や人件費その他の投資環境の悪化等の原因により、日系企業による中国進出に鈍化傾向は見られるものの、外務省の最新の統計(「海外在留邦人数調査統計」(平成28年要約版))によれば、2015年10月1日現在における日系企業の外国拠点数71,129のうち約47%(33,390)が中国に集中しています。 設例は、中国企業との合弁の形態での中国進出を検討している日系企業から … EÆJÝt[`[g EïÐݧÌt[`[g.
中国の国有企業はどこに向かうのか ―成長の持続性を左右する改革の暫定評価― 要 旨 調査部 主任研究員 三浦有史 1.習近平政権は2014年から国有企業改革に着手した。2015年は改革加速の年とされ る。
近時留意を要するのが、上記デメリットのうち④の独禁法上のリスクです。中国独禁法上、100%子会社としての独資企業の場合と異なり、合弁会社の場合は、出資者間や、出資者と合弁会社間の価格情報の交換や市場の分割等が、競合他社間での競争制限的行為に該当すると中国独禁当局から判断される可能性が生じ得ます。かかるリスクを避けるため、独禁法上問題となる局面を想定し、情報をいかに遮断し、情報の伝達をいかにコントロールするのか等、中国独禁法上の観点から、事前に十分な検討を行っておく必要があります。, 当初と市況が変わって思うように利益が上がらない、合弁相手と目指す方向性が違ってきた、言語の問題で中国企業側の役職員と意見交換ができないなど、合弁事業の失敗原因は様々ですが、最悪の場合、合弁相手と意見が統一できず経営がデッドロックに陥る、あるいは、一方の意向を無視した経営が継続される(事実上経営が乗っ取られる)といったことが生じえます。
中国のアキレス腱、国有企業リスクの低下展望 経営改革が難航しても、経済全体に占める比率は長期的に減少へ 2017.12.20(水) 瀬口 清之 中国の国有企業改革と直面している課題 進めることができないし, 市場経済システムの確立も不可能である。ある意味で言えば, 国有企業の 改革は中国経済体制の基礎部の改革であり,“中国経済社会の土壌”を改良することに当たる。 2. EOéÆAbgÆfbg
政府所有会社、国営事業などとも …
取引先である中国の企業から中国での合弁事業の提案を受けました。合弁事業のメリット・デメリットを教えて下さい。合弁事業で失敗する典型的な事例はどのような事案でしょうか。またそのような失敗事例では、最終的にどのような解決をしているのでしょうか。, 中国企業との合弁という形態を選択するメリットは、現地での事業展開において合弁相手のノウハウや人脈等を活用できる点にあります。一方で、合弁相手との対立・紛争のリスクや、技術・ノウハウ・秘密情報の漏えいリスク等のデメリットがあります。合弁事業の典型的な失敗事例は、撤退戦略が不十分なまま投資を実行してしまい、進退窮まるというようなケースです。日中合弁の形態での対中投資においては、当初から綿密な撤退戦略を立てておくことが重要です。, 近年来、中国は日系企業の海外進出先としては最もメジャーな国家となっています。尖閣諸島問題に端を発する日中関係の悪化や人件費その他の投資環境の悪化等の原因により、日系企業による中国進出に鈍化傾向は見られるものの、外務省の最新の統計(「海外在留邦人数調査統計」(平成28年要約版))によれば、2015年10月1日現在における日系企業の外国拠点数71,129のうち約47%(33,390)が中国に集中しています。 © 2008-2020 Japan Business Press Co.,Ltd. No.201 : 中国における国有企業民営化に関する考察. 2004年7月.
外商投資企業も、大きく分けて、外資100%の外商独資企業の設立と、中国資本が入った中外合弁企業の設立の2つのケースがあります(少数ながら、中外合作企業の設立、外商投資パートナーシップの組成といった方法も存在します)。, 近年、中国における外資規制が緩和傾向にあることもあり、中外合弁の形を取らない外商独資での進出が増加傾向にあります。2016年における外商投資企業の総設立件数27,900件のうち、6,662件(約24%)が中外合弁企業、21,024件(約75%)が外商独資企業でした。, なお、「外商投資産業指導目録」(2015年版が最新)に基づき、外資の新規参入にあたって中外合弁の形態を強制される規制業種に該当する場合は、必ず中外合弁の形態を採用する必要があるという点には注意が必要です。, 日系企業が独資で中国に進出する場合との比較における、中国企業との合弁事業の主なメリットとデメリットは下表の通りです。, 合弁企業の設立や運営等、現地でのオペレーションのあらゆる面において、合弁相手の協力を得ることができるという点は、海外で現地企業と合弁を組むうえでの一般的なメリットですが、特に中国の場合はその国柄もあり、メリットは非常に大きいものといえます。, その反面、中国資本が入ることによる様々なデメリットも考えられます。合弁契約の適切なドラフティング、出資者によるガバナンスの仕組みの整備、合弁企業の社内規則の整備等の対策を通してこれらのデメリットを可能な限りミニマイズすることが重要です。
主任研究員 柯 隆. A http://www.canon-igs.org/column/171124_seguchi.pdf. 習近平政権は10月の党大会(中国共産党第十九回全国代表大会)を経て第2期に入った。景気動向を見ると、一昨年および昨年は経済成長の減速を懸念する見方が強まったが、今年は輸出、投資、企業収益の回復などを背景に数年ぶりの安定した状況にある。, このため、悲観論に傾いていた民間企業の経済の先行きに対する見方もある程度明るさを取り戻し、昨年伸び悩んだ民間設備投資も徐々に回復してきている(注)。, (注)足許の経済情勢に関する詳しい説明は、キヤノングローバル戦略研究所ホームページ掲載の筆者リポート「中国経済は緩やかな低下傾向から横ばい圏内の安定状態へ ~深圳をモデルとする「創新駆動発展戦略」に基づく雄安新区の建設~<北京・広州・上海出張報告(2017年10月22日~11月5日)>」をご参照ください(URL= http://www.canon-igs.org/column/171124_seguchi.pdf)。, 中国政府は公式文書の中で、今年の夏場以降、経済状態を表す表現を変更し、従来の「平穏」(=安定)から「穏中向好」(安定しつつ良好な方向へ向かっている)としている。この表現を中国政府が用いるのは筆者の知る限り2013年4Q以来である。, 足許の様々な経済指標から総合的に判断して、マクロ経済については、予想外の外的ショックがない限り、少なくとも2020年頃までは安定した状態が続く可能性が極めて高いと考えられる。この点では第2期習近平政権は順調に滑り出した。, しかし、もともと習近平政権の最重要経済政策課題はマクロ経済政策運営ではなく、供給側構造改革の実行である。, 党大会における習近平主席スピーチの中でも、新時代の主要な社会矛盾は人民の需要と発展の間の不均衡であるとして改革の全面的深化の堅持を強調している。, この主要な社会矛盾の原因となっている構造問題は難題ばかりである。特に重要課題であると考えられるのは、第1に、貧富の格差・都市と農村の格差、地域間格差など格差の縮小、第2に、地方財政の健全化、第3に国有企業改革である。, このほかにも、医療・社会保障・環境等民生問題の改善、イノベーションの促進、金融自由化の推進など取り組むべき課題は山積している。, 第1の格差の縮小は社会を安定させ、共産党に対する国民からの信頼を確保していくうえで極めて重要である。, 第2の地方財政の健全化は地方財政の安定的財源確保、不動産開発収入依存体質からの脱却、不動産バブル形成・崩壊リスクの軽減、企業債務の縮小につながる。, 逆にこの問題を先送りすれば、中国経済はこれらの様々な深刻なリスクに晒されることになるため、この課題への取組みも非常に重要である。, 第3の課題は、中国の主要産業の中核として中国経済を支えてきた重要な存在である国有企業の経営問題である。, 近年、国有企業は民間企業との比較において、経営効率の低さ、利益率の低さなどが顕著であり、その改革の必要性が強く認識されている。, この改革が遅れると中国の産業競争力が低下し、貿易赤字、財政赤字の拡大をもたらし、中国経済の安定確保に重大な悪影響を及ぼすと考えられている。, 第2期習近平政権が直面するこれらの重要課題のうち、格差問題と地方財政問題は非常に深刻な状況にあり、早期に大胆な改革の断行が不可欠であると筆者も考えている。, これに対して、国有企業改革に関する筆者の見方は一般的な見方とやや異なる。以下ではその点について説明したい。, こちらはJBpress Premium会員(有料会員)限定のコンテンツです。有料会員登録(月額 500円[税抜]、最初の月は無料)をしてお読みください。, ※「JBpress」に掲載している記事や写真などの著作権は、株式会社JBpressまたは執筆者などコンテンツ提供者に帰属しています。これらの権利者の承諾を得ずに、YouTubeなどの動画を含む各種制作物への転載・再利用することを禁じます。.