ビットコイン(Bitcoin)取引所規制と金融機関による新たな取り組み

仮想通貨の基礎知識

2015年9月22日に、アメリカニューヨーク金融サービス局(New York State Department of Financial Services:NYDFS)が、ビットコイン(Bitcoin)関連業者のサークル・インターネット・フィナンシャル(Circle Internet Financial)にビットライセンス(Bitlicense)を交付したことを発表。

アメリカでは、州ごとに税法が異なるように、仮想通貨に対する規制も異なっている。

ニューヨークの場合は、2014年のマウントゴックス(Mt.GOX)の破綻を受けて、ライセンス制にすることを決定。

・利用者保護
・コンプライアンスの遵守
・サーバーなどの安全性の確保

を主な目的としている。

ライセンス制の導入で、ニューヨークからは、多くの業者が姿を消すこととなった。

今後、ライセンス制が、世界各国でどのように評価されるのか注目されている。

日本では、2016年の通常国会で、規制についての法案が提出される見通しとなっている。

顧客保護の目的で、取引所が預かっているビットコイン(Bitcoin)などの資産を、分別管理する義務を課したり、マネー・ロンダリング対策である犯罪収益移転防止法が適用になる可能性があるとされている。

銀行に課されているものと同じような規則が課せられることによって、仮想通貨取引所は、運営コストと顧客の獲得コストが上昇するのではないかと懸念している。この部分のコストは、少なからず顧客に跳ね返る形になるので、将来的には、口座開設、維持、取引の手数料が設定・上昇される可能性が高い。

ビットコイン(Bitcoin)取引所に銀行免許交付

ビットライセンス(Bitlicense)の交付に先駆けて、2015年5月7日、イットビット(itBit)が、NYDFSから銀行免許の交付を受けた。

イットビット(itBit)は、ビットコイン(Bitcoin)の両替と取引を主に扱っているので、本来は、ビットライセンス(Bitlicense)基準になるのだが、よりハードルが高い銀行免許を取得した。

イットビット(itBit)は、2016年1月末時点で、香港・スイスを含む17カ国・地域にOTCパートナーがおり、サービスを展開している。
(OTCは、Over The Counterの略で、「店頭取引」とも呼ばれ、売手と買手が相対で取引を行うものを指す。)

イットビット(itBit)が公式に発表している、ビットコイン(Bitcoin)取引データでは、

2016年1月に、

ビットコイン(Bitcoin)の取引量:21,287XBT
1日平均ビットコイン(Bitcoin)の取引量:1,064XBT
米ドルの取引量:860万ドル相当
前月比での取引量:マイナス8.6%

取引で注目されているのは、アメリカ以外の国での取引量で、

日本は、377%
カナダは、171%
インドは、67%

の伸びとなっている。

他の両替・取引所の1日の取引量は、

bitstamp:8,315 BTC
Kraken:6,528.84XBT
BTC-e:5,168 BTC

なので、イットビット(itBit)の規模はまだ小さいといえる。

日本国内で、月間取引量・ユーザー数・資本金において国内最大のビットコイン・ブロックチェーン企業とされているビットフライヤー(bitFlyer)は、1日の取引量3,588BTC。

ナスダック(NASDAQ)にブロックチェーン技術導入

アメリカにある世界最大の新興企業(ベンチャー)向け株式市場。

2015年5月から、未公開株取引市場にブロックチェーン技術を取り入れる実験を開始している。

2014年1月に設置された市場で、75社以上の未公開企業が登録している。

弁護士が内容を確認し、履歴を保存するという形で取引されている部分を、スマートコントラクトの形に変更し、自動で取引できる環境を目指している。

各国の金融機関でも続々と仮想通貨に関する動きがある。

    2014年5月
    ドイツのFidor銀行が、
    送金システムにリップルを採用

    2014年9月
    アメリカCBW銀行、Cross River銀行が、
    リップルのプロトコルを導入し、オープンソースに対応

    2014年11月
    スペインのBankinter銀行が、
    分散型ビットコイン取引プラットフォーム
    を開発するスタートアップ企業コインフェ・イン(Coinffeine)へと出資

    2014年12月
    オランダ国営ABNアムロ銀行が、
    ブロックチェーン研究を開始

    2015年1月
    スペインのBBVA銀行、
    アメリカのUSAA銀行などが、
    取引所のコインベース(Coinbase)へ出資

    2015年3月
    ロシアのSberbank銀行が、
    SBTベンチャーキャピタを通じて、
    ベンチャーファンドを作成

    2015年4月
    スイスのUBS銀行が、
    ロンドンにブロックチェーン研究所を設置

    アメリカのBNY Mellon銀行が、
    独自のコイン「BKcoin」を発行

    Goldman Sachs銀行が、
    ビットコイン(Bitcoin)ウォレットサービスを提供する
    Circle Internet Financial(Circle)へ出資

    2015年5月
    アメリカのUSAA銀行が、
    ブロックチェーンの研究チーム立ちあげ

    2015年7月
    アメリカのCiti銀行が、「Citicoin」開発中を認める

    2015年11月
    アメリカのUSAA銀行が、
    コインベース(Coinbase)のアカウントを接続し、
    ビットコインの情報を得ることが可能なアプリを発表

    2016年2月
    三菱東京UFJ銀行が「MUFGコイン」開発

(ニュースでは、R&Dと表記されているものがあるが、Research and developmentの略で、研究開発の意味となる。)

ブロックチェーン(BlockChain)とP2Pを利用した取引システムが、大きく注目され、金融業界でも取り組みの流れが強化されている。

ビットコイン(Bitcoin)決済システム提供会社

WEBサイトで商品やサービスを販売する時に、ビットコイン(Bitcoin)で決済が可能になるシステムを提供している会社がある。

Bitpay、Bitnet、日本国内ではコインパス(CoinPass)など。

これまで一般的な決済手段であるクレジットカード・デビットカードでの決済、銀行振込に加えて、ビットコイン(Bitcoin)での決済が可能になることで、販売機会より多く獲得できることにつながる。

ビットコイン(Bitcoin)決済システムの手数料としては、

Bitpay:決済手数料1%、取引量制限なし
コインパス(CoinPass):500ユーザーまで、決済手数料1%、月額なし

となっている。

クレジットカードの決済サービスを提供しているPaypalは、初期3.6%+40円/件(日本の場合)となっているので、かなりお得な設定になっている。

理由としては、まだ、ビットコイン(Bitcoin)決済システムは、取引量が多くなく、手数料を高く設定してしまうと、導入への足かせになるのが分かっているからだろう。今後、ビットコイン(Bitcoin)での決済が増加していくと、手数料も上昇していく可能性がある。

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