大手取引所のKrakenで、USDの入出金メニューがなくなったタイミングで、新たに、Tether USD(USDT)での入出金が可能となった。
Kraken launches support for new currency – Tether (USDT)! https://t.co/rxiBZg0w6h pic.twitter.com/FG8yYfotvH
— Kraken Exchange (@krakenfx) 2017年3月29日
Tetherは、つなぐという意味を持つ英語で、Tether USD(USDT)は、USDを担保に、仮想通貨/暗号通貨に形を変えたものになる。
運営元は、Tether Limited.
発行されているのは、Tether USD、EUR、JPY
「CryptoCurrency Market Capitalizations」では、市場規模が第18位となっている。
Tetherの特徴としては・・・
1)通貨として安定している
Tetherは、現金を仮想通貨/暗号通貨に変更したもので、米ドル、ユーロ、日本円などの通貨の価値を固定もしくはつなぐもの。
2)100%担保されている
全てのTetherは、1対1で、現金(伝統的な通貨)によって担保されている。1USDTは、1USDとイコールの価値になる。
3)透明性がある
保有している準備金は日々公開されていて、専門家による監査も頻繁に受けている。全てのTetherは、準備金とイコールの関係になっている。
4)ブロックチェーンの技術が用いられている
Tetherのプラットフォームは、セキュリティと透明性のあるブロックチェーンの技術で組み上げられていて、
5)広い融合姓がある
Tetherは、今日最も広く仮想/暗号と現実通貨を融合させたもの。売買できるのは、Bitfinex, Shapeshift, GoCoinなどの取引所となる。
6)安全である
Tetherのブロックチェーン技術は、世界的なコンプライアンスと規則に適合している。
USDとEURに関する資産バランスは、リアルタイムに公表されている。
Tether Limitedが単独で管理しており、利用者の信頼がなければ、資金が集まらないためだ。
逆に言うと、Tether Limitedにトラブルが発生してしまったら、入金した現金が戻らず、Tetherの価値がなくなってしまう可能性を秘めていることになる。
これは、どこの取引所にも存在するリスクになるが、利用する場合には、予め認識しておかなければならない。
Tetherはどこでも利用可能ではない
Tetherは、どこの国・地域でも使えるわけではなく・・・
公式サイトの記述によると・・・
Current countries with limited functionality:
Afghanistan, Albania, Algeria, Angola, Cambodia, Democratic People’s Republic of Korea, Ecuador, Guyana, Indonesia, Iran, Iraq, Lao People’s Democratic Republic, Myanmar, Namibia, Nicaragua, Pakistan, Papua New Guinea, Sudan, Syrian Arab Republic, Uganda, Yemen, Zimbabwe
Current U.S. states with limited functionality:
Delaware, Georgia, Hawaii, Idaho, Kentucky, Ohio, Tennessee, Virginia, Washington, Wisconsin, Wyoming
Please access tether through our exchange partners Bitfinex or Kraken, for now.
Tetherを使用する際の手数料は・・・
・Tether.to Wallet:無料
・Tether-enabled Blockchain Wallet:無料
・Bank Account:10 basis points or $20 USD(高い方が適用される)
パートナーの取引所は、BitfinexもしくはKrakenとされている。
KrakenでのUSD/USDTのチャートは・・・
以前は1USDの価値だったが、ここにきて、0.92USD台をつけるようになっている。
Bitfinexでの入出金トラブルと経過
Bitfinexは、香港の取引所で、運営元の会社は、BVI法人であるiFinex Inc.。
At 20:00:00 UTC, #Bitfinex will be redeeming 100% of all currently issued and outstanding BFX tokens. See announcement for more details.
— Bitfinex.com (@bitfinex) 2017年4月3日
4月11日付けの「coindesk」の記事では、
http://www.coindesk.com/bitcoin-exchange-bitfinex-sues-wells-fargo-over-bank-transfer-freeze/
先週、Bitfinexは、Wells Fargo(ウェルス・ファーゴ)が、取引先である台湾のKGI Bank, First Commercial Bank, Hwatai Commercial Bank, Taishin Bankに対して、Bitfinexに関する電子送金を禁止しているとして、Wells Fargoを提訴した。
原告は、台湾を拠点としているiFINEX INC.と、2つのBVI法人、デジタル資産の送付会社であるTether。
Wells Fargoによる送金ストップで、Bitfinexは、75,000USD以上のダメージを受けた。
「coindesk」が公開している訴状によると、原告の表記は、
iFINEX INC., BFXNA INC., BFXWW INC., TETHER LIMITED
になっている。
USD Withdrawal Delays and Bank Holidays: https://t.co/uvuLBPdSEB
— Bitfinex.com (@bitfinex) 2017年4月13日
While we develop additional currency offerings, we're disabling USD deposits until further notice: https://t.co/jCLSa2CgCp
— Bitfinex.com (@bitfinex) 2017年4月17日
4月13日からの出金の遅延について・・・
2017年4月18日からBitfinexへの全ての入金が、台湾の銀行によって、ストップ・拒否されることになる。全ての通貨に適応される。
入金・出金について、代替手段を見つけるべく動いている。
Latest update on money flow: https://t.co/gVvI034P5z
— Bitfinex.com (@bitfinex) 2017年4月20日
4月20日には、入出金の遅れについて、代替手段がなかなか見つからない状態。しかし、HKD(香港ドル)とCHF(スイス・フラン)については、出金が可能で、台湾国内での出金に関しては、全ての通貨が遅れなく可能となっている。
また、Bitfinexの資産は、全ての顧客の預入金を上回っている。
この騒動を受けて、BitMexでは、Bitfinexでは、USDを仮想通貨に交換する希望が殺到するために、他の取引所との仮想通貨の価格差が発生するので、もはやUSD/Bitcoinの取引所とは見なせないと発表している。
Market Disruption Event: OKCoin International https://t.co/7j3lkjz2G6
— BitMEX (@BitMEXdotcom) 2017年4月19日
また同様に、中国の取引所であるOKCoinでも、USDの入金停止が発生。
USD Withdrawals Update: https://t.co/1KbtfMoUPG
— Bitfinex (@bitfinex) 2017年5月12日
BitfinexとTetherの関係
Tetherのパートナー取引所として紹介されているBitfinex。
Bitfinexといえば、2016年8月にハッキングされて、約119,756BTCが盗まれた。その後、顧客への補填として、独自のトークンである「BFX」を発行し、Bitfinexの親会社であるiFinexの株式、または1BFX=1ドルのレートで交換可能となっていた。
当初は、ほとんどの顧客へ資金が戻らずに破産してしまうだろうと見られていたが・・・
2017年4月3日に、BFXトークンの償還が完了したことが明らかになっている。
At 20:00:00 UTC, #Bitfinex will be redeeming 100% of all currently issued and outstanding BFX tokens. See announcement for more details.
— Bitfinex.com (@bitfinex) 2017年4月3日
Tetherの公式ページで、関連会社として名前が挙げられているのが、Tether Holdings Limited, BFXNA Inc., iFinex Incなどになる。
BitfinexとTetherは、共に、iFinex Incと関連がある会社となっている。
BitfinexのUSD入出金停止の影響により、Tetherの利用価値を疑問視される形になり、TetherからBitcoinなどの仮想通貨への交換需要が増大し、Tetherを求める顧客は少なく可能性が高い。
BTCの価格を参考にすると、2017年4月27日現在で・・・
Bitfinex:1BTC=1,404.4USD
Kraken:1BTC=1,301USD
約100USDもの価格差が発生しており、他の仮想通貨でも同じ現象が見られる。
中国の取引所での規制後、大きく取引ボリュームが減ったビットコインだが、その中で、Bitfinexが、取引量1位、マーケットシェア16%以上を誇っている。
今後、Bitfinexは、USD入出金の停止によって、USDなどの通貨とTetherUSDの仮想通貨への交換需要、そして、仮想通貨の引き出し需要が加速し、取引量が激減し、Tetherの利用希望者が少なくなってしまうのか。経過を見守っていく。
New Post: "Service changes for U.S. customers” https://t.co/DR226k9RP3
— Bitfinex (@bitfinex) 2017年8月11日
BTC暴落、BCH暴騰:ハードフォーク前に
2017年11月14日に実施されたビットコインキャッシュ(BCH)のハードフォークに先駆けて、ビットコインキャッシュの価格が大きく上昇し、ビットコイン(BTC)の価格が大きく下落した。
一因としては、採掘の収益性が、ビットコイン < ビットコインキャッシュ となり、マイナーたちが、ビットコインの採掘から、ビットコインキャッシュの採掘に移動したためとされている。
採掘の収益性などの比較は、「fork.lol」のサイトで確認できる。
ビットコインから派生して誕生したビットコインキャッシュについては、
・ビットコインが無くなって、ビットコインキャッシュがこれからのビットコインの未来
・ビットコイン=価値の保存、ビットコインキャッシュ=送金、決済 という役割を持ち併存する
様々なお話がある。
今回のビットコイン価格暴落に際して、ビットコインの買い支えについてのお話しが出てきている。
Tether(USDT)発行を巡る噂
ビットコインの価格は、もっと下がっても良かったはずなのに、なぜか不自然な買いが入り、価格を維持、戻していると指摘する声がある。
ビットコインの買い支えをしている資金の一部と見られているのが、Tetherになる。
Tetherは、2014年10月から累計で、565,000,000USDTが作られているが、その内、240,048,400USDTが、2017年9月から約2ヶ月で造られたものになっている。
新規のユーザーがたくさんBitfinexに口座開設して、入金したためとも考えられるが、それにしては急激すぎるという。
たしかに、市場規模を表している水色のラインが、すごい勢いで上昇しているのが分かる。
発行量と保有アドレス一覧は・・・
bittrex:245,432,814USDT
Poloniex:150,000,000USDT(2017年10月27日から移動なし)
:51,306,833USDT
Bitfinex:27,671,195USDT
Tetherの24時間の取引量一覧は、
取引量からは、PoloniexとBittrexが多く、Bitfinexが、USDTでの取引で大きな規模を占めているとは言えない。
どのようにUSDTが、Bitfinex から PoloniexとBittrexへ渡っているかが分からないが・・・
All tethers are backed 100% by actual assets in our reserve account
と明示されているので、それだけの資金流入が、Bitfinexにあったという理解になる。