2020年11月3日、人民日報が中国での仮想通貨の売買サービスの提供は違法であるとの見方を示しました。中国での「仮想通貨」の保有と取引に関する法的分析
1)仮想通貨の獲得
2)仮想通貨の売買
3)仮想通貨の送付サービス
3つの側面から、Announcement 94とCircular 289により明確に禁止されているのか?というポイントを確認しています。
仮想通貨の発行組織と送付サービス組織は違法
“Announcement on Preventing Token Issuance Financing Risks”
“Notice on Preventing Bitcoin Risks” (Yinfa [2013] No. 289)
中国の現在の金融規制政策では、仮想通貨の問題は、法的に登録されていないのに、金融や投資の属性を有しているということです。そのため、金融セクターでは、法定通貨での交換や売買や、取引を提供するカウンターパーティーが禁止されています。
結論としては、
・多くの地方裁判所の判決文書では、仮想通貨は資産として認識され、保護されている
・個人が仮想通貨を購入して保有するのは比較的合法な形で実現可能
・売却の過程で違法になる可能性あり
・仮想通貨の発行組織と送付サービス組織は違法
というものです。
中国での規制強化関連情報
このような報道が出たのは、中国で活発に取引されているOTCの規制が目的と見られています。
以前から中国では仮想通貨への取締が広く行われており、中国人が経営する取引所も中国外へ拠点を移しています。
しかし中国人へのサービス提供などの疑いから中国の警察当局の捜査が入ったりしています。
参考:暗号資産交換業者OKExが出金停止、中国警察当局の捜査入る
中国人民元のデジタル通貨化などもあり、規制が強化されているのでしょう。
購入して保有できても売れない・送れない=取引禁止となると、いくら対法定通貨での価格が上昇しても魅力がないということになります。
FinCENがしきい値を3,000米ドルから250米ドルへ
仮想通貨の送付については、FATFのVASP(Virtual Asset Service Provider)へのトラベルルール順守が求められています。
国際基準を確立し、マネーロンダリングやテロ資金供与と戦うための国内および国際レベルの政策を策定および促進することを目的とした政府間政策立案機関です。1989年に組織され、32の国・2つの地域により構成されています。
そんな中、FinCENが米国外での資金移動の金融機関内での情報送付について、しきい値を3,000ドルから250ドルに引き下げることを提案しています。これには、仮想通貨も含まれています。(アメリカ国内では3,000米ドルのまま)
マネーロンダリング防止およびテロ対策(AML / CFT)を含む国際基準の採用を促進するための財務省の取り組みを支援。
FATFの代表団を1994年から1998年の間率いていました。
まとめ
世界的に仮想通貨の送付についての規制強化の流れの中にあります。
仮想通貨と法定通貨のリンクがどんどん外れ、価値の尺度が対法定通貨メインではなく、プロジェクトの内容や利便性に移っていく可能性があります。
仮想通貨だけの経済圏(仮想通貨とモノ・サービスを交換する)ができるのは間違いないでしょうが、法定通貨とのリンクが薄くなると、ゲーム内のゴールドやポイントのように、独自の基準が設けられることで、期待しているほどの価値を持たないというケースが出るかもしれません。
仮想通貨に取り組むのであれば、無くなったら困るお金ではなく、余裕があり無くなっても問題ない範囲のお金でのみ取り組む必要があります。