タックスヘイブンとして有名な「ケイマン諸島」
3つの島からイギリスの海外領土で、キューバやジャマイカ近くのカリブ海に位置しています。
住民は、約5万7千人ですが、観光以外の大きな産業がないため外国企業を積極的に誘致して、徴税をするシステムを取っています。
1社当たり年間の政府関連費用が、5万円からとなっているので、法人を誘致すればするほど、安定的にお金を得ることできます。
▼日本からの資金
日本銀行の調査で、2013年度日本からケイマン諸島への投資額が、55兆円になっているとのこと。
平成24年末合計投資:55兆円(549,814億円)
直接投資:5兆円(51,607億円)
証券投資:50兆円(498,207億円)
平成13年末合計投資:18兆円(186,411億円)
直接投資:1兆円(11,400億円)
証券投資:17兆円(175,011億円)
(出典:日本銀行「直接投資・証券投資等残高地域別統計」)
直近の11年間で約3倍になっています。
平成24年度のデータで、直接投資、証券投資の金額を比較してみると、
ケイマン直接投資:5兆円(51,607億円)
◯各国への直接投資
・アメリカ :24兆円(247,332億円)
・中国 :8兆円(80,463億円)
・オーストラリア:5兆円(52,952億円)
・イギリス :4兆円(46,574億円)
ケイマン証券投資:50兆円(498,207億円)
◯各国への証券投資
・アメリカ :100兆円(1,023,967億円)
・中国 :1兆円(9,021億円)
・オーストラリア:14兆円(143,300億円)
・イギリス :18兆円(186,886億円)
アメリカへの資金額は別格ですが、特に証券投資として、ケイマンへいかに資金が流入しているかというのがわかります。
▼巨額の資金の移動元
日本の大手銀行も設立、管理、資金調達コストの削減のため、ケイマン諸島に特定目的会社(SPC:Specific Purpose Company)を子会社として保有しています。子会社は、証券発行を主な目的としているようで、ケイマンでの業務は、地元業者さんへ委託している部分もあります。
ある大手銀行の複数の子会社の資本金を合計すると2兆円を超えることがわかっています。中小企業が数千万円単位で、資金を移動しているだけではなく、大手企業が数百億、数千億単位で、資金を移動して、活用しているので、55兆円規模になっているようです。
各国の財政状況悪化にともない、多国籍企業の課税逃れを防ぐため今後調査が強化され、タックスヘイブン国・地域でも企業の関係や投資金額などが徐々に明らかにされるのは必至ですね。
▼日本との租税協定
2013年11月13日に
「脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての
課税権の配分に関する日本国政府とケイマン諸島政府との間の協定」
が発効されました。
これにより、本協定は本年11月13日に発効し、双方において、同日以後に課される租税について適用されます。
ただし、課税権配分に関する規定は、次のものに適用されます。
・源泉徴収される租税に関しては、2012年1月1日以後に租税を課される額
・源泉徴収されない所得に対する租税に関しては、2012年1月1日以後に開始する各課税年度の所得
(財務省HPの記述を参照)