中国銀行のマネロン幇助疑惑と海外送金サービス

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イタリア・トスカーナ州で、中国銀行ミラノ支店の行員4人などに対し、マネーロンダリングと脱税の罪で、イタリアの検察当局より起訴状が請求されました。

「カネの流れ(River of Money)」事件と呼ばれています。

イタリアのトスカーナ州には、チャイナタウンがあり、多くの中国人移民が生活しています

現地で中国人は、縫製工場を経営しており、労働者の大半は不法移民のため、給料のピンハネが日常的に行われています。

2008年からの検察当局の捜査で、2006年から2010年にかけてMoney2Money(M2M)の送金サービスを通じてイタリアから中国へ45億ユーロの不正送金があり、その内、22億ユーロが、中国銀行ミラノ支店を経由しており、中国銀行が送金で得た手数料は、75万ユーロだったと判明しています。

無制限送金サービス「優匯通」

中国からの現金の持ち出し

・5,000米ドル以内:自由
・5,000米ドル超から1万米ドル:銀行にて「携帯証」を入手後出国
・1万米ドル超:銀行にて「携帯証」を入手後、国家外貨管理局で許可印を得て出国可

という制限があります。

また、中国人が、1年に外貨両替や海外送金できる金額は、5万米ドル相当という制限もあります。

そんな中国で、人民元国際化のために、人民元の送金業務のテストケースとして導入された無制限送金サービス「優匯通」があります。

中国銀行のオフィシャルサイトでは、公式に告知されていませんが、・投資条件を満たして海外移住する場合・海外不動産を購入する場合など、定められた目的の中で利用が可能になっています。

中国銀行広東支社のみが「優匯通」を提供しており、人民元を無制限に国外に送金して、中国銀行ロンドン支店、東京支店、パリ支店などで外貨に換金するとのこと。

中国国内での換金でないため、「外貨持ち出し」に当たらず、また、外貨管理当局の兌換システムを利用していないので、外為管理法の換金制限に抵触しないという扱いです。

中国の民間調査機関「胡潤研究院」と中国銀行がまとめた調査によると、1000万元以上の資産を持つ中国の富裕層の半数近くが移民を検討していることが分かっており、その内の3分の1が、既に海外不動産などを保有しています。

その一方で、「多維新聞網」によると、中国人によるマネーロンダリングが2014年度には、1兆元に上っているとのこと。

賄賂や脱税、犯罪などで不法に得たお金を偽名・匿名口座へ送金し、不動産や株を購入するなどして、資金源が特定されないよう対策しています。中には、政府関係者も数多く含まれていると言われています。

中国銀行への新たな規制

総資産額に基づいた銀行のグローバルランキングで5位になっている中国銀行。

金融安定理事会(Financial Stability Board:FSB)が発表した、金融システムへの影響が大きい「巨大銀行」への新たな規制の対象に名前が挙がっています。

規制の主旨は、経営破綻した場合に、救済のために税金の投入を避けるべく、リスク資産に対する社債や資本などの割合を2019年に16%へ、2022年に18%へ2段階で引き上げるよう求めるものです。

中国銀行含め、中国の銀行4行が対象となっていますが、中国では、預金者からお金を集めて、企業などに融資する経営モデルが一般的で、社債などの長期債市場が発展しておらず、リスク資産に占める社債や資本などの絶対額が低くなっています。

そのため、中国は、他国の銀行よりも、6年猶予がある形で、2025年、2028年までに上記の基準を達成する必要があり、国際決済銀行(Bank for International Settlements:BIS)によると、中国の4大銀行が、必要な起債額は、2025年までに2,870億ドル2028年までに3,780億ドルとかなり大きな額になっています。

中国の経済が発展し、世界で影響力を持っていく中で、世界の水準に沿った基準が求められるようになり、金融機関を含め、大きな転換期を迎えています。

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