日本居住者が海外に保有する口座情報が、ケイマン諸島など英領のタックスヘイブンの協力も得つつ、2018年から国税庁に集約されます。全ての資産が捕捉される日が近づいています。
国境を越えた税逃れに国際連携で対抗する
海外にある財産についての相続申告漏れは、13年事務年度(13年7月から14年6月)に前年度の6倍強年間163億円と急増しました。
国税庁は、日米欧など主要20カ国・地域(G20)と先進国を中心とした経済協力開発機構(OECD)の加盟34カ国に加え、英領バージン諸島、ケイマン諸島、バミューダ、マン島など英領のタックスヘイブンからも日本人の海外口座の情報を得ることができる新しい枠組みを作っています。
この枠組みにより、2017年末時点で、日本居住者が海外に持つ預金、証券、保険などの金融口座の名義、住所、残高、利子や配当の年間受取額などの情報を連携する海外の税務当局から国税庁へ2018年9月までに集めることになっています。
口座情報交換の流れ
サラリーマンが海外駐在中に、複数の国で銀行口座を開いた口座の情報も2018年からは把握できるようになります。
例えば、日本と香港の場合は、
日本居住者が香港で口座開設
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
香港金融機関が香港税務当局へ口座情報を報告
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
香港財務当局が日本税務当局へ情報を提供
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
日本財務当局が日本居住者へ調査・課税
という流れになっています。
日本の金融機関が、国税庁に報告する口座の各情報としては、名義、住所、残高、利子、配当の受取額が予定されています。国税庁は情報をもとに、日本に住む人が海外の口座で得た利子や配当などの所得を正しく申告しているか確認をすすめます。
口座の名義人が死亡した時、相続人が正しく相続税を納めたかの確認もすすめます。
海外財産調書制度
国税庁は、海外への資産流出および相続の申告漏れの現状を危惧し、2014年からは海外に5000万円を超す資産を持つ日本居住者に対して、税務署への申告を義務付けています。
海外預金口座・不動産・株式などの全ての資産が含まれており、合算して5000万円を超えるのに故意に申告しなかったり、虚偽の記載をした場合などには、1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科されます。
外貨で表示されている国外財産の価格は、その年の12月31日における外国為替の売買相場により行うもので、また、国外財産を借入金で取得した場合であっても、その国外財産の「時価」又は「見積価額」の価額の算定に当たり、借入金元本を差し引くことはできません。本人が意図しないところで、申告漏れにならないように、いままで以上に注意が必要になってきます。