香港の証券会社買収事情

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2010年7月のマネックスグループによる香港BOOM証券グループ経営権取得

2015年5月の楽天証券による香港法人FXCM HongKongの買収発表など

日本企業や中国企業による香港証券会社買収がよく報道されています。

背景には、香港の証券会社の数、そして、上海市場との関係があります。

香港での金融ライセンスの種類

香港証券先物取引委員会へ申請して取得可能なライセンスの種類は、10種類。(Securities & Futures Commission of Hong Kong:SFC)

タイプ1)株式取引(Dealing securities)
タイプ2)先物取引(Dealing in futures contracts)
タイプ3)為替取引(FX)(Leveraged foreign exchange trading)
タイプ4)株式アドバイス(Advising on securities)
タイプ5)先物アドバイス(Advising on futures contracts)
タイプ6)法人財務アドバイス(Advising on corporate finance)
タイプ7)トレードサービス(Providing automated trading services)
タイプ8)証券ローン(Securities margin financing)
タイプ9)資産管理(Asset management)
タイプ10)クレジット格付け(Providing credit rating services)

となっています。

ライセンスを取得している業者は、2014年度3,680社あり、(「SFC_AR-2014-15_ENG.pdf」43ページより)実際に稼働しているのは、500社以上あるとのこと。ちなみに、日本は、2014年末で253社あります。(日本証券業協会 「会員数及び資本金の推移」より)

中国企業による香港証券会社の買収

2015年5月、アリババグループのジャック・マー会長と複数の投資家が設立した投資会社によって、香港の証券会社「瑞東集団」の株式56%が、27億香港ドルで買い取られました。

2014年以降に、上海と香港株式市場の相互乗り入れが可能となった「滬港通」制度の実施により、中国系資本が香港の証券会社を買収しています。

買収が好まれるのは、1から新たに証券会社を設立するよりも、手続きがスムーズで、時間がかからないという利点があるためです。

単純に人口だけで比較すると、

香港:717万人(2013年2月時点 外務省HPより)
日本:1億2688万人(2015年末 総務省HPより)

証券会社の数は、多い水準ということができますが、

10人に1人が富豪と言われており、さらに、外国人が投資しやすいように門戸が開かれているので、簡単に数だけで比較はできません。

また、証券会社のディーラーさんから香港とシンガポールの違いについて聞いた話だと、

「香港は、シンガポールに比べて、法律・制度の縛りが厳しくないため、やりたいことが、比較的自由にできる」

とのことでした。

他国の証券会社にとって、積極的に顧客を取り込み、魅力的なサービスを展開していく上で、制度が整っている香港は、進出メリットが多いと捉えられているようです。

「滬港通」制度の開始は、香港の証券会社にとってチャンスといえ、中国系の証券会社が恩恵を受けている一方で、香港に根付いている証券会社は、「滬港通」に参加していないケースも多いようで、取引を考えている場合は、事前に確認が必要となります。

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