香港一の大富豪の本社移転先は・・・

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香港一の大富豪、李嘉誠氏。
2015年版フォーブスの長者番付で、総資産335億米ドルとなっています。その氏がトップをつとめる、長江実業集団と和記黄埔が、合併・再編されて、本社を香港からケイマン諸島に移すことが明らかになりました。

ケイマン諸島に移転する理由は・・・

後継者とグループ企業の経営環境を整える目的があり、また、法律の運用や解釈が柔軟で、ビジネス展開がしやすいからということが明らかになっています。李氏は、2014年に、グループ会社が投資していた中国のショッピングモールなど不動産物件を全て売り抜けて、欧州やカナダでの不動産開発プロジェクトに積極的に乗り出しています。また、香港での民主化運動について、中国政府の対応を批判するコメントを出しており、香港での民主化運動が不調に終わったことで、香港と中国に見切りをつけたと見られています。

中国不動産業者のデフォルト

香港証券取引所に上場している佳兆業集団が、2015年1月8日オフショア債で債務不履行(デフォルト)に陥ったと報道されています。外国人投資家が保有している5億米ドル相当の社債の金利支払いができなかったものです。2014年11月以降は、社債相場が、80%程度急落して、香港証券取引所に上場している株は、2014年12月29日に取引停止となっています。

中国の不動産業者を取り巻く環境は、今後厳しくなり、高いリターンが期待できず、バブル崩壊により、人民元や資産が大幅に切り下げられる可能性があるという話も出ています。中国経済の先行きが不透明な中での香港一の大富豪、李嘉誠氏の行動ですので、注目を浴びている形になっています。

ケイマン諸島に移転した後の展開

李嘉誠氏の会社は、ケイマン諸島に本社を移したのち、

・長江実業地産(長地)→不動産事業の運営・保有
・長江和記実業(長和)→不動産以外の運営

の2社体制になります。

ケイマン諸島を本社とする法人は、ニューヨーク証券取引所上場のアリババ、東証マザーズに上場の新華ホールディングス、などありますが、ケイマン諸島は、企業統治制度、株主保護制度が整っているため、ロンドン、ニューヨーク、ナスダック、香港、東京で上場が可能となっています。

多くの企業は、外国で上場をすることにより、その国・地域で知名度を上げて、株式公開に伴う広報活動や提携企業探しが狙いとなっています。

ますます、・ケイマン諸島を本社 ・グループ会社を各国法人という形で展開するグループ企業が増加しそうです。

photo credit: HK夜景/Night shot of HongKong via photopin (license)

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