ルクセンブルグと投資信託

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国際調査報道ジャーナリスト連合(International Consortiumof Investigative Journalists)の26カ国・80人のジャーナリストにより作成された28,000ページのレポート「ルクセンブルク・リーク」が2014年11月に発表されました。

ルクセンブルクが、343の企業へ「comfort letters」と呼ばれる、優遇税制を適用しているという内容です。
(ルクセンブルクの優遇税制を利用しているということだけなので、違法行為だという内容ではありません。)

Coach、P&G、ペプシアクセンチュア、アボット、IKEA、AIG、ブラックストーン、JPモルガン、アブダビ投資庁など小売、IT、投資など様々なジャンルの企業が掲載されています。

この優遇税制については、大手会計会社のPlus Waterhouse Cooper(PwC)から流出した資料によって明らかになりました。

Coachの例では、拠点は、アメリカ・ニューヨークにあるものの2つのルクセンブルク法人を立ち上げています。ルクセンブルク法人の1つは、企業内銀行の役割を担っていて、グループ企業内での貸付金の金利支払い・受け取りなどの形態で2011年の香港での収益2.5億ユーロが、2013年には、合計で約10億ユーロが、ルクセンブルクへ移動したとされています。

ルクセンブルクにある記録資料によると、2012年度は、36,700,000ユーロの利益に対して、250,000ユーロの税金を支払ったとされ、実効税率は、実に1%以下になっています。

ルクセンブルクについては、Amazonが現地法人を活用し、法人税を軽減していることから、EUでは、国家補助にあたるとして、Amazonへの再課税を求めるなど、税制を巡り様々な動きがあります。

ファンドの運営会社も

投資商品を提供しているInvestec Asset Management1991年に南アフリカで創業している会社ですが、取り扱っているUnderlying Fundについて、自社での運営・管理方針を検討し、新たにルクセンブルク法人での管理に切り替えることを発表しました。

ルクセンブルクやスイスでの規制強化に伴っての決定であるとのことで、切り替えにより、管理費用が年間0.01%アップします。

    *Underlying Fundは、ファンド・オブ・ファンズにおいて投資対象となる投資信託のこと。ファンド・オブ・ファンズは、複数の投資信託に投資する投資信託のことです。

国際投信協会調べでは、2013年3月末時点で、日本で公募されている投資信託の44.9%がルクセンブルグ籍なので、今後の動向には注目しておく必要があります。

photo credit: archer10 (Dennis) via photopin cc

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