タックスヘイブンの親会社

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複数の国家で展開している企業が、グループ組織を再編するため、第三国に親会社を設立し、本拠地を移転することがあります。税制などがより有利な国を選択するだけではなく、資産や負債を会社間で移動する場合もあります。

多いケースとしては、タックスヘイブンの国・地域に親会社を設立・本拠地を移転し、元の親会社はその子会社になる形で組織変更。子会社から親会社へ、ロイヤリティーなどの使用料や保険料などを支払う形にして、国外へ資産を移転し、租税回避するものです。

元々親会社があった国からすると、法人として、実態はそのままで、所有形態が入れ替わるだけで、本来徴収できたはずの税金などが流出する恐れがあり、問題視されています。

法人の居住地の判定基準の制度

1)管理支配地を基準とするもの
2)設立地を基準とするもの

の2つがあります。

    1)管理支配地基準

    主に、イギリスやフランスが採用している基準で、外国法人を国内で管理しているのが明確であれば、国内居住法人として扱うことができるもので、外国に親会社を設立して、本拠地を移転しても大きな影響を受ける可能性は低いです。

    2)設立地基準

    主に、アメリカや日本が採用している基準で、国内法人→全世界所得へ課税、外国法人→国内所得のみ課税と扱うもの。国内法人の資産が、外国法人へ移転するなどした場合、税金を徴収できなくなる可能性が発生します。

日本の外国子会社合算税制は、(通称:タックスヘイブン対策税制)親会社が日本にあり、子会社が法人税20%未満の地域・国にあるという関係が前提で、子会社の所得を親会社に合算し日本で課税するという制度です。

 

タックスヘイブンの法人が親会社の場合

    ・5人の株主(法人・個人)が80%以上支配している日本法人

    ・日本法人がタックス・ヘイブンの国・地域の法人の子会社へ

    ・日本法人株主が全体としてタックス・ヘイブン親会社の80%以上の株主

    ・タックス・ヘイブン親会社が日本法人株式の80%以上を間接的に保有

これらの要件を満たす場合には、タックス・ヘイブンの国・地域の法人が留保した所得を、株主(法人・個人)の持分割合に応じて株主である日本の法人または個人の所得に合算して課税するという制度、コーポレートインバージョン対策税制というものがあります。組織変更をして、タックス・ヘイブンの国・地域に親会社の設立をすることを考えている場合は、事前に要件を含め確認しておく必要があります。

photo credit: Philip Taylor PT via photopin cc

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