先月10月になって日本人の新規口座の開設数が制限されると伝えられた
日本人の口座情報55万705件を入手
産経新聞2018年10月31日付によると・・・
国税庁は31日、世界各国の口座情報を自動的に交換し、資産を「ガラス張り」にできる新制度を使い、64カ国・地域の金融機関にある日本人の口座情報55万705件(速報値)を入手したと明らかにした。タックスヘイブン(租税回避地)の情報も含まれており、富裕層や企業の税逃れ対策に効果が期待されている。
日本人の口座情報が、海外の国・地域から提供されるのは、経済協力開発機構(OECD)の非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度(AEOI)によるもの。
*経済協力開発機構(OECD)・・・
Organisation for Economic Co-operation and Development1961年設立、1948年設立の欧州経済協力機構(OEEC)解組の
機構目的は、1)世界経済の発展に貢献すること2)経済発展の途上にある地域の健全な経済成長に貢献こと3)多角的・無差別な世界貿易の拡大に寄与すること
加盟国は、37カ国原加盟国:20カ国・その後の加盟国:17カ国日本は、1964年に加盟
*非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度(AEOI)・・・
The Automatic Exchange of Information
参加している国・地域は、2017年:49、2018年:53、2019年・20年予定:5、未定:42
2017年:韓国、インドなど
2018年:日本、中国、香港、マカオマレーシア、シンガポール、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなど
未定:フィリピン、タイなど
共通報告基準(CRS)は、Common Reporting StandardAEOIの基準であり、2014年7月15日に策定された基準で、金融機関から情報を入手し、その情報を他の管轄区域と自動的に毎年交換するもの。
香港の銀行口座開設にはマイナンバーが必要
現在、香港の銀行で、日本居住者が口座を開設しようとすると、マイナンバーの提出が求められる。
これは、2017年1月1日にスタートしていること。
すでに口座を持っている日本人に対しても、マイナンバーなどの納税者番号を登録するよう通知が届いている。
HSBC香港からのメールでは、2018年7月17日に、タイトル:Establish your Tax Residency
・10月15日を期限として、納税者番号の登録をするように
・納税者番号が登録されないと、これまでの記録によって、銀行側で居住地を決定する
という内容。
納税者番号の登録は、HSBC香港のインターネットバンキングを利用し、My Banking↓My Tax Residency Detailsに進むと登録できる。
1)納税者番号を確認する
2)インターネットバンキングを開く
3)My Bankingをクリック
4)My Tax Residency Details
5)開いた画面で納税者番号を入力する
5分とかからずに、すぐにできる手続きになる。
今回、国税庁の口座情報取得のニュースを受けて、HSBC香港による登録期限が、10月15日だった意味が理解できた。
まだ登録していない場合は、早急に対応しておいたほうが良い。
非居住者の口座よりも手間の削減
これまで、マネーロンダリングなどによる不正な資金の流れについて、国際的に問題にはなっていたものの、各国・地域が足並みを揃えた具体的な行動はなされてこなかった。
そのため、独自に制度を設けて、銀行がそれに従うといった形になっていた。
それが、今回AEOIやCRSにより、基準が明確にされたことで・・・
各国・地域と各金融機関は、対応を迫られた。
これまで必要がなかった業務が発生し、コストがかかっていることは間違いないだろう。
そんな彼らたちが、非居住者についてどう考えるか?
非居住者が口座を開設しても、
・現地の言語が分からない
・多くを預金しない
・投資商品などを購入しない
・資金を寝かしたまま
など、管理に手間がかかるケースが多い。
煩雑であり、コストがかさむ業務
↑↓
非居住者のサポートによる収益
両者を天秤にかけて、今後どのように対応するかを決めることになるだろう。
あまりにも業務が面倒な場合は、非居住者の受け入れを拒否するということも十分に考えられる。
実際に、中国やシンガポールでは、以前、非居住者が口座開設できたが、現在、査証(ビザ)を保有していないと口座開設ができない。
香港にもこの流れがやってくる可能性がある。
海外銀行口座を活用する意味を知る
「なぜ、海外の銀行で口座を持つ必要があるか?」
「海外で銀行口座を持つなら、どこの国・地域が可能なのか?」
「口座を開設するための手続きは、どういったものなのか?」
「口座を開設するために必要な書類は何か?」
「口座を開設した後、利用できるまでにどれくらいの期間がかかるのか?」
「口座に預金するのは、どれくらい必要か?」
「インターネットバンキングは日本から使えるのか?」
「クレジットカードは発行できるか?」
「ETFなどを購入できるか?」
などなど、口座を開設するにしても、様々な疑問点が出てくることになる。