各国中央銀行のバランスシートが拡大を続けています。
バランスシートから、金融政策の状況や法定通貨の市中への流通状況が読み取れます。
現在は各国拡大しているため、
・法定通貨の希少価値が薄まる
・資産の価値が上昇する→結果として価格が上昇
する傾向にあり、現金を握りしめていると価値が減少していく可能性があります。
各国バランスシート拡大中
2020年3月にコロナショックに対して、各国の中央銀行は量的緩和やゼロ金利などの金融制作で迅速に対応してきました。
スイス、イギリス、アメリカ、日本、ヨーロッパの各中央銀行のバランスシートは、2018年に2020年にかけて徐々に縮小していますが、コロナショックをきっかけに急拡大しています。
Cumulative Central Bank Balance Sheets (In Dolloars)
リーマンショック当時と比較で2.5倍以上
コロナショックとよく比較されるのは、2008年のリーマンショックで、金融緩和策が取られた2009年当時と現在の各国のバランスシートに着目すると、2.5倍から3倍の数字になっています。
バランスシートの拡大は現金流通に関係する
バランスシート拡大:資産を購入することで、負債も増加
バランスシート縮小:資産を売却することで、負債も減少
負債は、当座預金残高等なので、市中への現金流通に関係してきます。
債権が買われ利回りが減少、米国債10年もの1%がライン
アメリカでは、FRBにより2009年2月から2015年11月まで続いた実質ゼロ金利政策が復活、国債・住宅ローン担保証券・資産担保証券の購入も決定されました。金融緩和策は少なくとも2022年末までは継続が見込まれています。
債権は、買われることで価格が上昇し、利回りは減少します。
債権の利回りの1つの目安は、米国債権の10年ものです。直近では1%が1つのラインとなります。
2014年10月末に終了したアメリカの量的緩和政策
アメリカで量的緩和政策(QE1・2・3)が終了したのが2014年10月末です。
2014年1月からテーパリングを実施し、国債と住宅ローン担保証券の購入額を9ヶ月かけて減少させていきました。
テーパリングで米ドル流通量が減少
テーパリングがスタートしたタイミングでは、今後米ドルの流通量が減少するということから、需要が増大し、新興国の通貨が暴落しました。
ダウ指数2014年10月から振り返り
ダウ指数で当時を振り返ると、2014年10月15日に大幅下落し、その後持ち直すも、2015年8月21日に同水準まで下落、その後2016年1月20日にかけて同じ動きをしています。
量的緩和政策の終了など金融引き締めによって、株価の上昇はストップします。
2016年11月まではボックス相場で、その後トランプ大統領誕生と共に大きく上昇していくことになりました。
身近で暗いニュースが多くても
「コロナ禍」では、各国経済成長率のマイナスが予想されていたり、各企業の業績悪化による倒産や解雇、ボーナス・給料アップなし、住宅ローンの返済ができなくなったなどマイナスの話題ばかりです。
しかし各国では金融緩和策が取られ、中央銀行のバランスシートは拡大を続けており、株価は主に先進国で上昇しています。
この期間に現金を握りしめていても数字に変化はありませんが、株式や債権などに投資していると、対法定通貨の価格は上昇しています。
バランシート縮小局面では逆回転が発生
最終的に拡大された各国のバランスシートはどのような結末を迎えるのか?
中央銀行が保有している資産を売却し、市場から資金を回収すると、これまでの流れとは逆回転となり、株価や債権の価格の下落が予想されます。