仮想通貨金商法適用で変わることは?

仮想通貨の最新トレンド

2018年7月3日、産経ニュースが、仮想通貨規制の移行を検討 改正資金決済法から金商法へ 利用者保護を強化を報道しました。

金融商品取引法の元に「仮想通貨/暗号通貨」が置かれると、

・先物、ETFなど金融商品として商品が開発、販売される
・証券会社での取扱が一部可能になる
・課税方式が一部変わる可能性がある
・インサイダー取引、投資助言などが規制対象となる

といった変化をもたらす可能性があります。

2017年12月1日に、

東京金融取引所太田省三社長:
仮想通貨が金融商品取引法で「金融商品」に位置付けられるならば、可及的速やかに仮想通貨の先物上場に取り組みたい――。」

と発言されていたように、日本での仮想通貨先物が上場するかもしれません。

金融商品取引法とは?

金融庁が作成しているPDFファイル「新しい金融商品取引法制について」から抜粋すると・・・

・2006年6月の法改正で成立
・利用者保護、公正、透明な市場の構築を目的
・証券取引法よりも広範囲の金融商品を対象にしている
・金融商品に関するサービスを提供するためには登録が必要
・不正取引に対する罰則を明確に規定している(インサイダー、見せ玉など)

金融商品取引法は、

・利用者保護
・公正、透明な市場の構築

を目的としています。

2006年6月の通常国会で、「金融商品取引法制」を整備する法改正が成立しました。

証券取引法で規定されている「有価証券」と「デリバティブ取引」の規制対象を、金融商品取引法では、広げています。

    「有価証券」について・・・
    証券取引法では、国債・地方債、株式、投資信託などを対象としています。
    金融商品取引法では、「有価証券」の範囲を拡大し、信託受益権全般、集団投資スキームの持分なども対象とみなしています。

    「デリバティブ取引」について・・・
    証券取引法では、「有価証券」に関するデリバティブ取引のみを対象としています。
    金融商品取引法では、信託受益権、集団投資スキームの持分、通貨・金利スワップ取引、天候デリバティブ取引なども対象とみなしています。

金融商品の取引に関するサービスを提供するためには、金融商品取引業としての登録が求められます。

たとえば、販売・勧誘、投資助言、投資運用、資産管理などです。

不正取引に対しても、罰則が強化されていて、

・不正取引、風説の流布、相場操縦
・重要事項に虚偽記載がある有価証券届出書などの提出
→ 懲役10年以下、 罰金 個人1,000万円以下、法人7億円以下

・インサーバー取引
・有価証券届出書などの不提出
→ 懲役5年以下、罰金 個人500万円以下、法人5億円以下

また、売買が盛んなようにみせかけ、架空の注文を出して、約定する前に注文を取りけす「見せ玉」という行為に対しても、

・顧客が証券会社を通じてで行う「見せ玉」→ 刑事罰・課徴金ともに対象
・証券会社が自己売買として行う「見せ玉」→ 刑事罰・課徴金ともに対象

となっています。

課税方式は変わるのか?

仮想通貨/暗号通貨が、金融商品取引法で「金融商品」と位置づけられることで期待されているのが、「申告分離課税」についてです。

「6月25日の参議院予算委員会で藤巻健史議員が、仮想通貨から得た利益に対する日本の課税方針が、現在の「雑所得」区分から「申告分離課税」に見直される可能性はあるかと質問した。麻生太郎副総理兼財務相は、そのような見直しについては慎重であると述べた。麻生氏は、自身の見解としては、一般市民がそのような見直しに理解を示すか「疑問」だと説明した。同氏は日本国民が課税区分の見直しを嫌がるかもしれない理由の1つとして、仮想通貨の「国際的な性質」を挙げた。同財務相はまた、そのような見直しの実施に関する「税の公平性」も確かではないと述べた。」

http://vc.morningstar.co.jp/000577.html

よく知っておかなければならないのが、「申告分離課税」の内容についてです。

    「申告分離課税」は・・・
    上株場株式等の譲渡益等や配当等などで、所得が発生した場合、他の所得とは分離して税額を計算し、確定申告によって納税する課税方式のことです。

分離課税として他にあるのが、「源泉分離課税」です。

    「源泉分離課税」は・・・
    預貯金の利子などが対象で、他の所得と分離して、一定の税率で税金が源泉徴収され、それで納税が完結する課税方式のことです。

どちらも税率は、所得税15%、住民税5%=合計20%(平成49年末までは復興特別所得税が上乗せれ、税率は、所得税15.315%と住民税5%=合計20.315%)

仮想通貨/暗号通貨の譲渡益が、「申告分離課税」になると、雑所得としての累進課税よりは、大きく負担が減ることになります。そのため、仮想通貨/暗号通貨投資家が望んでいるのです。

では、仮想通貨/暗号通貨が、デジタルゴールドと言われ、比較の対象となるゴールド(金)現物の場合はどうなっているのか?

給与所得者などが持っている金地金を売却した場合の所得は、原則、譲渡所得として課税されます。給料など他の所得と合わせて、「総合課税」の対象になります。

金投資口座・金貯蓄口座での利益は、「源泉分離課税」になります。

国税庁タックスアンサー No.3161 金地金を売ったときの税金

金現物は、持ち運びできて、いろいろな場所に保管できるので、単純に、仮想通貨/暗号通貨との比較はできませんが、「申告分離課税」の対象とはなっていません。

ちなみに、FX(外国為替証拠金取引)で利益が出た場合は・・・

他の所得と区分し、「先物取引に係る雑所得等」として、所得税15%(他に地方税5%)の税率で課税されます「申告分離課税」

国税庁タックスアンサーNo.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係

そのため、仮想通貨/暗号通貨についても、現物の売買での利益については、雑所得のまま、先物・FXでの取引のみが、分離課税の対象になるという可能性があります。

*税法については、かならず専門家に相談することをおすすめします。

タイトルとURLをコピーしました