地下銀行を営んだとして、ベトナム国籍の日本語学校生が銀行法違反容疑で2014年4月22日に逮捕されました。
*地下銀行とは、銀行法等に基づく免許を持たずに、不正に海外に送金をする業者のこと。
警察の調べによると、容疑者が関わった不正送金金額は、約5億円に上るとみられています。
今回逮捕された容疑者は、地下銀行での業務手数料として、送金金額の0.5%から1%を得ていたようです。
ちなみに、銀行法違反で逮捕された場合は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金が課せられますので、5億円を送金していて、業務手数料が0.5%の場合は、250万円の儲けとなるので、単純に自分の利益目的のためとは考えにくいです。
日本から送金する場合
たいていの場合は金融機関の支店に出向いて、送金申し込み用紙を記入後、窓口で手続きする必要があります。近年は、海外送金への監視強化を受けて、
窓口担当者から
・送金根拠となる書類(契約書など)
・身分証明書
の提示を要求されるケースが多くなっています。
しかも送金手数料が金額に関係なく、1回につき3千円から5千円程度かかります。
日本人でも送金するのが面倒な状況では、外国の方が送金するのは、ハードルが高いということになり、地下銀行を利用して、日本で稼いだお金を海外へ移動させているのでしょう。
古い数字ですが、毎日新聞によると1992年から2002年の10年間で、韓国、中国、タイ、フィリピン、ペルーなどに4,222億円が不正に海外送金されていました。
イスラム圏の送金システム
イスラム圏で、地下銀行と同じ役割を果たしているのは、「ハワラ(Hawala)」という送金や両替を専門に行う金融システムです。
「ハワラ(Hawala)」は、ヒンズー語で、「信用」の意味になります。
「ハワラ(Hawala)」の利用手順は、
1)送金人が「ハワラ(Hawala)」業者に現金を預ける。
2)「ハワラ(Hawala)」業者は、送金人に暗証番号を教える。
3)送金人は、受取人にその番号を連絡する。
4)受取人は、現地の「ハワラ(Hawala)」業者
に出向き、暗証番号を伝えて、現金を受取る。
多くの人が利用する理由としては、
・手数料は0.6%など銀行送金よりも安く済ませることができる
・即日現金を受取ることができる
・送金書類の記入、身分証明の提示が必要ない
・銀行送金よりも確実性がある(中継銀行などで不明にならない)
「ハワラ(Hawala)」と地下銀行の違いは、現金が実際に移動しているかということです。
「ハワラ(Hawala)」の場合は、業者が、他にも貿易商などを営んでいるため、取引での貸し借りを帳簿上で合わせることにより、実際にお金を移動することなく、相殺する方式をとっています。
2005年7月にインド政府が、「マネーロンダリング防止法」を施行して、銀行だけではなく、国内外の送金取扱業者に送金記録の保存を義務つけるなど、規制が強化されています。
国際送金サービス
WESTERN UNIONでも海外への不正送金対策として、
ロシア、ウクライナ、トルコ、モルドバ、
ポーランド、フランス、シンガポール、
ケニア、リベリア、コロンビア、ガーナ、タイ
への送金については、営業時間を限定したり、
送金に際して、受付け店舗にて、
・送金人と受取人との関係、
・送金目的、その他追加情報
を聞くなどが実施されています。
国をまたぐ資金移動については、銀行だけではなく、様々な場所で厳しくなってきています。
photo credit: Mukumbura;/;photopin;; ;cc;