ドイツの税関当局による銀行口座明細書類押収

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ドイツの税関当局により、輸送中の銀行口座明細書類が押収されました。

銀行口座明細書類の発送元は、ケイマン諸島のクーツ銀行支店で、送付先は、スイスのジュネーブにあるデータセンターでしたが、輸送途中に寄港した、ドイツのハンブルク港でドイツ税関当局により押収されました。書類には、脱税の疑いのあるドイツ人の銀行口座明細書類が含まれているとの情報があります。

▼クーツ銀行

1692年にイギリスで設立されたプラーベートバンクで、イギリス王室御用達でした。2000年にロイヤルバンク・オブ・スコットランドにより買収され、富裕層向け資産管理部門となっています。

イギリスの他では、スイス、モナコ、チャネル諸島、マン島、香港、シンガポール、ドバイ、カタールで事業を展開していますが、今年に入って、イギリス以外での国際事業については、ロイヤルバンク・オブ・スコットランドからの売却が検討されています。

▼ドイツとスイスの協議

ドイツでは、所得税などの税率が高いため、富裕層は、スイス、リヒテンシュタインなど秘匿性が高い国の銀行口座に資金を預けており、ドイツの税務当局の試算によると、ドイツ資産家の預金が、スイスに約2,000億ユーロあり、その大部分が未申告とされています。

ドイツは、ドイツでの納税義務者のスイスの銀行を利用した脱税を防止するためスイスの当局と協議をしています。

ドイツの納税義務者のスイスの銀行口座への預金については、ドイツ国内の金融資産と同じ税を適用し、スイスの銀行で源泉徴収した後に、ドイツの税務当局に送金されるという仕組みの構築をすることで、ドイツの入る税収は、約100億ユーロに上ると見積もっています。

▼スイスの銀行関係者からの情報

ドイツの税務当局は、スイスの当局と協議をすすめる一方で、スイスの銀行関係者からドイツ人顧客リストを次々に購入し、脱税を摘発しています。

ドイツのノルトライン ・ウェストファーレン州の財務報告によると、2010年以降6億7,000万ユーロを徴税に成功しています。

この数字は、購入したリストによる捜査だけではなく、摘発される度に、メディアで、顧客リストの存在が報道されるため、脱税をしている資産家が逮捕や罰金を逃れようと、自己申告・納税した数字も含んでいます。ドイツ税務当局による脱税に対する強い姿勢は、国際的な脱税防止の枠組みにも大きな影響を与えそうです。

photo credit: Canadian Pacific via photopin cc

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