投資信託の組成地と国際的組成基準

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日本の証券会社で販売されている外国投資信託。

日本証券業協会統計作成の「運用成績一覧表」2015年4月20日版によると、

外国投資信託941本の内、

582本(61%):ケイマン諸島
284本(30%):ルクセンブルク

が設定国とされています。

外国籍の投資信託とは?

三菱東京UFJで販売している外国投資信託
「東京海上Roggeニッポン・ボンド・ ファンド・カレンシー・セレクション」は、

「ケイマン諸島籍契約型オープンエンド型外国投資信託」

となっています。

ケイマン諸島やルクセブルクは、オフショア地域となっており、

オフショア管轄は、

・ファンドへの優遇課税
・外国通貨建てなどの柔軟な商品設計
・洗練されたファンド関連法
・監督機関の高い実務処理能力

などの理由により、多くのファンドが、組成地として活用しています。

外国投資信託は、外国で設定されたもので、設定された国の関連法規に沿って運用されます。

日本株が運用対象となる投資信託でも、外国で設定されたものは、外国投資信託になります。

外国籍は大丈夫なのか?という疑問がありますが、日本証券業協会が、日本で公募する投資信託については、

・信託会社などによる資産保管業務を委託すること
・管理会社の純資産額が5,000万円以上であること

など自主規制を設けており、投資家が保護されています。

EU圏で販売できるファンド

EU圏で販売されている投資信託に、UCITSというものがあります。

UCITS
(Undertaking for Collective Investments in Transferable Securities)

ヨーロッパ適合調令(EU Directive)に基いて、設立された公募ファンドのことで、

EU圏内において、ある国で認可・承認を受けると、他の国で改めて認可・承認を受けなくても販売できるというものです。

販売国・地域毎の許認可手続きを省略することが可能になるため、コストの削減や販売開始までの時間短縮を期待することができます。

また、高いレベルでの投資家保護基準があるため、投資家からは信頼が置かれているので、国際的に販売が予定されていないものでも、国内法準拠ではなく、UCITS準拠のもの多く存在し、EU圏の投資信託の約8割を占めています。

ヘッジファンドも、顧客への売り込みを容易にするために、UCTIS準拠の投資信託の形態を活用しています。

UCITSが、多く組成されている地域としては、ルクセンブルクとアイルランドが挙げられます。

アジアでも統一基準を導入へ向けて

アジア圏でも、UCITSを参考にした統一基準アジア・ファンド・パスポートAFP(Asian Funds Passporting)という構想があります。

2009年11月にオーストラリアが、国際的な金融センター樹立に向けて打ち出したのがきっかけで始まり、

2014年4月には、

オーストラリア、ニュージーランド、韓国、フィリピン、シンガポール、タイ

からAFPへの参加に向けた文書が発表されています。

AFPが導入されると、低コストで魅力的な金融商品が、域内の投資家に幅広く提供されるため、投資家にメリットがあるだけではなく、アジアの金融市場が伸びるきっかけにもなると予想されています。

日本は、金融商品取引法がガチガチに整備され、アジアで最も厳格な基準になっているため、他国に基準を合わせる可能性は低く、AFPへの参加には懐疑的と見られています。

AFPの枠組みが完成し、AFPに準拠した投資信託などを購入する際は、海外の証券会社の口座を活用することになりそうです。

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