2015年IPO規模は、香港がNo1

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2015年新規株式公開(Initial Public Offering :IPO)が多かったのは、香港市場となりました。

世界全体のIPO件数:1218件
企業の資金調達額:1955億ドル(約23兆6000億円)

香港:117件(335億ドル・GEM含む)
ニューヨーク:54件(195億ドル)
上海:89件(176億ドル)
ロンドン:62件(150億ドル・AIM含む)
東京:23件(145億ドル)

香港が、4年ぶりに首位に返り咲きました。

2014年は、アリババのニューヨーク証券取引所への大型上場で、初値のタイミングで、時価総額が、2,300億ドル規模になり、2位となっていました。

香港が注目される理由としては、

・低い税率(法人税16.5%、キャピタルゲイン0%)
・アジアの中心で、中国へもアクセスができる
・金融制度が整っている

そして、他の市場に比べて

・資金をたくさん調達できること
・準備期間が短い

ことが挙げられます。

また、中国市場では、証券取引所委員会により、過去20年で、8回IPOがストップされていることもあり、より開かれた市場である香港での上場を目指す企業が多くなる傾向があります。

IPOのパフォーマンスは、

香港市場
初日リターン:平均プラス4.7%
公募価格と2015年12月4日価格:平均マイナス7.1%

上海と深セン市場
初日リターン:平均プラス44.0%
公募価格と2015年12月4日価格:平均プラス214.8%

となっています。

香港のIPOの1つの特徴

IPOの資料を見ていて、法人登録地として、「Cayman Islands」が多いです。

2014年末時点で、

1,549社中

669社:ケイマン諸島
466社:バミューダ

が法人登録地となっています。(Hong Kong Stock Exchangeのサイトより)

2010年に法律が改正されるまでは、香港市場に上場することは、香港、ケイマン諸島、バミューダ法人しか、できませんでしたが、

以降は、日本、シンガポール、イギリスBVI、ルクセンブルク、ジャージー島、マン島などの法人でも上場が可能となっています。

オフシュア地域に、ホールディングとして法人を設立し、上場主体とするスキームが取られています。

その中でも、ケイマン諸島、バミューダなど、オフショア法人が選ばれているのは、

・設立、維持コストが低い
・法律、制度が整っている
・組織再編手続きが簡単

などの特徴があるためとされています。

ベトナムを拠点とする企業の国外IPO

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ホーチミンを拠点とし、レストランを展開している企業ベトナムHuy Vietnamが香港で2016年の春に新規株式公開(IPO)するかという報道がでました。

CEOは、アメリカの大学UCLAとPepperdineで学び、アメリカと中国でレストラン展開するなど国外で20年の活動経験があり、また共同設立者も、アメリカでベトナム料理レストランの経営経験があるという他の企業にはない特色が、投資家から注目されています。

ベトナム企業の国外市場上場

ベトナム市場の魅力は、

・GDPが年間6%伸びている
・9000万人の若い人口
・中産階級がどんどん増えている
・整っている金融システム

なのですが、ホーチミンとハノイを合わせて、時価総額が、570億ドルと市場規模がまだまだで、国外からのアクセスが不便なので、効率良く資金調達をするためには、発展途上の市場ということになります。

そのため、国外市場での上場を、多くの企業が模索しているのです。

過去には、政府によって、45%の株が保有されていますが、ベトナム大手の乳製品会社Vinamilk(ビナミルク)が、シンガポール上場での上場を予定していました。

けれども、シンガポール市場は、1日で、4億ドル規模と、香港市場の取引量に比べて少なく、また規制が厳しいため、上場を断念した経緯があります。

Dragon Capital のDominic Scriven 氏によると、

「シンガポール市場には、123の中国系企業が上場していますが、ほとんどは、活発に取引されていないという現状がある。」

とのこと・・・。

それに比べて香港市場は、2015年IPOで世界最大の市場となり、中国の投資家だけではなく、世界の投資家に注目されています。

香港市場に上場しているのは、

Luks Group (Vietnam Holdings)
Vedan International
Vietnam Manufacturing and Export Processing

ロンドン市場に上場しているのは、

PXP Vietnam Asset Management
Vietnam Holdings
VinaCapital
Vietnam Property Fund and XP Power

などがあります。

ベトナム拠点のオフショア法人での上場

Huy Vietnamは、ベトナムを拠点としていますが、会社法人は、ケイマン諸島法人です。

同じく、香港市場に上場している
Luks Group (Vietnam Holdings)→バミューダ法人
Vedan International→ケイマン諸島法人
Vietnam Manufacturing and Export Processing→ケイマン諸島法人

となっています。

オフシュア法人を親会社として上場する場合、法人の資産をホールディン形式で持たせる特定目的事業体(Variable Interest Entity:VIE)を利用しているケースもありますが、Dua Vietnamの場合は、VIEを採用していません。

その理由は、

Fortress Capital
AIF Capiral
New Asia Partners
Welkin Capital
Templeton Asset Management

などから、上場前に6,500万ドルの出資を受けることに成功しているからです。

香港市場に、オフショア法人を親会社とする各国企業がIPOする流れは、今後加速する可能性があります。

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