海外の金融機関の活用を考えてみる

サラリーマンのキャッシュフローと資産分散

自分のキャッシュフローを把握してから考えるポイントとしては、

・使う予定があるお金は、日本国内に置いておく。
→使用用途が明確になっていない、余剰資金で取り組む

・長期視点で取り組む
→1年で50%のリターンなど、ハイリターンを求めるのではなく、また短期での売買を繰返して利益を求めるのではなく、5年、10年単位でじっくりと取り組む姿勢が必要となる。短期での成果にこだわると、手数料で損をしたり、大きなリスクを取ってしまいかねない。

・人生設計
自分が50歳、60歳、70歳の時、どういった生活スタイルをしていたいのか?日本に住んでいるのか?海外に住んでいるのか?自分の理想とする生活を思い描いてみる。そこに海外があった場合に、海外口座を検討すれば良いということになる。

誰でも海外に銀行口座を開設できるとは限らない

様々な国・地域に

・インターネットを通じて、現地に渡航せずにできる開設できる銀行口座
・現地に本人が渡航して開設する銀行口座

がある。

以前は、世界的資金の移動に関しての規制が厳しくなかったこともあり、本人確認書類と開設申込書を送付するだけで、窓口に出向かなくても銀行口座開設が可能な銀行があった。

けれども、最近は、銀行を取り巻く環境が変化し、顧客情報の把握など、細かい規定ができつつある。そのため、多くの銀行で口座開設の際は、開設希望者本人が現地窓口を訪れることを要求するケースが多くなっている。

中には、本人確認書類と開設申込書を送付し、口座開設が完了するものもあるが、特定の国の銀行ライセンスは取得しているものの、国外での送金に必要であるSWIFTに未加盟であったり、手数料が割高だったり、資金面で問題があったりなど、落とし穴が隠れているケースもあるので、注意が必要となる。

外国人の口座開設を積極的に受け付ける理由としては、1人当たりの預入金が大きく、顧客管理が楽というものがある。そのため、預入金が1千万円以上と設定されている場合などがあるので、自己資金の確認が必要になるケースもある。

自分が口座を開きたいと考えた国・地域で営業している口座開設サポート業者さんに詳細を確認するのが、手っ取り早く、間違いのない情報を得るための手段となる。

シンガポールのCitiやHSBCは、IPB(International Private Bank)外国人向けの口座が準備されている。対応可能な支店に限りがあるので、その支店に足を運ぶ必要があるが、旅行者でも口座開設可能となっている。

銀行口座を開設する際の具体的なステップ

・国・地域をどこにするのか決定する
・口座開設のために現地に渡航するのか、インターネットで完結させるのかを調査する
・提出必要書類を確認、提出

という流れになる。

多くの場合は、パスポートと英文での住所証明書などが必要となり、また銀行によっては、今取引がある銀行からの紹介状「バンクリファレンス」と呼ばれる書類の提出が求められることがある。

このあたりの情報を手探りで検索し、行動するのか、業者さんにお願いするのかは、自分の考え方次第となる。

あらかじめ知っておかなければいけないのは、日本国外に銀行口座を保有して、そこで株式の売買などを行った場合。現地の法律で非課税だったとしても、日本居住者の場合は、自分の所得として税務申告が必要となる点。

外国で発生した所得に対しても、居住者の場合には、申告が必要になるので、海外で銀行口座を保有し、投資をしたからといって、税金を納めなくて良いというお話にはならない。

銀行口座の種類

日本の銀行で口座開設をすると、個人の場合は、普通口座になり、必要に応じて定期預金口座を利用することになる。

海外の国・地域にある銀行で口座開設すると、普通預金口座の他に、当座預金口座が準備されていて、小切手を持つことができる場合が多い。また、夫婦や親子、共同経営者で1つの口座を管理できる、共同名義口座というものもある。

1つの口座で複数カ国の通貨(マルチカレンシー)を保有できる口座もあり、インターネットバンキングの操作1つで両替が可能。

ただ、最低預入金規定が設定されている場合が多く、規定金額を下回ることがあれば、手数料を徴収される。

たとえば、HSBC香港の場合

・プレミア:最低預入金100万HKD以上、維持手数料:380HKD/月
・アドバンス:最低預入金20万HKD以上、維持手数料:120HKD/月
・スマートバンテージ:最低預入金1万HKD以上、維持手数料:60HKD/月

となっている。

自分の資産規模に合わせて、開設する口座のグレードを決める必要がある。

どこの銀行・国に口座を開設するか?

日本国内の銀行口座を開設するときは、家族が持っているから、自宅に近いから、会社に銀行を指定されたからなど取引環境を優先するケースが多いかもしれない。

また銀行についての情報は、日本語でさまざま得ることができるので、銀行に対しての不安感はあまり感じていないケースが多い。

では、海外の銀行口座を開くときは、どの銀行を選べば良いのか?

現地で住む場合は、日本の時と同じように、取引環境を重視し、現地でのさまざまな情報を得ることができる。けれども、日本に居住しながら、海外口座を持とうと考えた場合・・・

海外の銀行は、よくわからないし、怪しく感じるから、騙されたら困るな・・・と考えるかもしれない。

その時は、海外の金融機関の安定度をチェックするのは、格付け機関による「格付け」結果が参考になる。

例えば、格付け機関Moody’sによる格付けでは、日本のメガバンクである三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行は、A1とされている。

一方で、海外の金融機関の代表格であるHSBCとCitibankは共に、A1とされているので、大きな心配はいらないということができる。

あくまで金融機関は、資産を運用、防衛するための道具となるので、上手く活用するのも、あまり活用しないのも本人次第となるが、上手く活用することで、豊かな生活・人生を手にできる可能性が広がる。

なぜアジアの銀行口座がよいのか?

英語を話すのに問題がなく、電話でやりとりに支障がなければ、ヨーロッパの銀行口座を開設しても問題ないだろう。けれども、銀行窓口での手続きがどうしても必要な時。支店を訪問する手間と費用を考えた時、身近な香港であれば、片道4時間から5時間程度で到着できるものの、アメリカ・ヨーロッパであれば、10時間以上かかるということになってしまう。

年に何回も渡航しなければいけないということはないけれど、万が一の時のアクセスを考えると、まずは、近くのアジア圏に優位性があると言える。

香港、中国、シンガポール、マカオ、マレーシア、ニュージーランド、フィリピンなど、多くの国で銀行口座を保有しているが、最初に口座を持つなら、香港の銀行口座が良いというのが結論だ。

タイトルとURLをコピーしました