フランスの金融大手BNPパリバは、6月30日制裁対象国との取引を認め、約90億ドル(約9,000億円)罰金を支払うことで米当局と和解しました。
制裁対象国との取引は、欧州では違法になりませんが、米ドルで取引した場合には、米国の国内法に抵触することになります。
BNPパリバは、米国にも拠点を置いているので、今回の罰金対象となりました。
マンハッタン地裁で、文書偽造と共謀を認め、連邦裁判所で、マネーロンダリング禁止法違反も認める見通しで、ニューヨーク州の金融当局は、BNPパリバニューヨーク支店に一部のドル決済業務を1年間停止するよう命じました。
今回BNPバリバの罰金の額は、
2012年英HSBCが同様の違反で支払った19億ドル
2014年5月クレディスイスが脱税幇助問題で支払った26億ドル
を上回る規模となりました。
大きな規模になった原因としては、米国での捜査が始まってからも、BNPバリバは、制裁対象国との取引を処理し続け、非協力的な態度を取っていたためとされています。
▼アメリカの制裁対象国
米国大統領が国家の安全保障を脅かすとして指定した国、法人などをSDNリストとして公表し、(Specially Designated Nationals and blocked Persons)保有する資産の凍結等について規定しています。
SDNリストは、外国資産管理法(Foreign Assets Control Regulations)法律によりますが、米国財務省外国資産管理局(Office of Foreign Asset Control)が担当していることにより、「OFAC規制」と呼ばれています。
規制対象は、米国法人、米国籍保有者、米国居住者となり、SDNリスト該当する場合には、資産凍結が義務付けられ、義務を怠ると、罰則が科せられます。
リストに掲載されている国としては、
イラン、イラク、イエメン、キューバー
北朝鮮、コンゴ民主主義共和国
コートジボアール、シリア、ジンバブエ、
スーダン、ソマリア、ベラルーシ
ミャンマー、リビア、リベリア
(JETRO HPより引用)
米ドルの送金をする際、SDNリストに掲載されている国・法人が相手の場合は、米国所在の銀行や米国に本店を置く銀行の海外支店を経由していれば、資金が経由する米国所在の銀行で凍結される可能性が出てきます。
この「米国所在の銀行」というのは、他国に本店を置く銀行の支店も含まれますので、BNPバリパが本店をフランスにおいているものの支店がニューヨークにあり、SDNリストに記載されている国と米ドルについての取引があったため、罰則の対象となったのです。
SDNリスト掲載国への取引がある場合などは、送金前に利用銀行やルートを選別し、リスクを確認しておく必要があります。