費用分担契約と海外展開

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研究開発費の一部を負担するかわりに、負担した割合によって、開発された権利(特許権や著作権)が使用可能になる契約を、費用分担契約=コストシェアリング契約といいます。

国外法人と費用を分担する契約

コストシェアリング契約は、国内・国外企業の制約が基本的にないため、関係する国外法人が費用分担をし、権利を取得することで、国外に権利を移動することが可能となります。

マイクロソフト(Microsoft)を例に挙げると、アメリカに本社を設置し、アイルランド・シンガポール・プエルトリコの3つの国に子会社を設置し、アイルランドは、ヨーロッパ・中東・アフリカシンガポールは、アジアプエルトリコは、南北米 の小売業を統括しています。

マイクロソフトの収益の大部分が、特許権や著作権の使用料など知的所有権=無形財産に関するものです。各子会社は、マイクロソフトの商品を販売するために、コストシェアリング契約ををアメリカ本社と結んでいます。

負担割合は、各子会社の収益に沿って規定されており、アイルランド:30%プエルトリコ:25%シンガポール:10%アメリカ本社:35%

コストシェアリング契約以降の各子会社の所得は、各子会社のものとなるため、知的所有権が各子会社に移転したのと実質的には同じとなり、アメリカでの納税が必要なくなるため、納税金額の削減が期待できます。

CFC税制 (Controlled Foreign Company)

CFC(Controlled Foreign Company)は、議決権を有する株式もしくは株式の価値の50%超が、米国の株主により直接的もしくは間接的に保有されている外国法人のこと。

設立国の税率に関係なく,CFCの一定の所得を特定して、その特定の留保所得を、アメリカ国内株主の持分に応じて帰属させ、課税対象とします。

CFC税制は、日本では、・タックスヘイブン対策税制 ・外国子会社合算税制と呼ばれていますが、合算対象となる外国法人の定義(法人税率が20%以下)や、所得の認定・帰属,適用除外等の内容において、アメリカの規定と差があります。

知的所有権など無形資産の3つの移転方法

1)権利譲渡
2)コストシェアリング契約
3)ライセンス契約
と大きく分けて3つあります。

1)権利譲渡
売却や組織再編による譲渡などの形態が取られます。処理方法により、課税・非課税対象になるかは異なりますが、国外法人への移転は、アメリカ歳入法により課税対象となります。

2)コストシェアリング契約
コストシェアリング契約で、国外に移転した場合、アメリカのCFC税制が適用されない限り、契約以降の国外所得は、米国で非課税。

3)ライセンス契約
国外法人は、本国法人に使用料などを支払い、利用することになります。契約以降の所得については、国外法人のものとされ、アメリカのCFC税制の適用がなければ、アメリカでの納税の必要がなくなります。ライセンスの価値は毎年下がり、最終的には、使用料はなくなります。

知的所有権など無形資産を移動する際、移転方法によっては、CFC税制の対象となる場合があるので、判定基準を細かく確認しておく必要があります。

photo credit: Nokia Lumia 635 via photopin (license)

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