アメリカのフォーチュン誌が年1回発表する
全米上位500社の総収入によるランキングの6割以上
ニューヨーク証券取引所上場企業の半数
たとえば、
アップル、グーグル、コカコーラ、GE、
JPモルガン、バークシャー・ハサウェイ
などの本社、関連会社が設立されているのが、アメリカのデラウェア州です。
デラウェアで法人設立が多い理由
デラウェア州は、アメリカ大陸の東海岸、ワシントンDCとニューヨークの間に位置しています。
デラウェア州での法人の設立、運営に関して、
・最低資本金制度がない
・1人で取締役・財務などの役員兼任が可能
・居住要件がない
・事務所の設置が不要
取締役会の開催が州外でも可能
・アメリカ内でも、設立費用が低い
など特徴がありますが、
一番の魅力は税制にあり、
法人税が、連邦税の課税対象額の8.7%
州外事業収益や知的所有権に関する収益が非課税
となっているので、
多くの企業が、知的所有権などに関する売上をデラウェアで計上しているのです。
デラウェアの税制は、20世紀初頭に始まり、2011年度には、州の税金・手数料に関わる収入は、8億6,000万ドルになっています。
現地に渡航することなく、設立条件が厳しくないので、日本人も多く利用しているようですが、デラウェアでビジネスをしない場合は、デラウェア州に納める税額は、年1回の州登録税50ドルです。
日本で法人格が争われているLPS
デラウェア州で設立が可能な法人形態に、リミテッド・パートナーシップLPS(Limited Partnership)があります。
日本には存在しない概念なので、日本の租税法上、法人に該当するのかという裁判がありました。
LPSを利用した日本での節税スキームなのですが、概要は、
1)
日本居住者が、外国信託銀行との信託契約に基づきLPSへ出資
2)
LPSが外国不動産を取得し、賃貸
3)
賃料収入が発生
4)
減価償却費用とローン支払い利息合計が、賃料収入をマイナスとなる
5)
パススルー税制を選択することで損失額が、LPSへの出資金額に基づいた持ち分に応じ、LPSではなく、出資者へ帰属
6)
給与所得などと損益通算し、日本で確定申告が可能。
というものでした。
争点としてLPSは、租税法上の法人に当たるため、不動産賃貸による賃料収入は、出資者個人へ帰属することなく、損益通算が認められないという部分になります。
企業もしくは個人の課税を選択できる規則
損益通算に関しては、チェック・ザ・ボックス規則というものがあります。
1996年に制定、1997年1月に施行の規則で、アメリカ連邦税について、会社(Corporation)以外の企業体で、
・企業体として課税
・各構成員・パートナーシップに課税
どちらにするか選択することができるものです。
各構成員・パートナーシップに課税することにより、利益が、法人・企業から各パートナー・個人へ移動する際に都度課税対象として扱わずに、帰属先のみで課税される「パススルー税制」を選択することが可能になり、二重課税を回避できるのです。
複数の国の税制を利用したスキームは、いつ事態が変わるかわかりないので、利用する場合には、事前に綿密な調査が必要となります。