中国企業のデフォルトと会社清算

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ケイマン諸島に本社を置く、中国系企業の中国山水水泥集団が会社清算を申し出ています。

中国山水水泥集団(China Shanshui Cement Group Ltd.)は、2006年設立に設立され、山東省をメインとして、セメントの製造・販売を手掛ける企業で、高速鉄道やトンネルなど、国の重点プロジェクトに製品を供給し、アメリカ、ロシア、ヨーロッパ、中東に輸出していました。

2015年11月になって、発行していた社債20億元が償還できないことを発表しました。

要因としては、

中国経済が絶好調の環境の中、借金をして、積極的に設備投資してきましたが、景気が後退により過剰投資になってしまったこと。

主要地域でのセメント価格下落により、業績が悪化し、30%を超える減収で赤字転落したこと。

社員と創業一家の間で、経営権を巡る争いが起こったこと。

が挙げられています。

社債20億元の発行元は、子会社の山東山水

中国山水水泥集団の子会社である山東山水は、香港取引市場に上場しています。

中国の製造系の大企業は、香港を貿易窓口として、さらに、米ドルなどの資金調達に活用するため香港法人を所有しています。

デフォルトになったのは、この山東山水が発行のオフショア債です。

さらに、デフォルトが決定したことで、発行時に取り決められていた2020年償還のドル建て債の繰上償還を促すトリガー条項が発動し、同債券もデフォルトとみなされました。

債券をドル建てで発行していますが、事業による売上においては、ドルが占める割合が低くなっており、それが、債務不履行の1つの要因になると指摘されています。

返済不能に陥ったので、中国山水水泥集団は、債権者の行動により、不安定化するリスクを減らすため法人登記がされているケイマン諸島で、会社清算申請を行いました。

しかし、ケイマン諸島の裁判所は、

「会社に代わり清算申請を提出する権限がない」

と結論づけて、清算申請を拒否したと発表。事態は、混みいった展開を見せています。

社債のデフォルトは、少なくとも6件以上あり

中国企業でのデフォルトは、

2014年:上海超日太陽能科技
2015年:国有企業の保定天威集団

など、中国経済の先行きが不透明になるに連れて、徐々に増えてきています。

中国政府の発表では、

不良債権額は、1兆2,000億元、全貸し付けに占める比率を1.59%

返済が滞る恐れのある融資を含めると3兆9,900億元、比率は5.4%

とされています。

しかし、政府が発表した数字は、期限内に返済が行われなかった場合に追加融資などを行う「エバーグリーン融資(延命融資)」があるため実態よりも少なくなっています。

2015年9月に、国際決済銀行(BIS)は、中国のGDPに対する貸し付け比率が、数年後に銀行危機が発生するリスクが高まっていることを示していると警告しており、

2016年は、債務不履行ラッシュが到来するのでは?と専門家の間では見られています。

世界経済への影響も大きくなりそうなので、動向には注目する必要がありそうです。

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