有限責任の非公開会社 Sendirian Berhad(SDN. BHD.)を設立するのが一般的です。まずは、設立サポート会社にコンタクトを取り、希望の法人名を伝えて、法人名調査をしてもらいます。調査は、1日で終了します。その後、取締役・株主などを確認して、設立手続きに入ります。
マレーシア法人の条件は、
・株主 :最低2名
・取締役 :最低2名
・取締役居住:要(2名共)
・秘書役 :要
・年次報告書:要
・税務申告書:要
・会計監査 :要
・授権資本金:100,000リンギット
・払込資本金:2リンギット以上
香港法人の条件は、
・株主 :最低1名
・取締役 :最低1名
・取締役居住:不要
・秘書役 :要
・年次報告書:要
・税務申告書:要
・会計監査 :要
香港法人よりも運営条件は厳しくなります。また現地在住の取締役2名が必須となるため、日本など海外に居住しながら運営する場合には、取締役名義貸し2名分が毎年加算されてしまうので、費用がよりかさむことになります。
提出必要な書類
・発起人のパスポートと住所証明書スキャンデータ
・法人の目的などまとめ情報
スケジュールと費用
設立完了まで約2週間程度
名前調査:1営業日
法人設立情報確認・作成・サイン:2から3営業日
法人登記:7から10営業日
内訳(年間ベース)
/会社名申請・・・300RM(初年度のみ)
/会社設立・・・・4,800RM(内政府へ3,000RM/初年度のみ)
※資本金100万RMの法人の場合は政府へ5,000RM
/会計管理・・・・1,800RM/年間(資本金50万RM)
/人件費管理・・・600RM/年間(EP取得する社員一人当たり)
/監査・・・・・・1,500RM/年間
/事務処理・・・・1,200RM/年間
/秘書・・・・・・1,600RM/年間
/ノミニー・・・・2,400RM/年間
/貸事務所・・・・2,400RM/年間
この金額は依頼先の事務所によって異なります。
マレーシア法人をノミニーを利用して設立する
マレーシア法人を設立する際には、マレーシア国内に住所を有する取締役2名が必要となる。国内に住所を有するというのは、観光ビザで入国をしておいて、コンドミニアムなどをレンタルしているというのではなく、査証を保有している意味となる。査証としては、MM2H(Malaysia My Second Home)かDP(Dependent Pass)などが該当する。
注意点としては、MM2Hの場合は、マレーシア国内での労働がパートで週20時間までという規定があるので、法人の取締役になった場合でも給料をとることができない点であります。
大企業ではなく、マレーシアに渡航して法人を設立する場合には、MM2Hを保有している、もしくはDPを申請しようと考えていることがほとんどなので、名義貸し取締役(ノミニーという)サービスを利用することになります。
MM2Hを保有している場合は、保有者本人とノミニーの2名
DPを申請しようと考えている場合は、ノミニー2名で設立をして、後日DPを取得した後に取締役変更手続きをとることになります。
株主については、マレーシア国内の居住用件はないので、もし出資をして他人に会社を運営してもらう場合でも、株式をほぼ保有し、銀行口座の署名者になることで、自分の権利を守ることができる。株主も最低2名という規定がありますので、最低でも1株は他人に持たせないといけません。
ノミニーを利用する際の注意点
法人設立書類へのサイン、取締役会議事録へのサイン、銀行口座開設書類へのサインなど度々ノミニーのサインが必要となります。
そのため、サポートを依頼している事務所が自分の事務所と近いもしくは、すぐに対応をしてくれる事務所を選んでおくとストレスとなりません。また、事務所を借り、電話・電気の申し込みをする際に、ノミニーの身分証明書と住所証明書データの提出が必要なこともあるので、このあたりも協力的かどうかを事前に確認しておく必要があります。
ちなみにノミニーの費用は、依頼先の事務所によりますが、1,000RM/年間になります。
マレーシア法人を営業許可証を取得する
マレーシア法人を設立して、DP(Dependent Pass)を申請するためには、法人で事務所を借りて、マレーシアでの営業許可証を取得する必要があります。
スケジュール
法人設立に約2週間、事務所借り(手付金、契約書類作成)1週間から2週間、営業許可証申請・発行2週間
ビジネスライセンス申請時の書類
M&A:会社定款
Form9:取締役会議事録
Form24:株式割り当てに関する申告書
Form49:取締役、経営者、会社秘書役の名簿
Surat Kuasa:委任状
Borang Permohonan Lesen Premis:資格申請書
Salinan Resit Cukai Harata Tahun Semasa:納税証明書のコピー
Salinan Sijil Kelayakan Menduduki:建物使用許可証
Perjanjian Sewa Oremis Sekirannya
Perniagaan Disewa Dari Pemilik Premis:事務所賃貸の証明書
Contoh Lakaran Atau Visual(ArtWork)lklan/Papan Tanda:会社の看板などの画像
Salinan Paspot(Muka hadapan):取締役のパスポートのコピー
・会社の看板などの画像
事務所の内装は整っている必要はないが、ちゃんと建物の入り口、オフィス予定場所の全体像が確認できる画像を提出することになる。
・建物使用許可証
弁護士事務所などで取締役が書類にサインをして作成するものになる。
有効期限は1年
毎年更新が必要となり、期限が迫ってくるとサポート事務所から連絡が入る。更新時に持参するのは、有効期限のビジネスライセンス書類と更新料の450RMのみ。その場で、ビジネスライセンス支払い明細と新年度のステッカーが手渡される。ステッカーの色は、2012年が黄色、2013年がピンク、2014年が青。
ジョホールバルで更新
MBJB(MAJLIS BANDARAYA JOHOR BAHRU)KAUNTER SETEMPAT
住所:
Majlis Bandaraya Johor Bahru, Bandar Johor Bahru, 80000 Johor Bahru, Johor, Malaysia
営業日・時間:
月曜日から木曜日:7時45分から17時まで
金曜日:現地で要確認、土祝は休み
建物に入り、入り口で「営業許可証の更新」にきた旨を伝えて、番号札をもらいしばらく待ちます。2回更新手続きに行っていますが、どちらも待ち時間は3分程度で、混雑はしていませんでした。電光掲示板に番号と受付場所の番号が表示されるので、そこに行き、有効期限内の営業許可証を手渡すとすぐに更新分をプリントアウトしてくれます。その後は、支払い窓口に移動をして、450RMを支払い手続きが完了となります。空いていれば10分かからない手続きとなります。
マレーシア法人でDPを取得するメリットとメイドさん
マレーシア法人を設立して、取締役として、またマネージャーなどの従業員として、EP(Employment Pass)もしくはDP(Dependent Pass10)を取得すると、大きなメリットとして2つ挙げることができる。
90日以上の滞在が
合法的に90日以上滞在することができるようになります。日本のパスポートを持っていると、マレーシアへ渡航した際に事前に査証を取得することなく、最大90日まで滞在することが可能です。それを超えて滞在をすることは、査証延長手続きなどを入国管理局で取る必要がありますが、DPを保有しているとEP有効期限まで滞在が可能となります。
ちなみに、入国審査の際に、査証がない場合には、入国した日付と90日と期限が明示されたスタンプが押されます。EPを保有している場合は、「re-enter until DPの有効期限の日付」というスタンプになります。
また、EPF(Employees Provident Fund)従業員積立ファンドやマレーシアでの生命保険加入が可能となります。
メイドさんを雇える
配偶者、子供がいる場合には、メイドさんをすぐにでも雇うことができます。単身者の場合には、難しい。
10年間有効である、リタイアメントビザのMM2H(Malaysia My Second Home)を持っていてもメイドさんを雇うことができますが、DP保有者とはメイドさんを雇う時の申請手順が異なり、DPのほうがスムーズに雇うことができるというのが、サポート会社からの見解でした。
メイドさんを雇う時には、メイドを紹介してくれる業者さんがいるので、そこに依頼をするのが一般的で、マレーシア政府に登録をしている業者さんの一覧は、
PAPA(PERSATUAN AGENSI PEMBANTU RUMAH ASING MALAYSIA)=MALAYSIAN ASSOCIATION OF FOREIGN MAID AGENCIES>のサイトで州別に確認することができる。
いなくなってしまったメイドさんの名前の一覧やメイドさんの待遇が悪い業者さんの一覧も確認できるようになっています。
メイドさんの給料相場は1ヶ月で、
・カンボジア人で少し英語が喋れる人で650リンギット(約16,500円)
(インドネシア人はカンボジア人よりやや高い相場。)
・フィリピン人で英語が堪能な人で1,000リンギット(約25,000円)
・マレーシア人で英語が喋れる人で1,200リンギット(約30,000円)
(※エージェントによっても異なるので確認が必要。)
インドネシア人のメイドさんは、これまでの歴史でマレーシアへの派遣が禁止になったりもしていますので、お手伝いをお願いする先の方は、業者さんで確認が必要となります。
香港では、メイドさん文化が根付いていて、多くのメイドさんが働かれていますが、日本では、ほとんど根付いていないため、実際にお願いしても戸惑ってしまうことが多いとのこと。いきなり住み込みというのではなく、週に数回来てもらい、どういった感じで作業をされるのか、こちらのリクエストに応えてくれるのかを確認し、慣れた段階で正式にお願いをするほうがよいようです。
マレーシア法人の労働許可証取得と更新
現在管理しているマレーシア法人が取得しているDP10は、有効期限が2年になっており、
更新期限が6ヶ月後になったので、・DP10申請時・DP10更新時 に必要な条件や書類などをまとめ・確認してみました。
初めて申請する時の基準
非製造業のマレーシア法人が外国人のために申請するDP10基準は、
・27歳以上
・学歴が大卒
・月給5,000RM以上
(RM:マレーシア・リンギットの意味)
が目安となります。
・投資家または取締役が対象の場合
・学歴が高卒でも日本の国家資格を取得して、
理容師、美容師、調理人としての経歴がある場合
・業種がIT関連である場合
は上記の限りではありません。
給料に対する税金
マレーシアの給料に対する税金は、累進課税となっていて、毎年規定され、「Jadual PCB」という早見表で金額を確認することができます。
2013年度「Jadual PCB」の数字を見ていくと、
給料:5,000RM 毎月の税金:258RM
給料:8,000RM 毎月の税金:888RM
給料:10,000RM 毎月の税金:1,386RM
給料が8,000RM(約25万円)だと毎月の税金が888RM(約2万8千円)と10%以上になっています。
上記の数字は、独身の場合で、既婚、子供有りなど扶養人数が増えると控除対象となり、金額が少なくなります。会社の方針でこの税金分を給料に含めるのか、会社負担にするのかを決定することができます。
ちなみにマレーシア国内での平均月収は、5,000RMという統計がありますので、マレーシア国内で外国人が働く場合は、最低でも平均月収以上はないとマレーシア国内で働かせるメリットがないので、労働許可証を発行できないということになっているようです。
申請時・更新時の必要書類
・法人提出必要書類
1)法人関連書類
2)営業許可証
3)レターヘッド(会社ロゴや住所)入り書類10枚
4)会社事業明細
5)会社組織図
6)マレーシア人のスポンサー(通常サポート事務所)
7)Registrar of Companies(ROC)の書類
・申請人提出必要書類
1)2年以上有効なパスポートの全ページコピー
2)パスポートサイズのカラー申請人写真2枚
3)役職
4)学歴・職務経歴書
5)マレーシアの住所
★6)過去3ヶ月分の給料明細
★7)源泉徴収明細
★8)従業員積立(Employees Provident Fund)支払い明細
(★・・・更新時必要分)
★6)過去3ヶ月分の給料明細
→各法人で準備して、提出
★7)源泉徴収明細
→歳入庁から送付されてくる明細を利用
★8)従業員積立(Employees Provident Fund)支払い明細
→任意加入。利用する場合は、
雇用者:1人当たり5RM負担、
従業員:負担率11%(給料額に対して)
▼各手数料
・申請時
1)申請給料額変更:200RM
2)政府関連手数料:500RM
3)手続き手数料:50RM
サポート事務所の手数料は、5,000RM
合計5,750RM
・更新時
1)DP10手数料:1年につき200RM
2)手続き手数料:50RM
3)印紙税:30RM
サポート事務所の手数料は、3,000RM
合計で、3,480RM、別途ROCの書類発行手数料がかかります。
更新時の給料額改定
従業員の給料の減額を考えている場合は、該当者の役職を低いものに変更するなど対応が必要となるので、法人・会計サポート事務所担当と相談をして、移民局への申請を準備していくことになります。給料の減額=毎月の税収が少なくなるということになるので、政府としても厳しくチェックしてくる可能性があります。
給料などの変更を伴わないDP10更新については、難しくなっているという話は聞かないですが、DP10新規発行については、貸住所を利用した申請ではなく、実際に活動の拠点が準備されているかの現地調査が入るなど審査が厳しくなってきており、発行までに時間を要するケースが多くなってきています。
マレーシアでの個人所得税計算と納入
EPを取得後、マレーシア国内に183日以上滞在すると税法上でマレーシア居住者となります。毎月給料額に応じて、会社から内国歳入庁に納入しますが、それは確定の金額ではありません。毎月の納入額の確認方法については、こちらの記事からご確認ください。
源泉がどこか
マレーシア企業で働き、給料をもらっている分に関しては、マレーシア国内での課税対象となります。
源泉がマレーシアのものに対してのみ課税がされるため、香港で証券口座を開設して、証券を売買し、利益をあげたという場合には、マレーシアで課税対象とはなりません。
日本とは異なる大きな点の一つとなります。日本居住者の場合は、日本だけではなく、海外で発生した収益についても申告の必要があります。税務の詳細については、国際税務を熟知されている税理士の先生にお願いいたします。
算出方法
「b8 tax rates」で検索するとPDFデータが表示されます。
・2002年から2008年
・2009年
・2010年から2012年
・2013年
と年により数字に差がありますので確認が必要となります。
・月給
・同居家族の有無
・マレーシアでの保険加入
控除の金額規定は、
本人:9,000RM
配偶者:3,000RM
子供:1,000RM
年の給料が100,000RMの場合は、
「b8 tax rates」規定の数字になります。
100,000RMを上回る場合は、上回った数字×26%
例えば、
・月10,000RMの給料
・配偶者、子供帯同なし
・各種手当てなし
・マレーシアでの保険加入なし
の場合
年の給料120,000RMから本人控除の9,000RMを差し引いて、
111,000RMが課税対象となります。
これを100,000RMと11,000RMに分けて、
100,000RMについては、
「b8 tax rates」規定=13,850RM
11,000RMについては、
26%=2,860RM
合計で16,710RMが納税必要額となります。
- ————————————————————————
給料:120,000RM
控除:9,000RM
————————————————————————
対象:111,000RM
————————————————————————
100,000RM=b8規定=13,850RM
11,000RM=26%=2,860RM
————————————————————————
納税額:16,710RM
————————————————————————
毎月の納入金額を差し引いて、最終納入額が確定します。もちろん毎月の納入金額が、納税必要額を上回っていた場合には、還付があります。
サポートを依頼している会計事務所から確認が入りますので、各数字を報告して、申告書類を作成してもらうことになります。
ちなみに、マレーシア法人を去る際には、税金の確認のため本人が内国歳入庁に出向き、納入状況などを確認し、法人取締役のサイン入り書類を作成、パスポート全ページコピーを提出する必要があります。熟練のサポート事務所の場合には、必要な書類や書式などについての知識があり、手厚くサポートしてくれると思われます。
マレーシア法人で給料に対する税金の支払い手続きをする
マレーシアの給料に対する税金は、毎月支払う必要があります。累進課税となっていて、「Jadual PCB」という早見表で金額を確認することができます。
2013年度「Jadual PCB」の数字を見ていくと、
<単身者の場合>
給料:5,000RM 毎月の税金:258RM
給料:8,000RM 毎月の税金:888RM
給料:10,000RM 毎月の税金:1,386RM
給料が8,000RM(約25万円)だと毎月の税金が888RM(約2万8千円)と10%以上になっています。
上記の数字は、独身の場合で、既婚、子供有りなど扶養人数が増えると控除対象となり、金額が少なくなります。会社の方針でこの税金分を給料に含めるのか、会社負担にするのかを決定することができます。
<配偶者がいる場合>
給料:5,000RM 毎月の税金:216RM
給料:8,000RM 毎月の税金:828RM
給料:10,000RM 毎月の税金:1,321RM
<配偶者と子供が1人いる場合>
給料:5,000RM 毎月の税金:207RM
給料:8,000RM 毎月の税金:808RM
給料:10,000RM 毎月の税金:1,299RM
法人設立サポート事務所から、税金の支払い案内が毎月ありますので、それにしたがって、小切手を発行するなどで納入をします。
小切手に記入する宛先としては、「Ketua Pengarah Hasil Dalam Negeri」と記入します。
しかし、毎月決まった時期に小切手を発行するというのはかなり面倒になるので、インターネットで支払うことができるように申請・設定をしてもらい、現在はインターネットで毎月納入しています。
PCBで着金の確認が取れると登録している法人住所に領収書が送付されてきます。これは、毎月の税金納入証明にも利用することができるので保管しておく必要があります。
e-PCB
Lembaga Hasil Dalam Negeri MalaysiaのSistem e-PCB (Potongan Cukai Bulanan)に登録をすることで、法人名義のネットバンキング経由で税金の支払いが可能となります。
ネットバンキングの支払いに対応しているのは、
・Bank Islam
・CIMB Bank
・Hong Leong Bank
・Maybank2e/Maybank2U
・Public Bank
・RHB Bank
とマレーシア現地銀行がメインで、スタンダードチャータード銀行やシティバンクは対応していません。(外資系銀行の法人講座開設は、運営実績が問われますので、新規設立法人が保有するのは難しいです。)
e-PCBを利用することができるようになると、支払い完了まで5分程度で、さらにインターネットで支払い明細などもダウンロードできるようになりますので、管理が手軽になります。
マレーシアの外国人向けVISA RP-T
The Residence Pass – Talent (RP-T)
RP-Tは、2011年4月に導入されました。マレーシアの政府機関、タレントコープがマレーシアで働いている外国人向けに発給をしている労働VISAです。条件を満たせば最長10年の滞在および就労が可能となります。一番の特徴としては、就労先が変更になっても、VISAを再取得する必要がなくなるということです。マレーシアに合法的に90日以上滞在するためには、リタイアメントVISAであるMM2H(Malaysia My Second Home)もしくは、DP10など就労に関するVISAのどちらかが必要となります。
MM2Hについては、マレーシア国内での労働に対する収入は、週20時間のパートタイムまでと決められているため、法人を設立して取締役になり、給料をとることなどはできません。キャピタルゲインについては、非課税となっているため、投資をすることはできますし、また国外の収益についても課税対象とならないので、収入の柱がある人にとっては、MM2Hの就労制限は問題がありません。
就労VISAを取得して就業している場合には、基本的には勤務先の法人が就労VISAのスポンサーとなり、発行してもらうことになるので、会社を移動してしまった場合は、就労VISAを破棄しなければなりません。勤務と滞在権が一緒になっているということになります。
しかし、このRP-Tを取得することにより、勤務と滞在権を切り離すことができてしまうのです。労働者にとっては、うれしいけれど、経営者にとっては、あまりうれしくないVISAということもできそうです。
申請することができる条件
・マレーシア経済の発展のために必要なビジネス遂行能力を持っている
・3年間マレーシアで働いている
・有効期限内のEP(Emplymen Pass)を持っている
・マレーシアで認められている大学や大学院などを卒業して、学位を得ている
・5年以上の就業経験がある
・1年間に144,000RMの課税対象所得がある
・マレーシアでの所得課税番号をもっていて、少なくとも2年所得税を支払っている
- High-achieving individuals with the capacity to drive business results that contribute towards Malaysia’s economic transformation.
Have worked in Malaysia for 3 years.
Holds a valid Employment Pass at the time of application.
Holds a PhD/Master’s/Degree or Diploma in any discipline from a recognised university or a professional/competency certificate from a recognised professional institute.
Possess 5 years of total work experience.
Earns a gross taxable income of RM144,000 per annum.
Have an income tax file number in Malaysia and have paid income tax for at least 2 years.
6つの特典
RP-Tを取得した後には、6つの特典があり、
・10年間マレーシアで生活し、働くことができる
・勤務先を変更しても、VISAを変更しなくてよい
・配偶者と18歳以下の子供は、一緒にパスの取得が可能
・18歳以上の子供および両親は、5年パスの取得が可能
・配偶者は、エンプロイメントパスなしで、仕事先を探すことができる
・配偶者と18歳以下の子供は、学校に通い、勉強することができる
申請方法・料金
オンラインもしくは窓口
申請料金は、1人あたり200RM
本人・配偶者、18歳以下の子供
手続き手数料は、
本人・配偶者:1,800RM
18歳以下の子供:1,300RM
イミグレーション手数料は、1人あたり500RM
5年のマルチエントリービザで、0から50RM(国籍による)
合計として、
本人と配偶者申請は、2,500RM
18歳以下の子供の申請は、2,000RM
となります。
申請承認は、Eメールで通知があります。審査状況などは、オンラインで確認ができます。
申請に必要な書類
◯申請人
・パスポート全ページコピー
・履歴書
・学歴証明書
・青背景のパスポートサイズの証明写真3枚
・雇用契約書
・過去2年間の納税証明書とEAフォーム
・過去3ヶ月の給料明細
・現在の雇用主からの同意書(マレー語)
・現地の連絡先代表者のIC情報(MYKAD)
・エージェントからの推薦状
◯配偶者・子供など
・パスポート全ページコピー
・結婚・出生証明書(英訳・大使館認証済み)
・青背景のパスポートサイズの証明写真3枚
・他の補助書類
2.1 RP-T – Main Applicant
a) Copy of passport (all pages)
b) Updated Resume
c) Copy of Educational certificates*
d) Passport size photo with blue background (3 pieces)
e) Copy of Employment Contract
f) Copy of latest 2 year’s Tax declaration slip & EA Form
g) Copy of latest 3 month’s salary slip
h) No Objection Letter from current employer (must be in Bahasa Melayu)
i) Copy of Local Contact Person’s NRIC (MYKAD) – front and back
j) Testimonials
k) Other supporting documents i.e Recommendations from Regulatory Agencies
2.2 Dependants (if any) – spouse, children or legal-adopted children under 18 years of age.
a) Copy of passport (all pages)
b) Certified True Copy (CTC) of marriage/birth certificates by respective Embassy in Malaysia*
c) Passport size photo with blue background (3 pieces)
d) Other supporting documents (if any)
マレーシア法人の閉鎖コストと手続き
2014年9月に、東証1部上場の東京製綱は、100%出資子会社のマレーシア法人Tokyo Rope Malaysia SDN BHDを解散および清算すると発表しました。
ソーワイヤ・タイヤコードの生産・販売をしていましたが、市況が低迷しているため今回の決断をしました。
進出の側面だけが強調されますが、撤退する時の手続きについても最初に検討しておく必要があります。
サポートしていたマレーシア法人も先日清算することが決まりましたので、手続きと費用についてまとめてみます。
清算の種類と手続きの流れ
清算型には、
1)裁判所による強制清算
2)会社が行う任意清算
1)裁判所による強制清算(会社法219条)
裁判所による清算命令・清算人が任命される。その時点で取締役は会社の決議権を失います。
2)会社が行う任意清算
会社の支払能力の有無により、
a)株主による任意清算
b)債権者による任意清算
に分かれます。
a)株主による任意清算(会社法257条)
→会社に支払能力があることが前提
取締役会で12ヶ月以内の債務弁済可能な宣誓を実施
↓
株主総会の特別総会で清算人を任命
↓
取締役が会社運営権限を失う
b)債権者による任意清算(会社法254条)
→会社に支払能力がない場合
債権者集会を実施し、清算人を選定
↓
取締役が会社運営権限を失う
実質的に債権者が会社清算を進めるというのは、事例が少なく、適用事例がかなり少ないです。
閉鎖に関する費用
合計:3,645RM
ノミニー :1,200RM(1年分)
秘書 :720RM(1年分)
閉鎖 :1,590RM
SSM :135RM
ノミニーと秘書費用については、法人閉鎖までの期間必要となるため支払いが必要となりますので、
会計処理を合わせて行う場合には、
合計:1,711RM
会計 :393RM
監査 :998RM
年次報告書:320RM
の請求がくることになります。
金額については、依頼先のサポート事務所により異なります。
ちなみに、会計・監査処理に必要な書類は、
・監査(Audit)
/Annual Report
/Audit adjustment
/Letter of representation
/Directors’ remuneration certificate
/Directors’ confirmation letter
/Bank certificates
・税金(Taxation)
/CP 204
/Form C
/Tax Computation
/Form CP55
・秘書(Secretary)
/AGM (対象年度のもの)
になります。
現地に渡航する必要の有無
清算の手続き自体に、マレーシア現地に渡航する必要はありません。
サポート会社から送られてきた書類データを所定の部数プリントアウトして、必要箇所にサインをして、送り返すことで手続きを進めることができます。
しかし、現地に渡航しないといけない場合があります。それは、法人銀行口座の署名者になっている場合です。
清算に伴って銀行口座を閉鎖する際代理人ではなく、署名者本人が、社判・小切手・身分証明書を持参して、支店窓口を訪問する必要があります。法人口座を開設する際に、この点も事前に確認しておき、署名者を誰にするのかという点も明確にしておく必要があります。
円安が加速する中、閉鎖手数料もかかるので、海外法人の活用については、閉鎖費用を含め、設立する前に検討しておいたほうがよいです。
マレーシアの有限責任事業組合
マレーシアの現地法人を設立する際に、LLP(Limited Liability Partnership)を勧められるケースがあります。これまでは、1965年制定の会社法による有限責任の株式会社設立が一般的でした。
LLP(Limited Liability Partnership)
有限責任事業組合のことを指します。マレーシアでは、LLP法が、2012年12月26日制定されていましたが、税制度についての告知が、2014年5月9日にあった関係で、2014年に入ってからLLPの設立、LLPへの組織変更が話題となっています。
LLPが対象としているのは、
・法律や会計の専門家
・中小規模のビジネスオーナー
・ジョイントベンチャー
・ベンチャーキャピタル
LLPの特徴としては、
・株式の発行が不要
・パートナー(代表者)の現地居住義務なし
・法人格の表記が、PLT
・組織運営方針の決定が柔軟
・毎年の株主総会実施が不要
・監査手続、秘書役の設置不要
→2,000MYRから3,000MYR節約になる
・財務諸表のSSMでの認証が不要
(*SSM=Suruhanjaya Syarikat Malaysia、会社登記所)
LLPの運営コストは、会計、税金サポート含み、年3,000MYR見込になります。
有限責任の株式会社からLLPへの組織変更手続きは、手数料:1,500MYRから2,000MYR、期間:約2ヶ月
名義貸しの取締役(ノミニー)および監査手続、秘書役の設置不要となるので、運営コストを軽減することができます。
LLPの知っておくべき4つの点
1)EP(Employment Pass)
取得が可能という情報がありますが、確実なものではないとのこと。
株式会社でEPを申請する際は、資本金が500万MYR必要なるので、同基準の資本金をLLP名義の銀行口座へ払い込む必要があるかと予想します。LLPの経費や投資として、払込金を利用することができますが、銀行によっては、送金時に契約書などを送金根拠を細かく求めてくるので、EP(Employment Pass)取得のためだけに、見せ金として入れて、すぐに引き出すことを目的としている場合は、注意が必要となります。
*現地のサポート事務所も事例が少ないため、関係省庁に確認をしながら、手続きをすすめている状態になります。
2)現地渡航の必要性
各種申請に際し、パートナーの内1人は、マレーシア現地への渡航が必要となります。また、銀行口座の組織名称変更などの手続きは、本人が署名人になっている場合には、現地渡航が必要となりますので、計2回渡航が必要となる可能性があります。
オフショア法人は、現地に渡航する必要というのが少ないように様々システム化されていますが、現地法人は、本人が現地で各種手続きをしないといけない場合が多いです。
3)再度の組織変更
有限責任の株式会社からLLPに組織変更した後に、LLPから有限責任の株式会社へは、再度の組織変更は不可能です。
4)休眠制度
マレーシアでは、法人の休眠制度がありません。
法人閉鎖時の手数料目安は、1,755MYRで、現地に渡航せず、書類のみで手続きが可能です。銀行口座の閉鎖については、銀行によりますが、サイン済みの取締役会議事録の原本を支店に送付することで可能になるケースが多いです。
サポート会社担当によっては、情報提供が断片的なケースがあり、こちらの解釈とは異なる可能性があります。事前にできないことなど文面などで全て明確にしてから変更手続きに入ることをおすすめします。
オフショアのラブアン法人の条件を確認する
政府が直轄する島で、1990年に金融サービスセンター・Labuan Offshore Financial Services Authority(LOFSA)が設立され、マレーシアのオフショア地域として発展しています。
FSAは、ラブアン国際ビジネス金融センターの管理および発展を担っている機関になります。
マレーシアのサバ州すぐ横にあり、ブルネイから近い南シナ海にある島です。クアラルンプールやジョホールバルがある島とは離れており、フィリピンに近い立地となっています。
ラブアン法人の大きな特徴としては、マレーシアでありながら、法人税に関して優遇されており、監査済みの純利益の3%もしくは定額の2万RMのどちらかを選択することができる点です。
法人設立の条件
ラブアン法人の条件は、
・株主 :最低1名
・取締役 :最低1名
・取締役居住:不要
・秘書役 :不要
・年次報告書:要
・税務申告書:要
・会計監査 :要
・授権資本金:100,000リンギット(一般水準)
・払込資本金:2リンギット以上(一般水準)
・法人税:利益の3%もしくはRM20,000
マレーシア法人の条件は、
・株主 :最低2名
・取締役 :最低2名
・取締役居住:要(2名共)
・秘書役 :要
・年次報告書:要
・税務申告書:要
・会計監査 :要
・授権資本金:100,000リンギット(一般水準)
・払込資本金:2リンギット以上(一般水準)
・法人税:25%
ラブアン法人自体での投資活動については、課税対象にはならなく、またラブアン法人からの配当金、および外国人取締役への報酬は免税となります。
注意点としては、2つ
発起人は、マレーシア居住要件なしで、1名でよく、DP(Dependent Pass)を申請することができますが、DPを取得した後のマレーシア国内での居住地については、制限される可能性があります。ここは、政府の政策によるので、事前に確認が必要となり点。
そして、ラブアン法人は、マレーシア国内法人と取引をすることができない。つまり、マレーシア法人を相手先として、マレーシア・リンギットでの決済をすることができないということになります。それに伴って、ラブアン島で開設することができる銀行口座は、基本的にリンギット口座ではなく、米ドル口座となります。ラブアン島は、オフショアとされているので、HSBCやSCBなどの外資系銀行が進出しており、口座開設をすることが可能となっています。
設立費用の目安
・サポート業者手数料:4,550USD
<内訳>
ラブアン法人設立:USD 3,000
ラブアン法人口座開設:USD 550
Working Permit:USD500
Dependence Pass:USD 500 x 1 Person
・移民局申請手数料:1,300RM
マレーシア法人の退社手続き注意事項
マレーシア法人で働いていて、退社する際の手続きでポイントとなるのが、
・EPキャンセル
・税金チェック
になります。
EPキャンセル手続き
EP(Employment Pass)サポート事務所担当に依頼すると、
・パスポートの顔写真ページのスキャンデータ
・パスポートのEPページのスキャンデータ
を提出するようにと連絡があります。
依頼先によって異なりますが、手数料は、100RM程度です。
データの送付と入金を済ませると、EPキャンセル手続き書類が、メールに添付されて送付されてきます。
キャンセル手続き当日は、パスポート原本とEPキャンセル書類原本を担当者に手渡すと、1時間から2時間程度でパスポートのEPページにキャンセル印が押されて戻ってきます。
手数料が安く、自分が動く必要がないので、手続きはサポート事務所に依頼したほうが便利だと思います。
滞納税金がないかのチェック
サポート事務所の業務カバー範囲によりますが、自分で手続きをする場合には・・・
・「BE西暦」という申請書類
・「CP21」という申請書類
・パスポート原本
・パスポートの全ページコピー
・納税番号などの個人情報
を持参し、内国歳入庁LHDN(Lembaga Hasil Dalam Negeri)に向かいます。
納税番号など個人情報
=アルファベット2つ+11桁の数字
がわかっていると、窓口での手続きがスムーズになります。
「BE西暦」には、給料額、支払い税金総額などを記入する必要があります。
勤務先の企業で作成してくれない場合は、窓口担当官に確認して、記入してもらうと間違えることがなく便利です。
「CP21」は、被雇用者が出国しますという申請書類です。
マレーシアから出た後に、被雇用者が給料を受け取る場合には、マレーシア国内で納税対象となりますので、その場合は、「BE西暦」に記入が必要です。
申請書には、社判の押印と取締役などのサインが必要となりますので、勤務先には事前に連絡しておき、手続き準備を進めておく必要があります。
全ての手続きが完了するまで、約14日程度かかり、完了通知は、法人と個人へ書面にて届きます。
自分が意図せず、税金を滞納してしまっていると、次回のマレーシア入国の際にトラブルになる可能性もあるので、手続きはしっかりしておかなければなりません。
また、小切手付きの銀行個人口座を保有している場合は、閉鎖手続きの際に小切手帳の返却が求められるので、紛失しないように、保管しておくか、出国前に閉鎖手続きをしておく必要があります。