パナマ船籍の船をよくニュースで聞く理由

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2015年11月28日タイ・バンコクを出発して、12月8日に愛知県の衣浦港に到着予定の貨物船が浅瀬に乗り上げました。

乗員はベトナム人で、船籍はパナマでした。

便宜置籍船国の存在

社団法人日本造船工業会の資料によると、

2014年度船籍国別シェアは、

パナマ:18.6%
リベリア:10.9%
マーシャール諸島:9.4%
香港:7.9%
シンガポール:6.6%
マルタ:4.8%
バハマ:4.7%
中国:3.8%
ギリシャ:3.6%
キプロス:1.8%
日本:1.8%
イタリア:1.4%
ノルウェー:1.4%

実質船籍国別シェアは、

ギリシャ:13.8%
日本:13.6%
中国:8.4%
ドイツ:7.5%
アメリカ:5.2%
イギリス:4.1%
韓国:4.0%
ノルウェー:3.3%
シンガポール:2.9%
デンマーク:2.5%
台湾:2.3%
香港:2.3%
イタリア:1.5%

パナマ、リベリア、マーシャール諸島は、船籍の約40%を占めてしますが、自国の船として運行されているのは、1%にも達していません。

その理由は、便宜置籍船国として、多くの船舶の登録を受け付けているからです。

便宜置籍船とは、税金や人件費の削減のために、外国籍で登録した船舶で、FOC(Flag of Convenience)

便宜置籍船国の特徴としては、

・外国人による船舶の管理を許可している
・外国にある領事館で登録が可能
・外国人乗り組みが自由
・厳しい管理制度や法令がない
・船舶からの収入対して非課税

(ロッチデール海運調査委員会報告書より)

また、便宜置籍船国は、タックスヘイブンとしても有名で、外国からの収入を得るために、1970年代から魅力的な制度を導入して、積極的に外国企業の誘致を進めているのです。

価格競争で生き残るために

日本の船も10%以上が、便宜置籍船国に籍を置いています。

日本船籍の船には、日本人や日本が承認する海技免状等を持った船員の乗船が義務づけられているので、船員は賃金が高くなり、賃金が低い新興国とでは、価格競争で不利になってしまいます。

そこで、国籍要件などの規制が緩やかで、賃金の安い外国人船員を乗せることができる便宜置籍国に籍を置き、自国籍船と便宜置籍船を組み合わせる形で、海運業に取り組んでいるのです。

パナマ船籍の船をよくニュースで見かけるのには、こういった背景があります。

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