マイナンバーと非居住者、そして年金受取

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2016年2月22日金融庁総務企画局政策課から発表された

「金融機関における非居住者が行う国外送金手続とマイナンバーについて」

日本国内の金融機関の口座に対して、国外から送金がされたケースについて

・送金者が非居住者
・受取人が非居住者もしくはマイナンバーを持っていない

といった場合、

マイナンバーがないことを理由に、金融機関が海外からの送金の受取を拒否したり、払い出しを拒否することはない。

ただし、金融機関に対して、事前に非居住者である旨の届け出が必要である。

という内容でした。

非居住者になる場合には、金融機関とのトラブルを事前に防ぐために、届け出が必要ということになります。

みずほ銀行の規定では、

*非居住者の方
・日本に入国後6ヵ月未満の外国人、
・2年以上外国に滞在する目的で出国し、外国に滞在する日本人など

となっています。

また、非居住者の個人・法人対象に、「みずほ非居住者円預金」といった商品があるようです。

リタイアメントで海外に在住し年金を受取ると・・・

非居住者が受け取る日本の公的年金は、国内源泉所得となるため、日本で課税対象となるのが原則。

分離課税方式となっており、所定計算式で算出された額が控除され、その金額に税率20.42%で課税され、源泉徴収されます。

日本との租税条約がある国で、公的年金の課税を免除している条約がある国の場合には、日本から受け取る公的年金は、日本で非課税扱いになります。

リタイアメント先の国を選ぶ基準として、租税条約の確認は必須といえます。

フィリピンで年金を受取る場合は・・・

日本とフィリピン間では租税条約が締結されています。そのため、フィリピンの銀行口座で年金を受け取りたいと考える場合には、

事前に、

・租税条約に関する届出書
・年金の支払いを受ける者に関する事項

を提出しておくことで、日本での源泉徴収は免除されることになり、フィリピン現地で課税されます。

提出先は、国税庁のHPによると、年金等支払者の所轄税務署となっています。

フィリピンに居住目的で渡航する前に、
年金の受取については、

国民年金→市役所役場
厚生年金→社会保険事務所

などを訪れて、手続きに漏れが生じないように担当者に確認しておく必要があります。

ちなみに、SRRV(Special Resident Retiree’s Visa)特別居住退職者ビザを保有している場合には、年金への課税が免除されることになります。

海外資産の贈与や相続について

相続税・贈与税が課税される範囲は、納税義務者の区分によって異なっています。

日本国籍を有する個人が、

・贈与、もしくは相続時点で、日本国内に住所を有しているか
・贈与、もしくは相続時点から、5年以内に日本国内に住所を有していたか

という部分で、

・制限納税義務者
・無制限納税義務者

そして、
無制限納税義務者の中でも、

ー居住無制限納税義務者
ー非居住無制限納税義務者

という区別がされています。

非居住というのは、贈与・相続が開始した時点から、5年以内に、日本屋内に住所を有していたことがある場合。

いずれの場合も、国内財産・国外財産全てが、日本国内での課税対象となります。

・制限納税義務者

日本国籍を有する個人

相続人・被相続人
受贈者・贈与者

が、いずれも、開始前から5年を超えて、国外に住所を有している場合、

国内財産については、日本国内での課税対象となりますが、
国外財産については、日本国内での課税対象とはなりません。

つまり、国外財産が日本で課税対象とならないのは、

相続人・被相続人
受贈者・贈与者

共に、国外に住所を有していて、5年以上経過している場合のみとなります。

ジョイントアカウントを保有している場合

海外の金融機関では、夫婦共同名義の口座(ジョイントアカウント)を保有することが可能となっています。

日本では、あまりない口座のタイプなので、税法上の取り扱いでハッキリした規定はありません。

海外銀行でジョイント口座を開設して、日本国内から送金して資金を入れる。

このことについては、贈与などの問題は発生しないようです。

単に夫婦の資産を、共同名義の口座に移動しただけとなるためです。

また、生活資金を口座から引き出すのも、単に生活費を使用しているだけなので、問題なしとなります。

夫が働いていて、家庭の主な収入を夫が稼ぎ出している場合、共同名義の口座から、妻個人口座へ資金を移動すると、贈与とみなされる可能性が出てきます。

この場合でも、夫婦ともに、日本国外に住所を有して、5年以上経過していれば、贈与とはみなされなくなります。

ジョイントアカウントを閉鎖して、日本国内の金融機関に資金を戻す場合には、ジョイントアカウント開設時の夫婦それぞれの持ちだした資金割合で計算し、それぞれの口座に送金するのがベストとされています。

割合を変えてしまうと、贈与税の課税対象となる可能性があるためです。

詳細については、国際税務に詳しい税理士サンへご相談されることをオススメします。

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