金融取引税の導入に向けて、EU加盟11カ国は会合を開いています。
金融取引税は、(financial transaction tax:FTT )金融機関が行う金融取引に課税する税制です。
金融取引税導入の目的とは?
株式・債券の取引:最低0.1%
デリバティブ取引:最低0.01%
の課税になる方針です。
「税は、金融機関同士の取引の85%を対象とすることを目指す」
一方、家計や中小企業は、影響を受けないようにする方針なので、個人には直接影響はありません。
税制の目的は、
1つ目として、グローバル金融危機の際に、必要だったコストをカバーするために一般税収に対する金融業界の「公正かつ相当な貢献」を求めること
2つ目として、将来の危機を回避するため金融市場の効率改善にならない金融取引に負担を設けること
です。
EU全体で導入を進めていましたが、反対する国が出てきたために、まずは、導入に賛成している11カ国で話を進めています。
11カ国は、オーストリア、ベルギー、エストニア、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、ポルトガル、 スロバキア、スロベニア、スペイン です。
導入に反対しているイギリスやスウェーデンなどは、EU加盟国だけではなく、国際的な税制として金融取引税を導入すべきと主張しています。
その背景には、イギリスは、世界で有数の国際金融センターロンドン市場がありますが、税制導入で金融取引が、イギリス外になってしまうことを恐れており、スウェーデンは、過去に金融取引税を導入した際に、ストックホルム市場の金融取引が、ロンドン市場に移った経験があるためです。
課税対象の範囲となっているのは・・・
課税地域からロンドンなどの域外へ取引が移ることを阻止する狙いで、11カ国内の金融商品に関する取引は、時期や場所を問わず課税される「発行原則」を採用しています。
これは、加盟国の金融機関だけのお話ではなく、非加盟国の金融機関にも大きく関わってきます。
たとえば、加盟国であるフランスの金融機関と日本の金融機関が取引した場合、
「加盟国に設立されたものとみなされ課税対象とする」
と扱われるので、フランスの税務当局に納税が必要となります。
また、加盟国の金融機関が発行した債券を非加盟国の金融機関同士が取引した場合でも、加盟国の税務当局に納税が必要となります。
2014年の導入を目指していましたが、まだ2015年末の時点では、導入に至っていません。
導入されると今後、世界各国に展開している金融機関に大きな影響を及ぼすことは確実でしょう。