2015年12月10日国際銀行間通信協会が、(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication:SWIFT)
企業間における
・国際決済の即日処理
・手数料の透明性向上
などを目的とした、「国際決済サービス改革の枠組み」を発表しました。
2016年前半から一部の銀行で取り組みを予定しています。
SWIFTについては、国外送金の時に利用するSWIFTコードで馴染みがあると思います。
SWIFTは、1973年に設立された本部をベルギーにおいている組織で、国際的なネットワークで、金融機関同士の通信をサポートしており、200カ国以上に10,800以上の銀行や証券会社、法人の顧客がいます。
国外送金で時間がかかる原因
・国際決済の即日処理
が今回の発表の中にありますが、国外送金などに時間がかかるのは、コルレス銀行が間に入っているためです。
コルレスは、コレスポンデンス(correspondence)の略で、代理を意味していて、コルレス銀行は、銀行間で代金の受け払いを代行し合う契約を締結した相手方の銀行のことです。
送金指示を出すと、現金が封筒に入れられて、中央銀行に開設している当座預金口座間で、振替・精算しているのです。
国内送金の場合は、A銀行からB銀行へ送金すると、
A銀行→中央銀行→B銀行
中央銀行内の当座預金口座で、A銀行=減る、B銀行=増えるといった振替・精算がされます。
国をまたいだ送金の場合は、銀行間で振替・精算できる中央銀行の当座預金口座がないと、他の銀行に代金の受払を依頼することになります。
そこで登場するのが、コルレス銀行になります。
A銀行から国外のD銀行へ送金すると、
A銀行→C銀行→中央銀行→D銀行 (*C銀行がコルレス銀行)
コルレス銀行であるC銀行が間に入る形で、C銀行とD銀行間で、振替・精算がされます。
国外送金の約67%は、コルレス銀行を通過しているというデータがあります。
SWIFTを利用し、電信として送金に関するメッセージを送るコストは、0.04ドルなのに対して、顧客が手数料として支払っているのは、5ドルから50ドルと割高になっています。
また、国外送金は、
・他の銀行と取引すること
・中央銀行に振替指示を出すこと
での時間的な差が発生するため、指定口座での着金確認が取れるまでに、時間がかかることなどから、今回の「国際決済サービス改革の枠組み」発表に至ったのです。
仮想通貨などに利用されているブロックチェーン技術を利用した仕組みを構築することで、コルレス銀行問題が解決できるのではとされています。
世界的なコンプライアンス強化でコスト増
・アンチマネーロンダリング(AML)
・ノウ・ユア・カスタマー(KYC)
・外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)
など、国際的なお金の流れについてのチェックが厳しくなってきており、
銀行は、対策費用や手数料などで、過去3年だけで、支出が50%も増えているとのこと。
さらに、アップル、アマゾン、グーグル、Paypalなど、非金融機関による送金、決済サービスがどんどんと参入してきている現状に危機感を募らせています。
コンプライアンスに則った形で、脱税などが発生しないように効率的に国際送金が可能になる体制を整えるのは、積極的なシステム構築への投資と、顧客の協力が必要になるので、ハードルが高そうですが、利用者としては、是非早期に実現して頂きたいと考えています。