ユニクロ(UNIQLO)が3月5日に香港証券取引所に上場することを発表しました。
2014年は、東南アジアで集中出店をすることから、香港で上場することにより、東南アジアでブランドを浸透させて、優秀な人材の確保を狙っているとのこと。
タイ・マレーシア・フィリピン・シンガポール・香港、どこに行ってもを見かけますが、世界的に商品の価格は、あまり変わらないので、新興国では、高級品になっています。
ちなみに、香港証券取引所には、
2011年4月にSBIホールディングスが、
2012年8月にダイナムジャパンホールディングスが、
それぞれ上場しています。
▼香港での上場
1)メインボード ←日本企業はこっち
2)GEM(Growth Enterprise Market)
の2種類があります。
- 1)メインボードは、
原則3年(会計年度)を下回らず、
財務的基準としては、
・利益基準
→上場直前期3年の利益が総額で5千万HKドル以上
→上場時の時価総額が2億HKドル以上
・時価総額および売上高基準
→上場直前期の売上高が5億HKドル以上
→上場時の時価総額が40億HKドル以上
・時価総額、売上高およびキャッシュ・フロー基準
→上場直前期の売上高が5億HKドル以上
→上場時の時価総額が20億HKドル以上
→上場直近3年間の営業キャッシュフローが1億HKドル以上
いずれの基準を満たしていること。
- 2)GEM(Growth Enterprise Market)は、
原則2年(会計年度)を下回らず、
財務的基準としては、
・時価総額基準
→上場時1億HKドル以上
・キャッシュ・フロー基準
→直近2期営業キャッシュフローが2千万HKドル以上
どちらかの基準を満たしていること。
以前は、香港証券取引所に上場できるのは、香港、中国、バミューダ、ケイマンで設立・登記された法人と規定されていましたが、2010年に、日本法人の上場容認が発表されるなど、順次容認国が拡大されています。の香港証券取引所上場を受けて、香港での上場に挑戦する企業が出てきそうです。
一方で、中国証券監督管理委員会(CSRC)が中国国有企業のシンガポール株式市場上場を許可したことにより、香港市場からシンガポール市場へ資金が流出するのではないか?という話が上がっています。
▼証券取引所の数字比較
香港証券取引所
・時価総額:約2兆8170億USドル(世界6位)
・売買代金:約1兆4960億USドル(世界10位)
シンガポール証券取引所
・時価総額:約6500億USドル(世界20位)
・売買代金:約2900億USドル(世界19位)
東京証券取引所
・時価総額:3兆5870億USドル(世界4位)
・売買代金:約3兆7870億USドル(世界4位)
*2010年の数字で、売買代金は、電子注文のみの数字
まだまだ香港証券取引所の規模が、シンガポール証券取引所の規模を大きく上回っています。
▼シンガポールでの上場
香港と同様に2種類あります。
1)メインボード
2)カタリスト
上場基準は、
利益について
- 1)メインボードは、
時価総額が8,000万SGドル以上で、
税引前利益額が、
・直近3年の累計が750万SGドル、かつ各年が100万SGドル以上
もしくは
・直近1年もしくは2年間の累計が1,000万SGドル以上
- 2)カタリストは、
認定スポンサーによる。
カタリストは、2007年に開かれた進行期後向け市場で、上場希望企業は、シンガポール証券取引所に登録されたスポンサーと契約し、スポンサー付きで上場することになります。シンガポール証券取引所の公認スポンサーとしては、証券会社、法律事務所の子会社、投資銀行などがなっています。スポンサーは、上場企業の監督責任を担い、上場審査や企業運営についてアドバイスを行うという珍しいシステムを取っています。
2009年には、味千ラーメンを展開しているジャパン・フーズ・ホールディングが、カタリストに上場しています。
上記のように、シンガポールと香港でメインボードへの上場条件を比較すると、上場直前の利益額については、同じですが、時価総額について、シンガポールのほうが厳しくなっています。上場をするのは、資金調達を目的とするケースが多く、調達規模は、投資家がどれだけ注目するかに左右されます。
香港とシンガポールの市場の流動性をみると、まだ大きな開きがあるため、すぐに多くの企業がシンガポールへの上場を目指すべく動くという状況ではないことを読み取ることができます。