日本で年利0.01%の定期預金を組む必要があるか?

サラリーマンのキャッシュフローと資産分散

かつての高度成長期の日本では、多くのサラリーマン達、現在60歳を超えた世代は、いとも簡単に億を超える資産を手にしている。

成長を見てみると、

・不動産

1970年に頭金+諸経費1,000万円(自己資金)で、銀行融資70%で、マイホームを購入。

国全体、街全体が発展していって頭金1,000万円で購入した2,500万円のマイホームが、勝手に1億円以上の価格になってしまった。

日本の全国平均ベースで、都会から田舎までならしての4倍換算で億の資産を築け。東京とか神奈川県当たりに換算すると、10倍とかいうレベルの価格になっていた。

・定期預金

郵便貯金の定期預金は、年間10%とか12%などで、10年も経たないうちに倍に。1970年の500万円が、郵貯の定期預金を購入するだけで、1990年には2,200万円になった。

・株式

1970年に日経平均ベースで、500万円分株を購入したとすると・・・

1970年日系平均株価指数:2,359円

1,980年日系平均株価指数:38,916円

20年間で約16.5倍。

1970年に購入した500万円分の株は、1990年には約8,250万円。

以上、不動産、定期預金、株の3種類を購入するだけで億の資産を築くことができた。

日本で一生懸命働き、日本で全ての資産を保有して、投資をしているだけで、他に何も考える必要がなかったのだ。

けれども、今の高度成長期を過ぎてしまった日本では・・・。同じ投資をしても結果は全く異なったものとなってしまっている。

当然今の日本でも地価が上がっている場所もあるし、投資商品として魅力的なものもあるが、高度成長期のように多く日本人が結果を出すことができる環境ではないということは間違いなく言える。

一方で、日本以外の国・地域に目を向けると、当時の日本のように、10年・20年単位での成長が見込まれる国・地域がある。

例えば、

・地価でいうと1990年時点と2009年時点比較すると、マレーシアのクアラルンプールでは、266%の上昇、ジョホールバルでは、162%上昇

・定期預金でいうと、中国は1年で、1.75%、日本の住信SBIが0.03%なので、実に58倍以上。

・株価でいうとフィリピン証券取引所総合指数であるPSEiは、2009年:63.00.%、2010年:37.62%、2011年:4.07%、2013年:32.95%、と連続で上昇した。

といった具合だ。

資産を守る視点で海外を活用してみる

日本の現在の状況を考えてみる

「財政赤字、国債、ハイパーインフレ・・・」日本の危機を報道するメディアがある。

実際、どのような内容だから、危機と言われているのか?

日本を取り巻く環境は、ここ数十年で激変している。

日本の経済成長率は、

GDPが前年比でどの程度成長したかを表す。

バブル景気(1986年12月~1991年2月)
成長率が最も高かった1990年度で、
名目8.6%、実質6.2%

いざなみ景気(2002年2月から2008年2月)
成長率が最も高かった2003年度で、
名目0.8%、実質:2.3%

前年度比での長期的推移を見ると、

1965年から73年度:8.9%
1974年から85年度:3.9%
1986年から90年度:5.0%
1991年から95年度:1.4%
1996年から2000年度:0.8%
2001年から05年度:1.3%
2006年から12年度:0.2%

バブル崩壊により1973年(昭和48年)12月から続いた安定成長期は終わり、失われた20年と呼ばれる低成長期に突入した。

2008年のリーマン・ショックによる世界同時不況、そして、天災など、高度成長してきた日本をさまざまな問題が襲っている。

一方で、

アメリカは、2%の安定した成長を見せており、

中国は、6%から7%台
東南アジア各国5%

など、他のアジア地域の国家の多くは、高い成長率を誇っている。

そして、2012年以降日本の状況を好転させるために、安倍首相がアベノミクスと題される経済政策によって、経済復興を目指している段階となる。

アベノミクスでは、3本の矢として

・金融緩和による市場への資金当銃
・財政政策としての10兆円規模の財政政策
・規制緩和による民間企業の成長促進

第2次安倍政権が発足したのは2012年12月。この間、株価は2倍超になり、企業の業績も過去最高水準に回復してきた。だが、円安によって、企業の輸出が増加するか、企業の業績UPが、設備投資増加につながるか、雇用が増えることが消費につながるか、という部分はまだ不透明といえる。

さらに、2015年11月10日に、アベノミクスは第2ステージに入り、新3本の矢として

・希望を生み出す強い経済
・夢を紡ぐ子育て支援
・安心につながる社会保障

と掲げることになった。

2015年には、日経平均株価が15年ぶりに2万円を突破し、日本全体で景気がよくなっていると思われたが、1米ドル=120円台になったこと、国内の物価が上昇したことなどから、多くの国民の生活水準は変化がほとんどない状態で、量的質的金融緩和などの経済政策の恩恵を受けているのが一部だけということが、厚生労働省による国民生活基礎調査の結果で明らかになっている。

アベノミクスでは、円安によって、輸出企業が潤うことで、かつてのものづくり日本の再建を目指している。

けれども、現在アメリカ経済を牽引している大手企業、たとえばGoogleやAppleなどは、製造業ではなく、サービス業となり、時代の流れとともに経済・産業構造自体が変化していることから、目的を達成するのは難しいのではとみられている。

量的質的金融緩和によって、年間80兆円ものお金が市場に流れこむことで、円の価値は、世界から見ると下落していくことになる。

2020年の東京オリンピックに向けて、外国人が日本に旅行しやすい環境が整い、また日本からの輸出が増えることになるので、日本には良いことばかり。ではなく、円の価値の下落は、日本人が貧しくなるということを意味している。

定期預金0.01%で300万円を10年預けると・・・

2016年1月29日に日本銀行政策決定会合で、マイナス金利の導入が決定された。

日本に導入されるのは史上初。

マイナス金利を導入の意図としては、金利引き下げで、

・民間銀行→日本銀行=預入れ減
・民間銀行→市場=貸付け増

民間銀行が、日本銀行にお金を預ける量が減り、民間銀行から市場に流れだすお金の量が増え投資や融資が、これまでより活発に行われること。

目標としているインフレ率2%を達成するための1つの手段になり、日本とアメリカの金利差が広がることで、高金利通貨を求めて、米ドルが買われ、円安になることが期待されている。

一方で、銀行としては、預金を集めれば集まるほど損することになるので、銀行の「預金離れ」が加速することに。

その現れとして、日経新聞3月4日の記事によると、

2016年3月7日から、みずほ銀行が、定期預金の金利を金額や期間にかかわらず年0.025%から年0.01%に引き下げると発表。

三井住友信託銀行も一部を除く大半の定期預金で同様に引き下げる。

三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行は、すでに同水準に下げており、大手5行で預金金利引き下げの足並みがそろった。

定期預金の利率が、年0.01%・・・

たとえば、毎月5万円を捻出して、貯蓄に回して・・・

毎月5万円、毎年60万円(5万円×12ヶ月間)

・・・地道に貯金をし続けて、5年間合計で300万円を貯蓄。

将来何かあった時のために!

・・・ということで、安全な案件で運用しようと考えて、銀行の定期預金を10年で組んだとすると・・・

定期預金の利息は、

300万円×0.01%×10年=3,000円・・・

計算間違いかな・・・と最初目を疑ってしまったが、

1年で300円、10年で3,000円

これが、今の金利水準での利息になる。

冷静に考えれば、金利0.01%・・・というのは、非常に恐ろしい。

なぜなら、300万円を投資して、金利で300万円を獲得するのに、

なんと・・・1万年間もかかってしまうからだ。

金利が元本分に到達するまでに、1万年・・。

預金保護制度があるので、300万円の元本の心配はないとはいえ、万が一ぶっ飛んでしまった時には、金利分の僅かな部分しか獲得していないことになる。

金利による収益の部分が、投資した元本分まで到達するのに、1万年というあり得ない結果を提示されているにもかかわらず、「ローリスク」の投資としてカウントしてしまっている思考回路。

10年間もお金を寝かし続けているのに、10年間という気の遠くなるような歳月を浪費させたリスクに対するリターンが、たったの3,000円・・・・。

僕たちは、他の投資案件を含め考える時に、スタンスを改めなければならない。

マイナス金利の導入によって、銀行利用者への負担増加はないとされているが、銀行によっては、口座維持手数料の導入が検討されているので、形を変えて、個人預金者への負担になる可能性はある。

日本円の価値の下落に加えて、気になることは、日本の借金についてだろう。

日本の公債残高は、平成26年末で約780兆円と、税収の16年分に相当する金額に上っており、将来の世代に大きな負担を残すことになる。

また、債務残高の対GDP比は、240%を目前となっており、90年代後半に財政健全化を進めた先進国と比べると、最悪の水準となっている。(財務省ホームページより)

そういった日本の状況を見て、多くの富裕層が、海外を活用する形で資産を積極的に分散するために、外貨預金、海外不動産を活用しているという実情がある。

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