「ジャパン・レール・パス」制度変更とリスク分散の考え方

サラリーマンのキャッシュフローと資産分散

「これまで特例として取り扱ってきた、海外在住の日本人の方への発売につきましては、平成29年3月31日の引換証発売をもって終了いたします。」

海外リタイアメントのセミナーで、海外VISAを取得するメリットの1つとして、挙げられる「ジャパン・レール・パス」。いよいよ、3月31日発売分を持って、日本人は購入できなくなってしまう。

「ジャパン・レール・パス」とは・・・
JRグループ6社が共同して提供するパスで、全国を鉄道でくまなく旅して回るのに適した経済的で便利なきっぷ。

「ジャパン・レール・パス」の価格は、おとな・普通車用で、7日間用:33,000円14日間用:52,000円21日間用:65,000円乗車できるのは、

・JRグループ全線の新幹線(「のぞみ」号・「みずほ」号(ともに自由席を含む)を除く)特急列車、急行列車、快速列車、普通列車
・JRバス会社の各ローカル線
・東京モノレール

など。

東京・新大阪間の新幹線ひかり号の片道料金は・・・

・指定席:5,390円+8,750円=14,140円
・自由席:4,870円+8,750円=13,620円

なので、1往復以上の移動予定があればお得になる。

交通機関の運賃が高い日本では、訪日外国人にとってありがたい制度で、外国人向けには、今後も販売は継続される。

JRグループの公式ホームページでは・・・

「「ジャパン・レール・パス」の日本国内での試験発売>およびご利用資格の一部変更について」

平成29年3月21日引換証発売分をもって終了するお取扱い
日本国籍をもって日本国外に居住し、下記条件を満たす方
1)居住国に永住権をもっている場合
2)日本国外に居住する外国人と結婚している場合

今まで、海外VISAを持っている日本人でも、購入できていたのが、今後できなくなってしまう。販売元のJRの決定事項なので、利用者は従わざるを得ないが、この知らせを聞いて、がっかりした人は多いだろう。

2)日本国外に居住する外国人と結婚している場合この場合は・・・

家族で日本に行った際、配偶者や子供など家族は、「ジャパン・レール・パス」が利用できるが、日本人1人だけが、利用できない事態になってしまう。そのため、撤廃反対署名運動も起こっているという。

民間企業によるサービスなので・・・制度が変更されれば、利用者は、それに従わざるを得ない。利用者側に選択の自由があるのと同じく、サービス提供側にも変更の自由がある。

海外VISA制度の変更と

国によるサービスの1つである査証=VISAでも同じことが起こっている。

香港では・・・2003年10月から、資本投資者入境計画として、香港の不動産及び金融資産に650万香港ドル以上の投資者に香港の居住権を認めていた。2010年10月14日付けで、1,000万香港ドル以上へ基準が引上げられ、不動産が投資対象外へ。2015年1月15日には、新規申請受付が停止された。

マカオでは・・・150万香港ドルの不動産を購入すれば、7年間無条件で滞在ビザが延長でき、7年後には自動的に永久居住資格が得られたが、制度がすでに中止されている。

カナダでは・・・投資家移民制度として、

・160万カナダドルの資産を保有
・政府認可の投資案件に80万カナダドルを無利子で5年間融資

永住権が付与されていたが、2014年2月に一度廃止された。制度が変わる以前に、取得している人に関しては、そのまま権利を保有でき、追加で投資を求められるケースは少ないという。

ちなみに、東南アジアの主なリタイアメントVISA、永住権と取得条件は・・・

マレーシア→
MM2H:
・50歳未満→50万リンギット資産証明、30万リンギット定期預金など
・50歳以上→30万リンギット資産証明、15万リンギット定期預金など

フィリピン→
SRRV:
・35歳以上
・1年更新
・預託金2万もしくは5万米ドルなど

クオータビザ(永住権):
・20歳以上
・5万米ドルの預託金など

タイ→
OAビザ:
・50歳以上
・15ヶ月
・80万バーツ以上の預金 or 月6万5千バーツの年金収入
・預金と年金の年間収入が80万バーツ以上

エリートカード:
・年齢制限なし
・5年、50万バーツ
・10年、100万バーツ
・20年、200万バーツなど

インドネシア→
リタイアメントビザ
・55歳以上
・6年、再申請
・月1,500米ドル以上の収入
3万5千米ドルの宿泊施設購入
もしくは月500米ドル以上の物件を借りるなど

台湾→
退職者長期滞在ビザ
・55歳以上
・180日
・5万米ドル以上の資産保有など

*預託金の引き出しなどは、各国の制度によって異なるので、目安のため、詳細は各国の制度を確認頂きたい。

ちなみに、フィリピン、インドネシアでは、取得基準が以前に緩和されたことがある一方で、マレーシアのMM2Hは、2006年、2007年、2009年に制度が変わり、取得のハードルが上がっている。

実際にVISAを取得した人で、現地での生活を満喫している人が居る一方、円高のタイミングで、海外滞在を決めたものの、その後、円安になり、資金が厳しくなったために、日本に戻った人や、活用機会が少ないから、VISAを取消した人など、さまざまな人が居る。

20代、30代から、様々な可能性を知り、体験し、その中から自分に合った国と制度を選択していくのか?50代後半、60代になり、リタイタメントが視野に入ったタイミングで、動き出すのが良いのか?まずは、自分のライフスタイルと、将来の計画を明確にする必要がある。

リスクの分散を考える必要性

投資の世界の格言で、「卵は一つのカゴに盛るな」というものがある。

複数のカゴに分けて卵を盛っておけば、1つのカゴを落とし、卵が割れても、他のカゴの卵は割れずに済むことから、投資では、特定の商品だけに投資せず、複数の商品に投資を行い、リスクを分散すべきという訓え。

この訓えは・・・投資商品だけではなく、ライフスタイル全般に当てはまる。

「30日メール講座」の中でもお話ししているが・・・現役サラリーマンとして勤務している会社からの給料。

「高度成長期」の時代が、「バブル崩壊」と共に過ぎ去ってしまい、僕たちの給与収入はいっこうに上がらない。

「昭和の時代」高度成長期真っ只中の時期に、第一線の社会人として活躍していた僕たちの両親たちの世代と今では、全く様子が異なってしまっている。

かつてのように、終身雇用と年金制度が保証されていた、サラリーマンの世界はない。国も会社も・・・自分の将来を誰も保証してくれない。将来のリスクは、自分で軽減しなければいけない時代に突入している。

・リタイアメントの時期を決める
・年金を自分で準備する
・生活の拠点を決める

といった、作業が必要になってくる。現状を把握し、未来を予測することは難しいし、一人であれこれ悩んでも、解決するのは難しい。

追伸

海外の滞在を考える上で、1つのキッカケにもなる銀行の制度も例外ではない。以前は、旅行者が、簡単に口座開設できていたが、香港では、ハンセン銀行などが、口座開設条件を香港居住者とし、中国・深センでは、複数の金融機関が、口座開設条件を中国居住者とし、フィリピンやシンガポールでも、同様になってきている。

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