もらい得世代・払い損世代 自己年金を作る選択肢

サラリーマンのキャッシュフローと資産分散

日本の公的年金制度は、現役世代が、毎月年金保険料を政府に納め、引退した65歳以降に、年金として受け取るという形になっている。

政府に納めた年金保険料は、長期運用されて後に、運用益を上乗せされる形で支給されるのではなく、ほぼそのまま、現在の年金として、引退した65歳以上の人に支給されている。

つまり、自分が支払っている年金保険料で、今の引退世代を支えていることになる。

日本は戦後、高度成長期を迎えて、大きく人口が伸びていった中、現在の年金制度の形で、引退世代が生活するのに、十分な年金を受取ることができていた。

けれども、平均寿命が伸び、さらに、出生率が減少してきたことで、社会の少子高齢化が加速。

年金保険料を支払う側の数が減少し、受け取る側の数が増加するという悪循環に突入してしまっている。

学習院大学経済学部鈴木亘教授の試算によると、

「厚生年金の世代間不公正の数字」

もらい得世代、払い損世代として、

1940年生まれ:プラス3,090万円
1950年生まれ:プラス770万円
1960年生まれ:マイナス260万円
1970年生まれ:マイナス1,050円
1980年生まれ:マイナス1,700万円
1990年生まれ:マイナス2,240万円
2000年生まれ:マイナス2,610万円
2010年生まれ:マイナス2,840万円

とされている。

これから60歳を迎える世代については、マイナスになる可能性が指摘されており、年金制度の大改革があるか、もしくは、高齢者を支える現役労働世代の人数が大幅に上昇しなければ、かなり厳しい状況となりかねないのだ。

昭和の時代の勉強神話のように、

一生懸命勉強して、良い学校を卒業し、一流企業に就職すれば、一生安泰

という方程式は崩れているように、

サラリーマンとして、1つの会社に忠誠を尽くして、一生懸命に働いたとしても、リターンは、今の65歳以上の人よりも、減る可能性がある。

そういった状況の中、自分の老後は自分で守る必要性が出てきている。

自分用に「積み立てた」年金を準備する

今の年金受給金額での生活の実情について、日本経済新聞朝刊2016年5月25日付の記事では・・・

「総務省の家計調査によると、働いていない高齢の夫婦2人世帯の収入は、平均月21万3000円で、ほとんどを年金が占める。一方、食費、水道光熱費といった生活費のほか社会保険料なども含む支出は、月27万5000円。差し引き、約6万2000円の赤字を埋める必要がある。」

「Aさんには、貯金が1,000万円近くあるが、「病気や介護などのリスクを考えると取り崩せない」と考え、働くことにした。

厚生労働省の調査では、一時金や年金による退職給付がある企業は全体の76%で、大卒で定年退職すると平均1,941万円の退職金が出る。

仮に2,000万円を、利回り年3%で運用できれば、月5万円の収入になる。」

と紹介されている。

退職金を上手く活用する形で、運用し、赤字分を補填すれば大丈夫ということだが、2,000万円を利回り年3%で回せる商品を探すことができるだろうか?

いわば、無くなってしまっては、今後の生活が脅かされる資金なので、マイナスになってしまうのは、絶対に避けなければいけない。

まして、飛んでしまうのは、論外になる。

いざ、老後の生活が現実味を帯びた段階で、あれこれを考えても、前のめりになってしまい、大切な老後資金を溶かしてしまいかねない。

そのためには、できるだけ早いタイミングから、時間を味方につける形で、余裕を持って、自分専用の年金に取り組んでいくのが良いと言える。

自分で商品を選択して運用する場合のポイント

将来のことを考えて、資産運用に取り組もうとした時に出てくる選択肢としては、株式や投資信託、ファンドが挙げられる。

銀行や証券会社を通じて、自分のタイミングで売買し、利益を狙っていく運用方法だ。

ただ、この運用方法は、相場の判断のために、毎日時間を確保する必要があり、

また、どの銘柄を選択するのかのために、多くの時間を割く必要がある。

サラリーマンだけれど、時間に余裕があるメンバーや、経営者のメンバーであれば、自分の時間と労力を使う形で、取り組んでいくのも良いだろう。

その際、1つのポイントとして、挙げられるのが、「ドルコスト平均法」で、一度に、全資金を投入するのではなく、毎月一定額を投入していくものになる。

1つの銘柄を購入する時、1度に100万円分を購入するのではなく、複数回に分けて、合計100万円分を購入するというように・・・。

例えば、購入単位が5万円の投資信託の場合、

20口を1回で買うのか、それとも、複数回に分けて買うのか、
5万円×20口=100万円で一度に購入すると、

その後・・・

値上がりした場合には、その分がプラスとなり、
値下がりした場合には、その分がマイナスとなる。

一方で、5万円の時に5口買った後に、

価格が5万5千円になったので、5口購入。
その後、価格が、4万5千円の時に5口購入。

ここまでの購入金額は、75万円で、残り25万円。

その後、

値上がりして、
6万円になったら・・・4口+1万円
→合計19口+1万円

さらに値下がりして、
4万円になったら・・・5口+4万円
→合計20口+4万円

となる。

右肩上がりが継続している相場では、一度に購入するほうがお得なのだが、現在の相場では、取り組む期間が長くなればなるほど、相場が上に行ったり、下に行ったりするので、一度に購入するよりも、一定金額を一定間隔で購入するほうが、価格下落のリスクを分散できる。

専門家に依頼して運用する場合は?

サラリーマンとして勤務しているし、商品の選定に時間を割くことができない。

そもそも自分には、投資のセンスがない。

けれども、将来的に不足することが見込まれている公的年金のカバーする自分年金に取り組みたいと考えている場合は、

毎月一定額を投入する形で、数本から10本程度のファンドなどの運用を専門家に任せる形で取り組むことができる。

複数のファンドを組み合わせる形で、運用しているのだ。

「生涯収入5億円倶楽部」の中でも、活用しているメンバーが多くいる。

ファンドの組み換えは、専門家が随時行ってくれるので、毎月送られてくるレポートを参照し、今どういった状況になっているのかだけを確認しておけばよい。

自分の裁量で、相場の流れを判断し、株式や投資信託、ファンドを売買することに比べると・・・

専門家に委託する分の手数料というのが発生するので、その分は事前に確認しておかなければならない。

自分で運用していくか、専門家に任せて運用していくかは、各メンバーの投資戦略に基いて、判断していくべきポイントとなる。

この専門家に運用を任せるファンドに関してよくある誤解に、

「証券会社や銀行で、申し込みできると思っていた。」

というもの。

株式や投資信託、ファンドは、個別の商品として取り扱いに差があるが、銀行や証券会社から購入が可能。

けれども、専門家に運用を任せるファンドは、異なったモノなので、証券会社や銀行からでは取り扱いがない。

正確な判断するためには、正確な知識を持っていなければならない。

イメージだけ先行してしまっていては、本質を見失ってしまっている可能性がある。

追伸1

参考情報として、香港には、さまざまな商品が存在している。

たとえば、50歳非喫煙者の男性が、15年払いの終身保険に加入した場合は・・・

死亡保障額が、1,000万円でも、日本の保険会社と比べると、トータルで200万円以上安く、加入できてしまったり・・・

保険を解約したときの解約返戻金が高かったり・・・

香港の金融制度が整備されていることや、商品ラインナップが豊富で、さまざまな提供会社がしのぎを削っていることで、有利な条件のラインナップが揃っているのだ。

追伸2

人類の最大の発明とも言われている「複利」

複利とは、複利法によって計算された利子のこと。

複利法とは、元金(がんきん)によって生じた利子を次期の元金に組み入れる方式であり、元金だけでなく利子にも次期の利子がつく。

したがって、各期の利子が次第に増加していく。

投資や借金などでは、雪だるま式に利子が増えていくことになる。

期間が長くなればなるほど、金額が大きければ多いほど、破壊力が大きくなる。

「複利」のメリットを享受するためには、利子部分を使わずに、再投資をずっと掛けることが必要になる。

自分で運用していると・・・

ついつい利子部分は、ファッションや食事など、贅沢品に使ってしまいがち・・・。

という場合は、強制的に使わない環境を整える必要があると言える。

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