日本経済団体連合会が集計によると・・・
大企業150社の2017年夏のボーナスの平均額は、87万8,172円去年より2.98%減少で、5年ぶりの減少となった。
原因としては、
・多くの労働組合が、ボーナスより月給の底上げを優先して要求したこと
・業績悪化に連動したこと
が挙げられている。
この金額を聞いて、多いと感じるだろうか?少ないと感じるだろうか?
国税庁の発表によると、平成27年の民間給与は・・・
*給与=給料・手当+賞与
資本金が、10億円以上の企業では・・・
平均給与577万円(男性:702万円、女性:315万円)
内訳:
平均給料・手当445万円(男性:535万円、女性:256万円)
平均賞与132万円(男性:166万円、女性:59万円)
資本金が10億円以上の企業の平均よりも、少し多いという結果になっている。
一方で、全体の平均は・・・
平均給与420万円(男性:521万円、女性:276万円)
内訳:
平均給料・手当356万円(男性:437万円、女性:238万円)
平均賞与65万円(男性:84万円、女性:38万円)
(平成27年分民間給与実態統計調査より)
年間通じての平均賞与の金額が上記なので、大企業150社の夏のボーナス平均額は多いと感じるメンバーが多いのではないだろうか。
毎月の給料よりも大きな額のお金が入ってくるので、一般的な感覚としては、
「ちょっとした贅沢をしよう!」
「ローンを組んで家電や自動車を買おう!」
など、使ってしまう思考になるだろう。
ボーナスを目当てに、すでにボーナス払いで、何かを購入してしまっているかもしれない。最新家電、車、パソコン、携帯電話など・・・本当に買わなければならないものだろうか?
人生の中で、どうしても買わなければいけないものは存在するが、それでなければならないものは少なく、より安価な代替品でも問題ない場合が多い。
人の価値観はそれぞれなので、どこに重点を置いてお金を使っていくか?は異なるが・・・
往々にして、「お金の自由がありません・・・」という人に限って、こだわりの部分にお金を使ってしまっていて、後悔を繰り返してしまっている。
サラリーマンの生涯年収は限りがある
年齢別の平均給与は・・・
20歳から24歳:253万円(男性:271万円、女性:233万円)
25歳から29歳:352万円(男性:383万円、女性:306万円)
30歳から34歳:397万円(男性:451万円、女性:307万円)
35歳から39歳:432万円(男性:510万円、女性:299万円)
40歳から44歳:461万円(男性:567万円、女性:294万円)
45歳から49歳:486万円(男性:626万円、女性:292万円)
50歳から54歳:509万円(男性:670万円、女性:296万円)
55歳から59歳:491万円(男性:652万円、女性:278万円)
60歳から64歳:372万円(男性:479万円、女性:220万円)
65歳から69歳:301万円(男性:378万円、女性:194万円)
70歳以上:304万円(男性:368万円、女性:217万円)
(平成27年分民間給与実態統計調査より)
23歳から65歳まで働いたとすると、平均給与ベースで得られるのは、1億8千万円(男性:2億2,120万円、女性:1億1,853万円)という計算になる。
これは、国税庁が調査の結果として出しているので、統計として正しい数字になるだろう。
サラリーマンとして働くということは、安定して毎月の給料がもらえる一方で、生涯をかけて手に入れられるお金の総額が、ある程度決まっていることを意味する。
つまり、サラリーマンとして生きる上では、
・限られたお金をいかに使っていくか?
・いかに守って、増やしていくか?
・サラリーマンの信用・信頼を活かすか?
を考えていくのが重要になることを意味する。
お金を使うことに快感を覚えてしまっていると、この視点を失ってしまうことになり、ついつい目先の自分の気持ちが赴いたものに、浪費という形でお金を費やしてしまうことになる。
消費税が10%になる日
安倍首相が、2017年8月5日に、2019年10月に予定している消費税率10%の引き上げについて、
「予定通り行っていく考えだ。」
と明言。2015年10月に引き上げられる予定だったものが、これまで延期されている。
消費税は、1989年4月1日に3%で導入され、1997年4月1日に5%へ、2014年4月1日に8%へ段階的に引き上げられている。
単純に消費税分に比例して、収入が高くなっていれば、「生活の質」という点では変化が起きないのだが・・・
1988年からの平均給与を見ていくと・・・
1988年:385万円
1989年:402万円(プラス4.60%)
1990年:425万円(プラス5.67%)
1991年:467万円(プラス5.03%)
1992年:455万円(プラス1.88%)
1993年:452万円(マイナス0・62%)
1994年:456万円(プラス0.73%)
1995年:457万円(プラス0.37%)
1996年:461万円(プラス0.79%)
1997年:467万円(プラス1.41%)
1998年:465万円(マイナス0・53%)
1999年:461万円(マイナス0・75%)
2000年:461万円(マイナス0・07%)
2001年:454万円(マイナス1.52%)
2002年:448万円(マイナス1.37%)
2003年:444万円(マイナス0.87%)
2004年:439万円(マイナス1.15%)
2005年:437万円(マイナス0.46%)
2006年:435万円(マイナス0.43%)
2007年:437万円(プラス0.53%)
2008年:430万円(マイナス1.74%)
2009年:406万円(マイナス5.52%)
2010年:412万円(プラス1.50%)
2011年:409万円(マイナス0.73%)
2012年:408万円(マイナス0.24%)
2013年:413万円(プラス1.37%)
2014年:415万円(プラス0.34%)
2015年:420万円(プラス1.30%)
1989年が402万円なので、2015年時点では、4.4%の上昇になり、消費税分は、まかなえていない計算になる。
2019年に消費税が10%になったとしても、その分が給与に反映される可能性は低く、給料から何かを購入する時に、より多くの可処分所得が削られていくことを意味する。
使いみちをこれまで以上に考える必要があると同時に、サラリーマン生活の中で得られる限られたお金をいかに増やしていくか?を考えなければいけない。
持っているものを守る方法
サラリーマンをしながら、空いた時間を活用して、副業や投資に取り組むのは、収入の流れを増やしていく上で、必要な行動になる。ただ、これは、プラスアルファの行動であり、自分の時間・労力・お金を投入するもの。
雑誌やインターネットに掲載されている情報を鵜呑みにして、
「心機一転、この情報によれば、大きく稼げるに違いない!」
と取り組んだところで、書かれている結果とは程遠い、せっかく手にしていた時間・労力・お金を手放すことになりかねない。
人は、すでに手にしている物や情報については、あまり深く考えず、そのままの状態を継続し易く、新しく知った情報や、新しい手にした物に敏感に反応し易い。
そのため、いつまで経っても、何かにお金を投じるばかりで、元本を回収できない状態が継続してしまうことになる。ボーナスでまとまったお金を手にして、こういった情報を元に副業・投資に取り組むのは、思い留まったほうが良い。それよりもまず目を向けるべきは、今あるものを守る部分になる。守るべきものとして、日本に住んで、日本でサラリーマンをしているメンバーの多くが、あまり認識していないのが、日本円の価値になる。
日本に住んで、日本の企業にサラリーマンとして勤め、日本で給与をもらっていると、全ての生活が日本円ベースなので、日本円の価値が、海外から見た時にどうなっているか?を考えていない。
日本円の対米ドルの為替レートは、2010年から2012年まで1米ドル=80円台だったが、2016年には、1米ドル=118円台を付け、現在は、1米ドル=110円台になっている。
1米ドルを手にするのに、30円余分に必要になるので、27%円安が進んでいるため、同じ1,000万円でも、対米ドルで見ると・・・1,000万円=125,000米ドルが1,000万円=90,909米ドルへと34,000米ドル分の価値が減少していることになる。為替は、一定の範囲で価格が、変化していくケースがほとんど。どれだけの幅があるのか?
歴史を振り返ってみると・・・戦後に、ブレトン・ウッズ体制の下で、1米ドル=360円の固定相場制になり、1973年4月に、変動相場制へ移行され、2011年10月31日1米ドル=75円32銭の高値を記録。
1945年からすると72年の間で、1米ドル=75円から360円まで変化している。
これを一定の範囲とすると、現在の1米ドル=110円の水準は、円安になるのか?円高になるのか?アナリストや経済学者が、円安・円高、それぞれの未来を予想しているように、今後の円安・円高については、誰一人として正確に予想できる人はいない。
日本円だけの資産を持っていると・・・
円高局面では、相対的に円の価値が上昇するので、海外から見た時に資産は上昇する。
円安局面では、相対的に円の価値が下落するので、海外から見た時に資産は下落する。
日本円と米ドルで半分ずつ資産を持っていると・・・円安・円高どちらに動いても、プラスとマイナスでバランスされ、資産に大きな変化が訪れないことを意味する。
サラリーマンで得られるお金を、いかに減らさずに守っていくか?新しい副業や投資に目を向けるのも良いが、まずは自分が持っているものを守ること。ここを最優先に考え、スタンスがきっちりと定まってくると、副業・投資の活動も、よりスムーズに始められるのではないだろうか。