ビットコインの先物が2017年12月にアメリカの取引所に上場したことで、ビットコインETFも早々に認可が下りて、上場するのではないか?という期待が高まっていました。
ビットコインETFへ、資産分散の一環として、投資家資金が流入し、価格を押し上げると考えられていました。
しかし、アメリカ証券取引委員会(SEC)投資管理担当ディレクター、ダリア・ブラス氏が、18日に公表した書簡で、
ビットコインは変動が激しく流動性を失う可能性があり、ETF上場のためには、投資家保護が必要である。
どの法律に準拠して商品設計をするのか、明確になっていないので、ビットコインETFの上場申請を承認することはない。
という立場を明らかにしました。
このことで、早期にビットコインETFが承認される可能性は低くなりました。
書簡では、1940年投資会社法をベースとして、
・ETFの価格基準
取引が各取引所で個々に行われているため、基準価格基準とどのように決定するか?
・ハードフォク発生時
ハードフォクが発生した場合どのように対応するか?
・ETFの管理組織
投資家に代わり有価証券の管理を行う金融機関などが存在しない。また、金融機関に預けた場合、どのように所有権を明確にするのか?
・流動性
仮想通貨/暗号通貨には、すぐに投資家が取引できる流動性があるとは言えない。ファンドに組み込む投資商品のうち、流動性が欠けているものは、全体の15%以上組み込めないルールがある。
といった内容が指摘されています。
ビットコイン先物
ビットコイン先物については、
シカゴ・オプション取引所(CBOE)
取引所のGeminiがオークションで決定するビットコイン価格に基づいて現金決済。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)
取引所のBitstamp・Krake・GDAX・itBitでの取引価格を参考にCMECFビットコイン参考レート、CFビットコイン・リアルタイム指数を算出。
という形になっており、各取引所の価格に依存しています。
CMEでのビットコイン先物取引が低調というお話がありますが、
・証拠金が取引額の47%
・証拠金はビットコインではなく、米ドル
・決済に2営業日要する
・取引できるのが、米中部時間日曜日―金曜日17時00分―16時00分
と取引に制限があるためと見られています。
また、大手銀行・証券会社が、高いボラティリティと価格変動を嫌って、精算業務への参入を見送っていることも要因の1つとされています。
これまでに、清算業務に参入しているのは、ゴールドマン・サックス、TDアメリトレード、E*トレード。2018年1月下旬になって、新たにモルガンスタンレービットコイン先物契約の清算・決済業務を開始しています。
大手投資銀行が参入することで、デリバティブ取引を狙った顧客獲得につながり、取引が活性化する可能性があります。
CME先物と大手取引所のビットコインの動きの違いは?
CMEビットコイン先物と大手取引所Bitstampで価格と取引量でどういった違いがあるのか?
BTCF2018(CMEの先物)とBitstampの1時間足のチャートと比較してみると、取引量について差が見て取れました。
2017年12月19日から23日の下落時には・・・
Bitstamp:売りが目立つ
BTCF2018:買いが目立つ
2018年1月15日から18日の下落からの戻り時には・・・
Bitstamp:売り・買い同じ
BTCF2018:売りが目立つ
となっています。
2018年1月の暴落時には、底値付近でCMEビットコイン先物が積極的に売られています。
これを、一部では大口の機関投資家の動きと見ています。
先物市場が現物市場のヘッジを十分に果たせると、ビットコインの取引が活発になり、価格へも影響を与えます。
ETFの認可が先になったことで、大きく価格が上昇するといった期待が遠のくことになりますが、先物を取り巻く環境とETF認可については、引き続き情報を追って更新していきます。