日本に支店があると

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Amazonの日本国内での電子書籍配信・販売に対して、課税対象とならないのかという話が持ち上がっています。

電子書籍の市場は、2017年には、2013年の3.3倍に達すると予想されており、その大きなシェアを握るであろうAmazon。

今のようなボーダレスな世界を想定していないため現状の課税方式は、電子書籍の配信・販売については、日本国内で対象とはならないのです。

現在の課税方式は、何を基準としているか?

それは「サーバーの設置場所」になります。

サーバーが、日本国内にあれば、日本国内での収益、日本国外にあれば、外国での収益

日本に本店がある会社については、日本国内、国外の収益に関わらず課税対象となりますが、外国法人の場合は、日本国内収益についてのみ課税対象となります。

ちなみに香港法人の場合は、
香港域内のサーバーを使用していると、香港源泉収益と判定され、課税対象
外国のサーバーを使用していると、外国源泉収益と判定され、課税対象外となります。

日本では、2014年に消費税の増税が予定されており、国内電子書籍配信業者にとっては、税負担が増えることにより、Amazonとの差が開くことが予想されます。専用端末販売数においても、Amazonは、約半年程度で、競合他社を抑えて首位に立っています。

上記のような状況もあり、今回の議論が沸き上がったようです。

Amazonの利益について問題になったのは、これが最初ではなく、2009年に発生しています。

その時の問題は、

    Amazonの販売と物流を行う日本国内の2社が、米Amazon関連会社の支店となり、収益について日本国内での課税対象となるか

具体的には、

日本国内で販売を手がけている「Amazonジャパン」
物流を手がけている「Amazonジャパン・ロジスティックス」

この2社が、米Amazon関連会社の「業務委託先」とみなされるか「支店」とみなされるのかという問題です。

Amazonのスキームは、米Amazon関連会社「Amazon・ドットコム・インターナショナル・セールス」が上記日本国内2社に業務委託手数料を支払う。そして、日本国内2社から販売代金を受取り、アメリカで納税をするというものです。

上記日本国内2社が、米Amazon関連会社の

「業務委託先」とされた場合は、業務委託手数料および他の収益に基づき上記2社が個々に日本国内法人として納税する。

「支店」とされた場合は、日本国内で発生した収益に対しては、米Amazon関連会社が日本国内で納税する義務が出てきます。

    *支店とは、
     物品の販売などを行い収益を獲得する活動を行う場所
     を意味しており、恒久的施設(PE)を有するとされています。
     今回のケースでは、物流センターの倉庫などをさしています。

上記問題は、日米の税務当局で協議がなされて、まだ最終決着していないようです。国際的に展開している企業が、各国の税制を研究して、不備を見つけ、租税回避を行うのは、今となっては当然となっています。日本は今後どのような制度・法的解釈を持って国際展開する企業に対応をしていくのか。今後も注目していきます。

海外からのネットを通じてのコンテンツ配信

インターネットを通じて、海外から日本国内へ配信される電子書籍や音楽に対しても消費税が課税される方針が明らかにされました。2015年中には、制度を導入する見込みとなっています。今までは、日本に輸入されて、関税を通過したものだけに課税されていましたが、制度が導入されると「納税管理人」という税金支払代行業者を設置する必要が出てきます。ビジネスの能力の高い税理士さんや公認会計士さんが、「納税管理人」サービスなどを提供してそうですね。

Amazonの利用規約より

Amazon.co.jpはAmazon.com Int’l Sales, Inc. の米国のトレードネームであり、Amazon.com Int’l Sales, Inc. は、その関連会社の許可のもとAmazon.co.jp を商標として使用しています。Amazon.co.jp、米国の法人であるAmazon.com, Inc. およびその関連会社は、規約に基づいて、お客様にサービスを提供いたします。

現在の状況としては、Amazonの場合、Kindle版の電子書籍を販売する場合は、消費税を抜きでの価格になっています。日本で展開しているAmazonのサイトを、Amazon.com Int’l Sales, Inc.とAmazon Services International, Incという企業が運営しており、日本法人以外であるためです。

ヨーロッパでの課税制度

EUでは、日本の消費税にあたる、VAT(value-added tax)を導入しています。VATは、加盟国の共通税制とされていますが、各国で税率は異なっています。EUに加盟していない国の企業が、EU内に商品を提供する場合は、EU加盟国のいずれかの国に事業者として登録して、その国にVATを納付する形となっています。

税率の低い国を活用し、インターネットを利用して、複数の国で事業を展開する企業を取り巻く環境は、大きく変化していきそうです。

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