現金の持ち出し、持ち込み時の申告

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海外に銀行口座を開設する際にありったけの日本円を持って、そのまま飛行機に乗って海外へ行ってもよいか?

「なんとなく悪いような気がする・・・」

お金を持ち出す=悪いことをすると感じているかもしれませんが、100万円相当を超える場合は、用途などと共に申告をすれば、現時点で海外に持ち出すことが可能です。

100万円相当を下回る場合には、そのまま持ち出すことが可能です。

日本での現金持出しと持ち込みの規定(税関のページ

香港への現金等持ち込みは12万香港ドル以上で必要に

香港の銀行口座を開設する予定で、香港に現金を持ち込みする際は、100万円相当を超える場合は、日本側での申告が必要となりますが、香港側での申告は不要となります。香港に持ち込んだお金を持ち出す際も制限はありません。

香港がオフショア金融センターとして発展する一つの理由でもあります。

ただ現金を開設した口座に入金する際に、ATMの利用明細の提示、両替をした後に入金するのであれば、両替の際のレシートの提示が求められるケースがあります。

2018年7月15日までは上記でしたが、7月16日より、12万香港ドル以上で申告が必要と規定されました。

具体的には、通貨および無記名の交渉可能な商品(小切手、手形、無記名債券等)が、合計で12万香港ドルを超える場合は、書類での申告が必要です。

香港政府のプレスリリースの記事
記事の中のCBNs=Currency and Bearer Negotiable Instruments=通貨および無記名の交渉可能な商品(小切手、手形、無記名債券等)です。

FATFのガイドラインに沿った規定になっています。

申告が必要な金額アジア周辺国編

申告が必要な金額について、香港以外のアジア周辺国を見てみると、

中国
持ち込み時2万中国元、5,000USドル相当超える場合
持ち出し時2万中国元、入国時の申告額を超える場合

シンガポール
3万シンガポールドル相当を超える場合

マレーシア
1,000マレーシア・リンギットを超える場合
1万USドル相当額を超える場合

フィリピン
1万USドル相当を超える場合
10,000フィリピンペソを超えて持ち込み、持出しはできません。
50,000フィリピン・ペソに変更になりました。

タイ
外貨を自由に持ち込めますが、
持出しは、2万USドルもしくは相当額もしくは、入国時に税関で申告した金額まで。
5万タイバーツを超えて持ち出す場合には、事前に申請が必要です。

ベトナム
15,000,000ベトナムドンを超える場合
5,000USドルもしくは相当額を超える場合
→申告せずに上記金額以上を持ち出そうとすると、没収になります。
10万USドルの持ち込み・持出しは、10万ベトナムドンの手数料がかかります。

カンボジア
1万USドルもしくは相当額を超える場合

*上記は参考情報になります。最新状況は、現地大使館のHPなどから、渡航前に必ずご確認ください。

現金を持った状態で複数の国を移動する場合

例えば、日本からシンガポールに行って、車などで国境を超えマレーシアに入る際は、それぞれの国の規定を確認して、申告・許可申請の準備をしなければなりません。申告せずに持ち込み、見つかった場合には、罰金、拘留、入国拒否の対象になる可能性があります。

実際にシンガポールに到着した際に無申告の現金が、出国ゲート前の手荷物検査で見つかり、3時間ほど取り調べを受けて、現金没収。後日罰金を支払って、現金を返してもらった。という事例も発生しています。

私は、HSBC香港銀行口座開設の際に、成田空港で、出国審査前のカウンターで申告の上、200万円の現金を香港に持ち込みました。日本の国内銀行窓口での送金手続きおよび送金エラーが発生した時の追跡を考えた時に、初期に預入をしておくお金は、持ち込んだほうが楽であると判断したためです。機内持ち込みサイズのキャリーケースに入れて持ち運びましたが、ドキドキしました。現金の持ち込みは、申告の手間、紛失や盗難のリスクがありますので、実行する際には、海外送金などの他の方法と比較・検討されることをおすすめします。

「持ち出す際に、申告も済ませているし、海外にお金を出す際の手続きは終了した。あとは、海外口座で受け取った利益などの税務申告だけだな。」

以前までは、そうでしたが、新しい制度ができましたので、さらに申告が必要な方が出てきます。

国外財産調書制度で申告が必要なケースあり

それが、「国外財産調書制度」です。

株・預金、不動産など5,000万円相当を超える資産を国外に保有している日本居住者の個人は、所轄の税務署に調書(財産目録)の提出が義務付けられました。

制度の適用は、2013年12月31日からで、故意に調書不提出や虚偽記載があった場合は、1年以下の懲役か50万円以下の罰金に処されるとのこと。

海外に資産を移す場合で、上記制度の規定に該当すると、申告が必要になります。

日本人の資産を取り巻く環境は、国内・国外共に厳しさを増しつつ、どんどんと変化しています。

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