投資業
Securities and Investment Business Act 2010(SIBA)
2010年5月17日から発効しているBVI内の投資関連の法律
SIBAは、全世界でBVI法人より提供されている投資に関するサービスが対象となっています。
BVI法人として投資案件の紹介などをする場合は、Financial Services Commission(FSC)の基に行わなければなりません。投資案件の紹介などビジネスの詳細については、投資の運営、助言、信託サービス、顧問サービス、市場運営などSIBAの1スケジュール1で規定されています。
投資というのは、シェア、ファンドやパートナーシップの金利、社債、債権など金利に関する投資商品を指します。
ファンドの種別
・クローズエンド型ファンド
固定資本のため、価格は需要・供給バランスにより決まります。ユニット、利息、持ち分などはプレミア・割引価格で、純資産に基いて発行されますが、組み入れ資産の時価に基づく純資産価格での買い戻しや解約を原則として認めていません。そのため、投資家が純資産価格での換金を求めても受け付けてもらえないので、換金を希望する場合は、取引所などを通じて他の投資家に売却することによってのみ可能になります。
・オープンエンド型ファンド
株式、ユニット、有限責任持ち分、ファンドが保有する資産の割合により、各持ち分に分割される。株式やユニットは、資産価値に応じて、随時償還することができるため、ほとんどのファンドがこのオープンエンド型となります。
SIBAでのオープンエンド型ファンドの定義
SIBAでのオープンエンド型ファンドの定義は、法人、組合、信託会社などの形態で、
・集団投資を目的とした投資家からの資金集めおよび資金預かるもの
・全部または会社または他の身体の純資産の一部に比例持分の価値を参照して計算された金額を、ファンドの利息として、要求後すぐ、もしくは規定期間期間内に払い出すもの
となります。
但し、SIBAのの定義から外れた任意の投資ファンドは、登録する必要はありません。
オープンエンド型ファンド4種類
SIBAの下では、登録の必要があるオープンエンド型ファンドは、4つあります。
1)プロフェッショナルのファンド
2)プライベードファンド
3)パブリックファンド
4)外国登録ファンド
1)プロフェッショナルのファンド
初期投資が1人あたり10万USドル以上もの
プロの投資家に向けて販売をするもの
プロの投資家とは
ファンドの財産に関する事業を行っている人
100万USドル以上の資産を保有していることを宣誓した人
2)プライベードファンド
50名以下の投資家により構成されているもの
ファンドの勧誘、購入は、プライベートで行なうもの
3)パブリックファンド
投資家判断基準はないが、当局の規制および監視対象となるもの
4)外国登録ファンド
BVIで販売されており、FSCで登録されているもの
BVIに所在し、登録されたファンドの約70%はプロフェッショナルファンドとなっています。
ファンドの組成
2010年5月17日以前から投資業を営んでいる法人については、FSCから2010年12月31日までにライセンスを取得しておく必要があり、ライセンスを取得すると、取締役の就任・退任、原資の捻出場所など変更が必要となっていました。
FSCにファンドを登録する時に、管理者、マネージャ、アドバイザーなどの構成など、各種書類の提出を求められ、さらには、ファンドが組成された国も申請が必要となります。
現在FSCでファンド組成地として登録されているのは、
アルゼンチン、オーストラリア、バハマ、バミューダ、ベルギー、ブラジル、カナダ、ケイマン諸島、チリ、中国、キュラソー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ジブラルタル、ギリシャ、香港、アイルランド、マン島、イタリア、日本、ジャージー島、ルクセンブルク、マルタ、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、パナマ、ポルトガル、シンガポール、スペイン、南アフリカ、スウェーデン、スイス、イギリス、アメリカ*上記にない地域でもFSCが審査の上適正は金融システムが備わっている国・地域と判断した場合には、登録が可能となります。
ファンドに該当するのか
ケース1
出資金として資金を集め、各出資者はBVI法人株主として登録。各株主に出資金に応じた自社株を割り当て、資金は投資に回す。
答え:
法人自社の資本金を投資している場合、ライセンス不要だと考えられますが、純資産価額(NAV)で法人の株式を買い取りできるBVIオープンエンド型ミューチュアルファンドでしたら必要ありと考えられる。
ケース2
自社社債を発行し、投資家を募る。
答え:
自身関係の私募債を発行しており、その資金を投資している場合は、ライセンス不要だと考えられます。もし当法人が他社へ債権を売ろうとしたら場合は、別ケースとなっていてライセンスの条件を誘発する可能性があります。
対象外の活動
社債の定義
スケジュール1、セクション2、パラグラフ2の規定
社債関連:社債、社債券、転換社債、公社債、譲渡性定期預金など
下記を除く
a)
契約条項、支払いのための借り入れ
商品・サービス提供契約に基づく支払い
b)
小切手、銀行手形、信用状
c)
銀行券、銀行残高証明書
d)
財産の貸出、担保、保険証書
パートB 除外項目
1) 投資での扱い
(2)配当、給料、償還、法人による買い戻し
株、持ち分
・社債
・公社債発行、もしくは株の割り当て
BVI法人を設立する時は、閉鎖のことも考えておく
BVIは、British Virgin Islandsの略で、イギリスの海外自治領。1493年にコロンブスによって発見されました。観光業が主な産業ですが、1984年にInternational Business Corporationを設立できるようにして、外資を積極的に呼び込んでいます。IBCは、BVI内で事業を行うことができませんが、BVI国外での決算申告や法人税課税が法人登記後、20年間免除されており、BVI法人と呼ばれているものは、ほとんどがこのIBCになります。ちなみにBVI国内で営業ができる法人の場合には、毎年決算報告が必要となり、法人税は0%、従業員の給料に対しては、10から14%の税金が課せられることになります。
BVI法人を設立する時
払込資本金:1USD、授権資本金:50,000USDで設立するのが一般的で手数料は、18,000HKD程度
◯特徴
・株主 :最低1名
・取締役 :最低1名
・取締役居住:不要
・秘書役 :不要
・年次報告書:不要
・税務申告書:不要
・会計監査 :不要
ちなみに香港法人の場合は、
・株主 :最低1名
・取締役 :最低1名
・取締役居住:不要
・秘書役 :要
・年次報告書:要
・税務申告書:要
・会計監査 :要
2年目以降の更新時
◯更新手数料
・政府ライセンス更新:6,200HKD
・法人管理役員費:1,500HKD
・貸住所:2,400HKD
授権資本金は、株式発行可能上限額になるので、株式の発行額を50,000USD以上にする場合は、授権資本金を引き上げる必要があります。
授権資本金50,000USD以上にした場合は、政府ライセンス更新費用が高くなり、
・政府ライセンス更新:12,200HKD
・法人管理役員費:1,500HKD
・貸住所:2,400HKD
BVI法人を閉鎖する
1)法人削除:更新手続きをせず自動削除
2)法人解散:解散手続きをして解散
BVI法人として運営実態がある場合は、2)の解散手続きをとる。
その場合は、法人会計レポート作成および清算人の任命が必要。
1)法人削除
費用: なし
所要時間:更新日から6ヶ月後
法人回復:法人削除7年以内
責任: あり
貸主からのクレーム:可能
2)法人解散
費用: 依頼先により異なる
所要時間:決議書提出してから1ヶ月
法人回復:不可能
責任: なし
貸主からのクレーム:不可能
法人解散手続きと費用
<手続き>
法人口座閉鎖→資産状況の確認→財務諸表作成・提出→清算人任命→新聞広告
(*新聞広告は、BVI法人を運営している国で行う必要あり)
BVI登記所に書類を提出してから、約2ヶ月で精算手続き完了見込み
<費用>
合計:86,500HKD
内訳
◯85,000HKD
・解散書類作成・提出
・解散証明書の取得
・BVI代理の清算人担当
・書類郵送費用
(新聞広告費除く)
◯1,500HKD
・法人口座閉鎖
オフショア法人を活用する場合は、現地でビジネスをして、雇用を行うのではなく、他国でオフショア法人名義でのビジネス・投資をするケースが多いと思います。
BVI法人を設立して、他の国でオペレーションをしていた場合、解散手続きをつっておいたほうが良さそうです。しかし、コストがかなり高くなりますので、このあたりは、BVI法人の設立を考える時に事前に考慮しておかなければならない点となります。
反マネーロンダリング in 香港
香港では、2012年に、「反マネーロンダリング・テロ資金調達条例」が成立し、マネーロンダリングへのチェックが強化されました。2013年に、オフショア法人、特にBVI法人ので香港内の銀行口座開設が困難になりました。今年に入っては、新規オフショア法人口座開設の制限が一段落したようで、既存オフショア法人口座の細かい取引内容にもチェックが入っています。
▼管理しているBVI法人の口座
今月に入って、
管理しているBVI法人の送金に関して確認が入り、
・入金元の法人登記簿データ
・BVI法人の登記、事業内容
・BVI法人の香港での商業登記証
の提出を求められました。
香港の商業登記証は、Hong Kong Business Registration Certificate。香港法人の場合は、設立時に申請します。BVI法人の場合は、香港に活動の拠点を置いている場合に申請をします。
通常の商業登記証には、「Type of Business」として業種が記載されますが、BVI法人で、香港に活動の拠点がなく、商業登記証を申請する場合は、「Type of Business」の記載がなく、香港の連絡先事務所のみの登録となります。
発行手数料は、年によって変動がありますが、現時点は、
・有効期限1年の商業登記証発行:250HKD
・有効期限3年の商業登記証発行:2,000HKD
となっており、2014年4月1日からは、有効期限1年の商業登記証発行が、1年:2,250HKDに変更となります。発行手数料の他に、サポート事務所によりますが、サポート手数料が3,000HKD程度必要となります。
昨今のオフショア法人に関する規制強化の波を受けて、香港に活動の拠点を持っていないBVI法人は、法人口座の開設ができなくなったり、取引内容についての問い合わせを受けたり、活用するのが難しい状況となりつつあります。オフショア法人の中でも、セーシェル法人については、香港で法人口座が可能という情報がありますが、香港の各銀行の対応が今後どのように変化していくか注目しています。