2015年12月にアメリカで公開された映画「The Big Short(世紀の空売り)」
ブラッド・ピット
ライアン・ゴズリング
クリスチャン・ベール
人気スター3人が顔をそろえる作品で、2008年に、サブプライム問題で、アメリカの住宅市場が崩壊する寸前に、サブプライム住宅ローン債券の値下がりに賭けたモーゲージトレーダーを描いた内容となっています。
日本語予告編には、
「これが、リーマンショックの真実だ」
と出ており、当時のアメリカの相場環境が、よく分かりそうなので、ぜひ見たいと思っています。
物語に登場するモーゲージトレーダーは、当時、ドイツ銀行に勤務していたグレッグ・リップマン氏がモデルとなっています。
今回は、そのドイツ銀行を取り巻く環境が大きく変わっている点についてです。
ドイツ最大の銀行と環境の変化
ドイツ銀行(Deutsche Bank)1870年創業で、フランクフルトを拠点とした、ドイツ最大の銀行です。
フランクフルト証券取引所に上場しており、ドイツ株価指数採用銘柄でもあります。
「The Banker」が発表している世界銀行ランキングでは、
2013年:20位
2014年:18位
となっています。
そのドイツ銀行で、様々な環境の変化が起こっています。
・2015年5月LIBRO問題で25億ドルの制裁金
・2015年6月に60億ドルを間違って送金
・2015年第3四半期70億ドルの純損失
・2016年、2017年で3万5,000人リストラ予定
・外国で展開していた投資銀行事業からの一部撤退
2008年以来で、法律上の罰金が110億ドル以上に上っています。
銀行の株価純資産倍率(PBR)は、2007年以来、1.0以下の低水準となっています。
株価と純資産が一致すると PBR =1.0となります。
純資産よりも株価が安い=PBRの倍率は1.0以下となり、割安か倒産危機のどちらかとなります。
さらなる疑惑と外部要因
ドイツ銀行の行員数人によるマネー・ロンダリングの疑惑が発覚しました。
ドイツ金融当局に報告せずに、ロシア人顧客の資金を国外に動かせるように、ミラートレードを実施した疑いで、
2011年から2015年までで、約60億ドルにも上っているとされていましたが、さらに約40億ドルの疑わしい取引があることが判明しており、調査中が続いています。
また、経済環境も、主な貿易相手である中国の景気後退、
フォルクスワーゲンの不正問題により、
ドイツの自動車産業への打撃など、
厳しくなっています。
ドイツ銀行の金融取引総額は、67兆ユーロとされており、経営危機に陥ってしまうと、他の銀行や政府の支援だけでは、負債をカバーできない可能性があります。