黒田日銀総裁が現在行なっていることを改めて考えると、国債バブルもいよいよ最終局面に入り、破綻に向かう最後の道に進んでいるように感じる。
毎月7兆円から7.5兆円という途方も無い額の、日銀による市場からの国債買い入れにより、国債市場には今までと全く違う局面が訪れている。
今まで何度かヘッジファンド等による国債市場の売り崩しがあった。
しかしこれまでは一度もそれによって国債市場が暴落し続けたことは無い。
日本の多くの機関投資家にとっては、その局面は非常に良いチャンスとなり、外資の売り分をまとめて買い上げていった。
地方銀行や信用金庫、生保、農協など、都銀に比べて高い調達金利の中、特に地銀・信用金庫の場合、地域の製造業が衰退もしており、預かったお金を貸出する先が無いのが現状である。
彼らにとってみれば、外資の国債売り局面で、金利が上昇し、高い利回りの国債を購入できることは、絶好の運用チャンスとなったわけなのだ。
預かる現預金がどんどん増える中、大きく融資できる相手もなく、運用できる先がない状況にあり、国債以外ではほとんど資金を運用できない状況にあったわけだ。
今回ここに大きな変化が訪れた。日銀が市場で大量の国債買入を行うため、国債価格は上昇し、金利は下がって行く。
3年、5年程度の国債では、地銀・信用金庫の1%の平均調達金利を賄えないのだ。彼らの所有する国債の保有期間がどんどん長くなっている。
10年もの国債でさえ、金利が下がってしまい、銀行の調達金利をまかなえ無い。
銀行を経営し続けるために、存続させ続けるために、消去法で、より長い、リスクの高い国債を保有せざるをえないのだ。
黒田日銀総裁はインフレ率を2%まで上昇させると言っている。
インフレ率が2%になれば、長期金利は3%まで跳ね上がることになることが予想される。
その時、既存の金融機関が所有する国債には、大きな含み損が発生することになる。
多額な不良債権が発生したとき、自己資本比率は大丈夫なのか?
日銀、国からの金融支援を受けなければ、銀行は資本を強化することもできないはずだ。
そのお金は何処から出るのか?
日本という国にはそんなお金を捻出できる余裕は無い。
追加で国債を刷り続けることになれば、いよいよもって国債が暴落するリスクが高まる。
そして国債が暴落すれば、更に既存の国債を所有する多くの金融機関が大量の含み損を抱えることになる。
もう戻れない、国債バブルの最終局面に入ってしまった・・・・僕たちがそう警戒してしまっても大げさとはいえないのではないだろうか?
地方銀行・信用金庫・農協・生保など、今までは金利の高い長期国債をただ購入し、保有し続けることで利息を得て、収益を稼ぎだしてさえいればよかった。
しかし今は、日銀が市場から国債を大量に買い上げているため、単に保有するだけではなく、市場で買って日銀に売る。
トレードも大きく行い始めている。
トレードを行わなければ調達金利に対しての収益を稼ぎきれないのだ。
銀行を存続させるために収益を上げ続けなければならず、そのために国債を保有するだけではなく、大きなポジションをとったトレードに手を出しているのだ。
日銀がいくらでも国債を購入する受け皿になってくれるわけですから、安心して市場で買い続け、日銀に売り続ければ良いというわけだ。
しかし誰もが同じ行為をすれば、そこで取れる利益の幅はドンドンと減って行く。国債価格が限界に近い高値に近づいているのだ。
今までは安定的な買い手が継続し、そして大きな売り手はあまり存在しなかった国債市場。
4月4日以降、全く流れが変わってしまった。
日本の大きな経済混乱の局面に入った時にどうなるか?今までとは違う国債市場での売り手が大量に存在し始めているのだ。
今までの国債バブルとは全く違う局面に入ってきているわけなのだ。
行くも地獄、戻るも地獄。国債市場に高まる大きなリスク。
どのタイミングで長期金利が跳ね上がり、国債が暴落してもおかしくない局面に入ってきていると思われる。
そこから広がる「みらい」・・・・・日本にとっては本当にリスクの高い状況に陥っているのだ。
この問題も他人ごとと考えるのではなく、僕たちそれぞれが置かれているリスクだと深く考え、これからの僕たち自身の歩むべき道を、決めていかなければならないのではないだろうか?