アイルランド法人とチェック・ザ・ボックス規則

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2005年の英「エコノミスト」誌の調査で最も住みやすい国に選出されているアイルランド。

世界トップ10の製薬会社
ファイザー、アボット、アステラス製薬など

大手ネット系企業
アップル、マイクロソフト、グーグル、オラクルなど

世界の銀行大手、および保険会社
BNPバリパ、HSBC、ゴールドマン・サックス、
チューリッヒ保険など

がアイルランドで事業を展開しているので、記事として掲載される場合も多いです。

1988年に首都のダブリンに国際金融サービスセンターが設立され、

・12.5%という低い法人税
・タックスヘイブン税制無し
・優秀な人材を安く確保できる

という特徴と

持ち株会社を組織する場合には、

・有力株主に子会社売却におけるアイルランド国内の税金を免除
・外国企業の受け取り配当金に優遇措置

ということから、多くの国際展開している企業に注目されることとなりました。

マイクロソフト社を例にとると、アイルランドに、ラウンド・アイルランド・ワンという会社を設立し、アメリカ国外での全製品の販売許可をしています。

HPに掲載されている情報によると、

    同社の株式の99%は、
    アイルランドの無限責任会社である
    ラウンド・アイランド・ワン(Round Island One)
    によって保有されており、

    残りの1%は、バミューダの無限責任会社である
    MFMホールディングス(MFM Holdings)
    によって保有されている。

    MFMホールディングスは
    ラウンド・アイランド・ワンの100%子会社である。

    ラウンド・アイランド・ワンは、
    その99%をバミューダの無限責任会社である
    RIホールディングス(RIHoldings)
    に保有されており、

    残りの1%をバミューダの有限責任会社である
    MBHリミティッド(MBH Limited)に保有されている。

    RIホールディングスは
    MBHリミティッドの100%子会社である。

    MBHリミティッドは
    ネバダ州法人のMOLコーポレーション
    (MOL Corporation)の100%子会社である。

という法人の関係になっています。

 

▼節税3つのポイント

1)アイルランド子会社に海外収益を集める
2)アメリカ本社とアイルランド子会社でコスト分担契約を結ぶ
3)税制を把握して、課税対象とならないようにする

これらの条件をクリアすることで、アイルランドからアメリカ法人へ利益などを送金しない限りアメリカでは課税されないスタイルとなります。この仕組を利用して、マイクロソフトやグーグル、アップルなどは、アメリカでの納税金額の圧縮を行っているのです。

ちなみに、アメリカには、海外の拠点についての「チェック・ザ・ボックス規則」というものがあり、米国企業が海外に持つ拠点の税務上の扱いを

(1)法人(課税対象)にするか
(2)支店(課税対象外)にするか

を企業自らが選ぶことができます。

この規則は、子会社・孫会社が対象になっているのですが、孫会社については、別の持ち株会社を設立して、その会社を孫会社とすれば、支店とすることができてしまうため、規則が形骸化しており、問題となっています。

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