全世界のGDP40%に匹敵する富を199,235人が保有しているというレポートが発表されました。
富裕層に関するレポート
UHNW(Ultra high-net-worth individual)
富裕層を表す言葉ですが、UHNWについてのレポートが、Wealth-Xとスイスの銀行UBSによって作成されました。
レポートによると、全世界のGDPの40%に匹敵する27兆7,700万ドルが、199,235人によって保有されており、3万5,000人に1人の割合で、UHNWが存在している計算になります。
2013年度:199,235人
資産総額 (単位:USD)
10億超え :2,170人
7億5,000から9億9,999:1,080人
5億から7億4,999 :2,660人
2億5,000から4億9,999:8,695人
2億から2億4,999 :14,185人
1億から1億9,999 :23,835人
5,000万かから9,999万 :60,760人
3,000万から4,999万 :85,850人
内訳として,
北米 :70,485人
ヨーロッパ:58,065人
アジア :44,505人
南米 :14,150人
中東 :5,300人
オセアニア:3,955人
アフリカ :2,775人
男性のデータ:
相続14%・一代70%・両方16%
独身2%・既婚95%・離婚3%
業種
ファイナンス、銀行・投資:20%
コングロマリット:6.3%
製造業:5.5%
不動産業:4.8%
建設業:4.3%
女性のデータ:
相続53%・一代33%・両方14%
独身5%・既婚89%・離婚6%
業種
非営利団体:15.2%
ファイナンス、銀行・投資:14.2%
服飾:7.6%
コングロマリット:6.7%
製造業:5.2%
となっています。
男性のUHNWの7割は、一代で仕組みを作り上げて、巨額の富を得ているというのは驚きです。
富める者がさらに富むとどうなるか?
経済学で、トリクルダウン理論というものがあります。
トリクルダウン(trickle down)は浸透を意味で、理論の主旨としては、富裕者がさらに富むことで、経済活動が活発化につながり、低所得の貧困者にも富が浸透し、利益が再分配されるというものです。
しかし、2014年12月に経済協力開発機構(OECD)が発表した報告書では、OECD加盟国で、富裕層と貧困層の所得格差が、上位10%の富裕層の所得が下位10%の貧困層の9.5倍と、過去30年で最大となっており、所得格差は経済成長を損ない、所得格差を是正すれば経済成長は活性化されると、トリクルダウン効果を否定しています。
富裕層への課税強化
2013年に発売された「21世紀の資本」という著書で、富は富裕層に集まるため、富裕層への課税強化の必要性を主張したパリ経済学校教授のピケティ氏。
従来の経済学の定説であった、トリクルダウン理論を含め、資本主義の発展とともに富が多くの人に行き渡って所得分配は平等化するという定説を否定しました。
さらに、格差を縮小させるには、累進課税が重要であり、富裕層に対する所得税・相続税の引き上げが欠かせないまた、課税逃れを防ぐために、国際的に協調して透明性のある金融システムを作ることが必要であるという主張をしています。
ピケティ氏の主張通り、各国が富裕層に対して、租税強化をしても、圧倒的な富は、お金の流れを作り上げており、金融資本主義の勝者である富裕層により保有され続けることになるでしょう。改めて、私たちが生きている金融資本主義の世の中は、ゼロサム・ゲームであることを認識することになりました。
アメリカ富裕層2代目で70%が資産喪失
アメリカの「Williams Group」資産コンサルタントによると、
アメリカの富裕層は、
2代目で、70%が資産を失い
3代目で、90%が資産を失う
とのこと。
1代で財は築くことができても、承継するのは難しいようです。
アメリカ富裕層はどのように考えているのか?
2013年度アメリカで、300万ドル以上の資産を持つ世帯数は、
300万ドル :1,821,745世帯
300万ドルから500万ドル以上 :893,344世帯
500万ドルから1,000万ドル以上:679,242世帯
1,000万ドル以上 :249,159世帯
としています。
(市場調査会社「Cerulli Associates」調べ)
アメリカの信託機関「U.S.Trust」が、300万ドル以上の資産を持つ富裕層が、どのように次世代に向けて資産を継承すべく動いているのか640名に対して実施した調査によると・・・
親が子供に対して、資産レベルを公開している割合は、
全て公開:36%
部分公開:47%
非公開 :17%
64%が、全てを子供に対して伝えていないとのこと。
その理由としては・・・
34%:子供の仕事への悪影響が心配
20%:お金について決して語るなと教育されてきた
19%:知ってしまうと、家庭外で話しそう
17%:子供が資産を取り扱えるまで十分成長していない
15%:いままで考えたこともなかった
6% :どのように教えたらよいかがわからない
5% :子供がまだ十分な年齢に達していない
という結果になっています。
また、自分の子供が何歳になれば、資産管理をしっかり行えるか?
という質問に対しては、
40歳以上と回答したのが、
今の年齢が、
51歳から69歳の富裕層:24%
70歳以上の富裕層 :44%
となっています。
レポートでは、資産継承をするために、資産を守り、増やしための戦略をロードマップとして作成しておく必要があるとされています。
ちなみに、調査協力者の資産額の内訳は、
300万ドルから500万ドル以上 :55%
500万ドルから1,000万ドル以上:32%
1,000万ドル以上 :13%
年齢内訳は、
18歳から34歳:16%
35歳から50歳:23%
51歳から69歳:47%
70歳以上 :13%
です。
(「2015 U.S.TRUST INSIGHTS ON WEALTH AND WORTH」より抜粋)
アメリカで、多額の資産を継承した人は、平均19日で新車を購入するとの統計があるようです・・・。
宝くじの高額当選者には、お金の使い方に関する冊子が配布されるようですが、お金の使い方を学ばずに、銀行口座から自由に出し入れできる状態になると、
気の向くまま買い物をしてみたり・・・
安易な投資話に乗ってみたり・・・
飲食店を開業してみたり・・・
お金を手元からなくしてしまう行動ばかりに出てしまうのが、ほとんどの人間の行動パターンになります。
自分の代で資産を築くことができても、承継するための具体的な仕組みがないことが、2代目、3代目でほとんどが資産を失ってしまうということにつながっているようです。