2013年10月3日にフランスの下院が、
「書籍を定価より割引販売し、無料配達するサービスを禁止する」
という法案を全会一致で可決しました。
フランスでは、書籍の供給元が、販売価格を決めて、販売店に守らせるという「再販制度」が、1981年に施行された「ラング法」により認められていて、販売時の割引率も5%までに制限されています。
実店舗営業の本屋さんの数と人口の数を見ていくと、
フランス:
人口は約6,500万人、書店は約2,500店
日本:
人口は約1億2,000万人、書店は約14,000店
アメリカ:
人口は約3億1,000万人、書店は約11,000店
とフランスでは、実店舗営業の本屋さんに対する人口割合が高く、書店を経営して、生計を立てている人の割合が多いということになります。
しかし、フランス国内の全書籍の売上に占める、ネット書店の売上の割合は、
2003年=3.2% 2011年=13.1% 2013年=17%
ネット書店の売上が上昇している一方で、実店舗営業の本屋さんは、2012年に比べ4.5%ダウンし、実店舗営業の本屋さんの売上が、ネット書店によって圧迫されているのが明確になっています。
▼狙い撃ち?
今回の法案で禁止の対象となった
「書籍の5%値引き販売と送料無料サービス」
をフランスで提供しているのは、Amazonとフランス国内の家電量販店の2社のみ。
Amazonを狙い撃ちした法案か?ととれなくもないですが、
アメリカなど他国の巨大ネット企業が自国内でビジネスを展開することによる自国企業の売上減少と米国家安全保障局(NSA)の個人情報収集問題から広く他国のネット企業の活動を牽制したい意図のようです。
*米国家安全保障局(NSA)の個人情報収集問題
アメリカ市民の電話番号や電子メールを含む幅広い情報をアメリカ政府がイスラエルに提供していたという問題
またEU加盟国各国では、
スターバックスのスイス
グーグルのアイルランド
Amazonのルクセンブルク
を活用した租税回避手法がやり玉に上がっており、各企業がEU域内での営業活動によって上げた利益を確実に捕捉し、利益が発生した場所で適正に課税する制度を整えていく方針です。
▼世界各地で
現在Amazonは、
アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、メキシコ
日本、中国、イタリア、スペイン、ブラジル、インド
の12カ国で展開しており、各国のユーザーは、商品購入が格段に快適になっていますが、各国の企業は、Amazonに顧客を奪われることに戦々恐々しています。
今後は、フランスや日本以外の国でもどんどんとAmazonなど米ネット企業の活動を制限する規則や法案など整備されていき、風当たりがどんどん強くなっていきそうです。「規制が厳しい国で、わざわざビジネスをする必要がない」と判断し、サービスの撤退などがあれば、ユーザーにとっては痛手になりますね。
2014年6月26日にフランスの上院議員会議で、Amazon.comなどのインターネット小売大手が書籍を無料で配達することを禁じる法案が可決されました。