キルギスの銀行とマネーロンダリング

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キルギスの銀行AsiaUniversialBank(AUB)を通じてイギリス法人が、マネーロンダリング、脱税などに関与している可能性があると指摘されています。

▼キルギス共和国(キルギスきょうわこく)

中央アジアに位置する旧ソビエト連邦の共和制国家で国土の広さは、日本の約半分程度です。
主な産業は、農業・畜産業(GDPの約3割)、鉱業(金採掘)2013年度のGDPは、72.3億ドル

国の歴史は、
・1991年:独立

・2005年
チューリップ革命
(政治腐敗に対する抗議活動)があり、当時のアカエフ大統領が、バキエフは南部へ逃亡後、辞職し、ベラルーシに亡命・

・2010年
反政府活動からの革命で、臨時政府樹立→新政権へ

▼AsiaUniversialBank(AUB)

1997年に設立されたキルギスの銀行で、キルギス内の総資産と預金の4分の1を取り扱っており、国内向け住宅ローンを提供している最大の商業銀行で、2010年の革命後に、国有化されています。

キルギス当局は、2010年の国有化される以前に、AsiaUniversialBank(AUB)を通じて、マネーロンダリングや脱税が行われていたと指摘しています。

総額で数十億ドル上る規模で、イギリス法人、ブルガリア法人ニュージーランド法人が関わり、

AUBからの巨額の送金に
・ニューヨークのシティバンク
・イギリスのスタンダードチャータード銀行
・オーストラリアのライファファイゼン銀行
などが、関わっているのが明らかとなっています。

あるイギリス法人では、AUB口座内に7億ドルを保有していましたが、実は、その法人の所有者は法人設立の3年前に死亡しているロシア人で、イギリス国内での活動実態がありませんでした。キルギス当局は、前大統領のバキエス氏の息子と各法人が関係していると睨んでいます。

マネーロンダリングや脱税に関係している法人は、オンショアで設立された法人でも、株主が、BVI法人やベリーズ法人となっており、真の所有者がわからない形になっています。

キルギス政府や税務当局は、真のオーナー情報を提供するように各国の法人に要請することが可能ですが、手続きが煩雑なため、解明が進んでいません。

(*KyrgyzstanReportGrave Secrecy参照)

こういった事件もあり、イギリスで、法人の4分の1以上の権利を保有する法人・個人を明らかにすべきという流れになっています。

北陸銀行のマネロン疑惑

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2012年に北陸銀行をめぐりマネー・ロンダリング疑惑が持ち上がりました。

発端としては、イギリスの大手金融機関HSBCのマネー・ロンダリング疑惑について、アメリカ国土安全保障・政府問題委員会が作成した資料に、北陸銀行の名前が掲載されたためでした。

北陸銀行で高額のトラベラーズチェック持ち込みが頻発

内容としては、2005年から2008年の間に、北陸銀行が、アメリカHSBCを通じて、換金したトラベラーズチェックの中に、連番で、署名が解読不明なものが含まれており、1日に50万ドルを超える場合を含め、総額2億9,000万ドルに上っていたというものです。

これを受けて、北陸財務局から、北陸銀行に対して業務改善命令が出されましたが、北陸銀行としては、多額のトラベラーズチェックは、ロシア人によって持ち込まれたものであるが、日本の法律に基づく取引先の確認やマネーロンダリング防止体制に不備がないと説明しました。

多額のトラベラーズチェックは、ロシア人による日本での中古車売買で利用されており、

流れとしては、

・現金の流れ
 ロシアの中古車販売会社→ロシアの銀行→アメリカHSBC→北陸銀行

・トラベラーズチェックの流れ
 ロシアの銀行→ロシアの中古車販売会社→北陸銀行→アメリカHSBC

となっていました。

ロシアの中古車マーケットでは、SUV(スポーツ用多目的車)が好まれているので、日本で購入されたものなどが、北陸経由で運ばれており、また、多額の現金を持ち歩くロシア人の襲撃事件が多発したため、トラベラーズチェックでの取引が主流になった過去がありました。

ちなみに、トラベラーズチェックは、海外に旅行する際など、現金を持ち歩かずに済むように、発行される小切手のこと。購入時と利用時にサインをするため、サインが合致している場合のみ利用できる仕組みで、盗難にあったり、紛失しても再発行ができましたが、2014年3月31日をもって、日本では発行が終了しています。

なお、北陸銀行問題の発端となったアメリカでの調査で、

HSBCは、HSBCメキシコからHSBCアメリカに、2007年と2008年に送金した70億ドルに関して、犯罪組織の資金洗浄に利用された可能性があること。アメリカが制裁実施していたにも関わらず、イラン関連の取引をしていたこと。

などからマネー・ロンダリング対策や特定の口座に対する精査の実施が不十分だったとして、米司法省などに19億2,100万ドルの罰金支払いに合意したと発表しています。

罰金の規模がかなり大きいので、各金融機関が顧客情報などの確認を厳格に行うようになるのは、仕方ない流れなのでしょう。

日本でのマネー・ロンダリング規制強化

「犯罪収益移転防止法に基づく政省令」は、2016年10月の施行を目指しています。

銀行窓口での

・200万円を超える現金取引
・10万円を超える現金振込

については、現状顔写真のない身分証明書、健康保険証や年金手帳でも取り行きが可能ですが、よりチェック体制を厳しくするために、上記の証明書にプラスして、公共料金の領収書などの提出も求める予定です。

また、規定よりも少ない金額での取引であっても、チェックを逃れるため。複数回に渡り手続きしていることがわかれば、本人確認が必要になります。

マイナンバー制度との兼ね合いもあるので、どのような情報が必要になるのか、今後の決定を確認したいと思います。

photo credit: Image Editor via photopin cc

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