中国の全国人民代表大会にて、「国家安全法制」の香港への導入が決定されました。
国家分裂やテロ活動、外国諸勢力の干渉などを取り締まるもので、必要な場合は、中国の治安部門が香港へ出先機関の設置できることになります。
香港では2019年6月から国の体制に対する抗議活動が絶えず続いており、この活動を抑制するのが1つの目的と見れられています。
中国側は、「一国二制度」を長期的に安定させるためであり、香港人の権利への影響はないと表明。
ただ一部の見方は、香港が香港ではなくなるとされています。
香港法人や香港の銀行口座を活用している場合は、何かのトラブルが発生するのに備えて、別の国・地域での法人運営や資産管理を考えておく必要があります。
シンガポールで非居住者預金が増加中
香港にあった資金の一部が、シンガポールに流入している可能性があります。
シンガポールでは、2019年4月と比較すると、非居住者の銀行預金総額が、44%上昇したとCIMBのプライベートバンカーが公表しています。
Non-resident deposits in Singapore jump 44% to record S$62b in April
ここでの非居住者とは・・・
シンガポール以外に住所を登録している
・国外居住者
・国外労働者
・国外法人
です。
香港法人とシンガポール法人の比較
香港法人を活用している場合は、リスク分散として、他の国・地域の法人活用を視野に入れておかなければなりません。
ただオフショア地域の法人の場合は、
・ルールがよく変わったり
・銀行口座の開設に苦労したり
・口座が決済代行会社でしか持てなく送金維持手数料が高かったり
というケースがあるので注意が必要です。
香港法人とシンガポール法人の要件比較
ここでは、香港法人とシンガポール法人の要件を簡単に比較してみます。
香港法人の条件は、
・株主 :最低1名
・取締役 :最低1名
・取締役居住:不要
・秘書役 :要
・年次報告書:要
・税務申告書:要
・会計監査 :要
シンガポール法人の条件
・株主 :最低2名
・取締役 :最低2名(個人・法人可)
・取締役居住:要(1名以上)
・秘書役 :要
・年次報告書:要
・税務申告書:要
・会計監査 :要
ですので、株主・取締役の人数と取締役の居住要件について一部差があり、シンガポール法人のほうが要件は厳しいです。
香港法人とシンガポール法人の法人税率
法人税については、
・香港:利益の200万香港ドルまで8.25%、以上は16.5%
・シンガポール:17% 最初の1万シンガドルの75%と次の19万シンガドルの50%は免税
です。
銀行口座を分散して活用する
日本の銀行で外国人旅行者の口座開設が難しいように。
日本人観光客が、香港やシンガポールに渡航して、合法的に滞在できる査証の提示なしに、口座を開設するのは難しくなっています。
以前は香港・シンガポール共に旅行者でも口座が開設できましたが、KYCやAMLの観点から本人確認が強化されているためです。
そんな中でも、銀行が口座開設を受け付けてくれる人というのはどういう人でしょうか?
お金を持っていて、銀行に預金してくれて、さらに商品を購入してくれる人です。
海外の銀行口座を開設して活用するのは、余剰資金があることが前提です。
海外送金は、銀行だと手数料が1,500円から2,500円程度かかります。
15万円を送金すると、送金手数料ですでに1%以上かかっていて、そこに為替手数料+着金手数料などが加わるので、さらに高くになります。
ある程度まとまった金額が送金できないと、資産を守るつもりでも、どんどん削ってしまうことになります。
海外送金の手数料を極力押さえるためにどうしたらいいか?
追伸
暗号資産(仮想通貨/暗号通貨)の取引所でKYCが強化され、日本居住者がどんどんと締め出されています。
日本のIPからのアクセス遮断などの対策が取られており、それをかいくぐったとしてもあつ日突然アカウント凍結という可能性があります。
銀行も締め出しがないとは言えません。
ある程度顧客を絞っているといっても、
・合法的に滞在できる査証を持っていない
・口座に預金が少ない
・口座での取引がほとんどない
・口座から銀行の金融商品を購入していない
といった場合は口座が凍結されて、閉鎖という流れになる可能性もあります。
凍結が電話で解除され、預金を引き出せるようならいいのですが、電話でのやりとりは、ほぼ英語もしくは中国語が必要になります。
現地支店窓口への渡航が必要になった場合は、その分の費用がかかります。
お金の問題は精神的不安が重くストレスになります。
今海外銀行口座を持っていてあまり活用していないなら資金を引き上げて閉鎖することも1つの選択肢になります。